大学:科目終了試験に関するアドバイス
2024.11.14
大学:科目終了試験に関するアドバイス
【漢文学の基礎Ⅰ・Ⅱ】【漢文講読】について(2024.12.7更新) |
2024年度(第7回)12月1日科目終了試験における総評 ◆漢和辞典や参考書を参照するのはかまいませんが、必ず問題文も見てください。古典は同じ作品であっても、テキストが違うと文字に異同(ちがい)があります。 出題した原文に無い一文が解答で増えていると、点数・単位に繋がらないことがあります。 参考書などを見るのはかまいませんが、しっかりと問題文を確認・対照するようにしてください。 なお、これは機械的に文字を写すことを薦めているわけではありません。必ず文章を理解するように努力してください。 ◆書き下し文を作成する問題のなかで、歴史的仮名遣いでルビ(振り仮名)をふるように指示しているのに、まったく無視されている解答があります。 大きな減点になるので、漢和辞典や古語辞典で歴史的仮名遣いを確認して回答するようにしてください。 国語の教員を目指すのであれば、歴史的仮名遣いはちゃんと覚えておいたほうがよいです。漢文よりも国語の古典でよく使用します。 |
【漢文学の基礎】について(2024.11.14更新) |
2024年度(第6回)10月27日科目終了試験における総評 ・「唐宋八大家」に関しては、教科書『中国思想文学通史』の唐代・宋代の文に関する項目に記事があります。まず、説明文と注釈に引かれている文章を確認してみましょう。 ・読解問題に採用した文章ですが、 書き下し文がうまく書けない・ 内容を把握できて①②いない、という問題が顕著です。唐宋八大家の文章は明治書院の新釈漢文大系という シリーズに収められているので、原文・書き下し文・現代語訳、さらに、「前言(まえがき)」や「余説」なども参照しましょう。 ・機械的に書き下し文を写したり、暗記したりするだけだと、今後、応用が利きません。なので、参考書を読むとときは、原文・書き下し文を読みながら、訳はどうだろうか、 この文章では何が問題かなどを予想しながら読んでください。そして、「現代語訳」・「余説」で答え合わせをしてください。 これを怠る人は、今後、学問が進まなくて苦労することと思います。 ・また、漢文(外国語)と書き下し文(日本語訳)を判別できていない人も時折見かけます。最低限のことは把握してください。 ・また、読みやすさについて聞く問題で、句読や「」の有無などを挙げる人がいますが、句読などの文章記号を用いるようになったのは日本でも中国でも戦後のことです。 韓愈らの時代、文章には句読も何もついていませんでした。これを「白文(原文の一種)」と言います。日本の和歌が書かれた色紙を博物館などでご覧になったことがあると思いますが、 それらには句読などついていなかったでしょう。それと同じです。これも、国語の知識としては必要なことなので、反省・復習をして次回に臨みましょう。 |
【漢文学の基礎 】について(2024.11.14更新) |
2024年度(第6回)10月27日科目終了試験における総評 ・第六回の問題は先秦から魏晋南北朝までを扱っています。それなのに、南朝の宋代を唐宋時代の「宋」と勘違いしている人がいました。ちゃんと時代を把握しましょう。 教科書の『中国思想文学通史』にはちゃんと宋・斉・梁の韻文についても書かれています。ここをしっかり把握しておけば、前半の問題はクリアできるはずです。 ・書き下し文を作成する問題で、歴史的仮名遣いをするよう求める問題ですが、必ず辞書を引きましょう。あまりにも適当に歴史的仮名遣いをつかう人が多いです。歴史的仮名遣 いは、漢文だけに重要な項目ではありません。ちゃんと把握できていないと、日本の古典もうまく対応できませんし、日本語の音韻学にも関係する問題です。これを疎かにする人 は古典など読んだことも無いし、これからも読むつもりがないと見なされてもおかしくありません。たかだか仮名遣いですが、この「たかだか」をいいかげんにする人は、ほかも いいかげんに流されてしまうかもしれません。それに、辞書を引くだけで得点が伸びるのならやる価値はあると思います。がんばりましょう。 ・また、書き下し文・現代語訳を作る問題に関してですが、こちらで付した注釈を無視する人が多いです。たとえば、「西園遊上才」の「応阮」ですが、注釈を見れば、これが人 名だというのは明白です。無理に訓読することはないのです。また、「当軒」の「当」を再読文字(副詞)として読む人が多かったですが、漢文では、基本的に副詞は動詞の前に 置かれます。「軒」のような名詞を修飾することはほとんどありません。下にある言葉が名詞なら、その上の言葉は動詞だと先ず疑ってください。 ・また、書き下し文ですが、基本的に目的語(名詞)から動詞に、もしくは、動詞から否定詞などの一部の助字に返って読むのであって、「雲霧(名詞)に百尺(名詞)凌ぐ(動 詞)」などのように、いきなり名詞から名詞に返るようなことはありません。これは、「百尺(主語/名詞)雲霧(目的語/名詞)を凌ぐ(動詞)」(原文=百尺凌雲霧)と訓 読します。ほかにも「借問」などは漢和辞典を引けばどう読むのかが書いてあります。辞典を引く癖をつけましょう。 |
【漢文講読】について(2024.11.14更新) |
2024年度(第6回)10月27日科目終了試験における総評 ・読解問題に関して、辞書や参考書を用いるのはかまいませんが、ちゃんと自分で原文を確認して、時折は自分なりの言葉に直して書くようにしてください。無感動・無関心に他 人の労(参考書やネットの記事など)を引き写すだけでは、その後の文章に対応できません。なにが書いてあるか理解できていないからです。日本語で書いてあっても、集中をしてい ないと私たち自身には何も残りません。それは、効率が良いように見えて実は最も無駄な行為です。なぜ、無感動・無関心と言い切れるかというと、テスト中の原文の文字と書き 下し文の文字が違っているからです。今回でいえば「酔嬌」が「酔驕」(ネットの記事と同じ)になっていたり、原文は「風嫋たり」が「風揺れる」(ネット記事と同じ)となっていた りしていました。こういうミスが出るということは、なにも考えずに文字だけをタイプしていたのでしょう。せめて、テストの文章をしっかり見ましょう。 |
【東洋史概説】について(2024.11.14更新) |
2024年度(第6回)10月27日科目終了試験における総評 今回は、論述問題の「科挙」をもう少し勉強するだけでクリアできました。たしかに、科挙は宋代以降、三段階試験になりましたが、今回の回答では正解になりません。「州試」 「府試」というのは、「郷試」のことです。同じ意味のワードを挙げて説明をしても、点数になりません。ほかに「~試」というのが二つあります。唐代と宋代以降では制度が違 うので、そこに関してワードを選んで書いてみると良いでしょう。たとえば、「進士」とか「吏部試」とか「試験の三段階化」などが挙げられそうです。 |
「心理学的支援法II」について(2024.10.20更新) |
これまで科目終了試験を採点する中で気になっていることがあります。それは、ご自身がすでに提出されたレポートで書かれた文章と重複する文章が「無言及のまま」解答で用いられているのが散見されたことです。 中には自己剽窃と認められる解答もありました。過去にご自身が書かれた文章であるとはいえ、大学の科目試験の解答ですので引用は適切に行なってください。 もちろん、レポートは公刊されたものではないので〇〇(2024)というような通常の引用形式には馴染まないかもしれません。 しかし、例えば「すでに本科目のレポート課題で論じたように」とか「提出済のレポートを再掲すると」など、引用の意図を明確に示すことが重要です。その際、多量の直接引用は避け、適宜言い換えや要約を行い、 解答の論旨に必要十分な量を引用することも心がけてください。 |
「漢文講読Ⅰ」・「漢文学の基礎Ⅱ」の論述問題について |
● 論述問題では必ず作品の原文を引用して論じるようにしてください。原文には、基本的に書き下し文、または、現代語訳をつけるようにしてください。また、適当に作品を引用するのではなく、ちゃんと自分の論旨と関係する作品や文章を引くようにしてください。引用されているものと、説明文がかみあっていないことがよく見られます。こういう場合は加点できません。 ● 詩を引用する場合、基本的には2句単位で引用します。 【例】「朝辞白帝彩雲間、千里江陵一日還(朝に辞す 白帝 彩雲の間、千里の江陵 一日にして還る)」。 ● ただし、場合によっては、四句、八句を引用したほうが良いです。今回の「漢文学の基礎Ⅱ」の『詩経』の漸層法を説明する場合は、一章(四句)、乃至、二章(八句)を引用したうえで説明を加えた方が良かったです。そのほうが視覚的にも説得力が増しますし、どういったものを漸層法ととらえているか、学生の理解を見ることができるからです。レポートの場合は、字数制限があって、内容が長いものは作品のタイトルだけ挙げて概説を加えるだけでもよかったですが、特に字数制限の無い場合は、しっかりと自分の理解度が伝わるように工夫しましょう。だからといって、無駄に論述を長くしすぎてもいけません。このあたりのバランスにも学生のセンス・学習態度が窺えます。また、無意味に作品の全文を引用して、訳を加えただけのものも大して評価できません。 ● 六義の説明(特に表現方法に関する部分)なども、やはりある程度作品を引用すべきです。そして、詩句のどこが、どのような表現につながっているのかを論じます。 ● 最後に、ほかの科目にも共通する注意点を述べます。教科書や参考書を参照するのはかまいません。ただし、課題の説明文に教科書などの説明文(日本語で書かれた部分)をそのまま引き写してくるのはやめてください。その場合は点数自体をつけません。必ず、自分なりに教科書などの説明をかみくだいて、分かりやすく記述するなどの工夫をしてください。また、書き下し文や現代語訳を参考書などから引用した場合は、「書き下し文、現代語訳は誰々訳『~~』(○○出版社)に拠った」などと記載してください。※これは論述問題に限ります。問題が、「原文を書き下し文・現代語訳にせよ」だった場合に同じことをしたら点数をだしません。 |
「漢文学の基礎Ⅰ」について |
● 江戸時代の訓読の流派については、『訓読論』・『続・訓読論』(ともに勉誠社※聖徳大学の図書館も所蔵しています)や、柳町達也『漢文読解辞典』(角川書店)の「訓点本解題」などを参考にしてください。試験前のレポート作成の段階で、これらも学習済みのものとして、試験を作成しています。レポート作成時に、参考書などの文書を自分なりの表現に工夫するだけではなく、「ヲコト点」・「~点」など、訓読が時代や流派の違いで、実際にどのように変わるのかに興味をもって、自己学習してほしかった部分です。 ● 上記の問題が選択問題ということもあって、ほかの問題は少し難しくしてあります。ですが、訓読文を見慣れていたり、あるいは、『白楽天詩選』を参考に原文に返り点を打つといった特訓したりしているはずなので、原文の読解も時間をかければなんとかなるはずです。返り点(レ点・一二点など)を追いかけるだけでなく、どういった言葉からひっくり返るのか、返らないのかに注目して学習することで、熟語や品詞を覚えられるはずです。 たとえば、「低眉信手続続弾(眉を低れ 手に信せて続続と弾く)」であれば、「低眉」・「信手」は熟語ではないことが分かります。また、「続続」が動詞を修飾する副詞(連用修飾語)であることも分かります。また、「大絃噌噌如急雨(大絃 噌噌として 急雨のごとし)」であれば、「大絃」・「噌噌」・「急雨」が熟語(2字の結びつきが強い言葉)であることがわかり、同じような文句にぶつかったときに、「噌噌を絃にし」とか「急に雨の如し」とか「急のごとく雨」といった簡単な誤読をせずにすみます。※上記の用例は白楽天の「琵琶行」からのものです。なお、「大絃」などは「大なる絃」と訓読しても間違いではありませんが、一般的ではありません。 レポートなどを機械的にこなすだけですと、こうした文脈を読む感覚は身につきません。 ● また、詩型についてもあまり理解ができていないようでした。今回の試験で扱った漢詩は「七言絶句」です。これが詩であるとしっかり理解できていれば、句を越えた無茶な読み方はしなかったはずです。「七言絶句」など聞き慣れないと思う方は、教科書の「五言」とか「近体詩」というのをほぼ無視していたのでしょう。ここも、どうして「五言」「七言」などと言うのか、「近体詩」とはどういうものか、「古詩」と何が違うのかに興味をもって自己学習しておく必要がありました。これらについては、最近の漢和辞典の附録を見るととよいです。たとえば、『全訳漢辞海』(三省堂)附録「中国古典の文体・詩律」など。また、「近体詩」の語釈などを見ても学べます。このほか、小川環樹『唐詩概説』(岩波文庫)なども参考になります。『白楽天詩選(上・下)』(岩波文庫)にも、作品の最後に詩型と韻目が書かれているので、それを手がかりに詩型の特徴がつかめます。 ● 最後に、教科書や漢文の文章を読んで「なんだこれは?」と思った言葉や表現は辞書を引いて調べましょう。辞書を引く労を惜しんではいけません。漢文に関する言葉で分からないことは漢和辞典を、教科書・参考書などの地の文(説明・概説・訳文など)で分からない言葉は国語辞典を引いてください。これは漢文だけでなく、ほかの外国語の科目などについてもいえることです。手持ちの辞書で解決しなければ、図書館などで大型の辞書を利用したり、専門書・訳注本を参考にしましょう。漢和辞典は1文字(親字)だけを調べるのではなく、そこにつづいて並んでいる熟語も眺めるようにすると良いです。 スマートフォンなどで言葉を調べるのも良いですが、語釈を見てお終いにするのではなく、用例も確かめましょう。あわせて、その語釈が何の辞典から引用されているのかも確かめる必要があります。また、できれば、はじめて調べた言葉は、教科書の余白部分とか専用のメモ帳を作ってメモすると良いです。これは、言葉の意味をおぼえるまで続けるとよいです。それで、「この言葉、見たことあるな」と思って教科書やメモ帳を見返せるようになると、言葉が身についてきたと言えるでしょう。 |