最終更新日:2026年1月30日
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産業組織心理学
産業・組織場面のできごとを心理学的に理解する単位条件
通信 4単位教員
履修条件
なし
到達目標
産業・組織心理学は、産業・組織における人の心理的な問題を明確にし、解決するための知識や理論を追求し、提供する。産業・組織心理学Iでは、主に「働くこと」と「働く人への支援」について、具体的に理解し、考察する。
自分自身が生き抜いていくため、あるいは組織の問題を解決するため、あるいは心理的な支援を要する他者の助けとするために、産業・組織心理学の知見を活用できる、ということを到達目標とする。本科目は聖徳大学のディプロマポリシー「3」に該当する。
学習成果
①歴史的な視点から産業・組織心理学全般の理解を深め、産業・組織心理学をとりまく現状を考察できる(1~2回)。
②組織、組織における労働契約・法規を知り、支援に役立てることができる(3~7回)。
③産業・組織におけるキャリア、ワーク・モティベーション、リーダーシップ、メンタルヘルス、安全衛生について理解し、考察できる(8~20回)。
④産業・労働分野の心理学的支援を知り、この分野における公認心理師の立場と役割について考察できる(21~30回)。
テキスト教材
加藤容子・三宅美樹編著『産業・組織心理学 個人と組織の心理学的支援のために』(ミネルヴァ書房)2019
参考図書
山口裕幸・高橋潔・芳賀繁・竹村和久『経営とワークライフに生かそう!産業・組織心理学エッセンシャルズ(改訂版)』(有斐閣アルマ)2020
評価の要点
レポート課題や試験では、字数制限の9割以上を目標にまとめること。なお、出題されたテーマをよく理解した上で、自分の言葉で簡潔に述べること。箇条書きは不可とする。学習内容を理解し、自分の考えを文章でどの程度正確に、適切に、説得力をもって論じられるかどうかで評価する。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。レポート課題を提出、合格後、試験を受けること。最終評価は試験によって行う。レポート課題では、出題されたテーマについて考察すること。また、テキストだけに頼るのではなく、自分で他の参考文献に当たるなどしてまとめること。科目終了試験では、設問内容に合わせた解答を作るよう心がけること。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
レポート、試験ともに字数制限を守ること。テキストや参考文献から引用、参考にする場合は、方法・ルールについて確認の上、適切に行うこと。
レポート課題
提出数 4第1課題
いずれか1設題を選択(選択した設題のみ「課題内容」に記載すること)。
第1設題
あなたが現在所属している(または過去に所属していた)組織(職場、チーム、プロジェクトなど)において、特定の課題(例:チーム内の連携不足、意思決定の遅延、業務効率の低下など)に直面していると想定して、以下の問いに順に答える形でレポートを作成しなさい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。
1)組織課題の特定とビオン(Bion,W)のBARTシステムの紹介:あなたが経験した具体的な組織課題を特定し、その状況を説明しなさい。その上で、その課題を分析するためにBARTシステム(境界、権限、役割、課題)を適用して分析し、どの要素(または要素間)にどのような問題があると考えられるか記述しなさい。
2)上記1に基づき、組織課題を解決するための具体的な改善策を提案しなさい。提案する改善策がBARTシステムの各要素にどのように働きかけ、組織の機能向上や効率化にどのように貢献するかを、産業・組織心理学の他の関連理論(例:公平理論、リーダーシップ理論、チームの心理的安全性など)も引用しながら論じなさい。
第2設題
以下の事例において、パートタイム社員のBさんについて、モチベーションと組織コミットメントの観点からどのような心理学的問題が生じていると考えられるか述べよ。また、これらの問題を解決し、従業員全体の心理的安全性を高めるためには、A社はどのような組織改善策を講じるべきか、パートタイム・有期労働法の趣旨(特に均衡待遇の原則)をふまえて具体的に論じなさい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。
【事例】A社は正社員(通常の労働者)とパートタイム社員を雇用し、主に小売業を展開している。正社員は全国転勤や幅広い業務経験を通じて管理職への昇進を目指すキャリアパスが一般的である。一方、パートタイム社員は勤務地や勤務時間が限定され、主に店舗での販売・レジ業務に従事している。最近、パートタイム社員のBさんは、自身と同時期に入社し、ほぼ同じ仕事内容(職務内容)に従事している正社員のCさんと比較して、賃金や福利厚生(特に賞与)に大きな差があることに不満を感じている。Bさんは勤続年数も長く、業務習熟度も高い。Bさんは店長に相談したが、「正社員とはキャリア管理(転勤の有無など)が違うから待遇が異なるのは当然」という説明を受けた。この状況を受け、A社はパートタイム・有期労働法に基づき、待遇差の内容と理由についてBさんに文書で説明を行ったが、Bさんの不満や職場の士気の低下は解消されていない。
第2課題
第1設題
あなたは、ある企業の組織開発担当者です。その職場では、業務が終わっていても「周囲が残っているから帰りづらい」という空気が蔓延しており、長時間労働が常態化しています。この状況を産業・組織心理学の視点から分析し、以下の三つのステップに沿って論じなさい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。
1)なぜ従業員は「帰りづらい」と感じるのでしょうか。以下の〈〉内の用語を少なくとも1つ用い、その心理的メカニズムを説明しなさい。〈同調圧力(周囲の行動に合わせようとする心理)、組織市民行動(職務記述書にない自発的な支援行動、過剰適応)〉2)「遅くまで残っている人が評価される」という認識がある場合、それは従業員のモチベーションにどう影響しますか。公平理論(自分の貢献と報酬のバランスを他者と比較する理論)の観点から説明しなさい。3)この組織文化を無くすためには、どのような介入が有効でしょうか。上司のリーダーシップや、組織内での「対話」に焦点を当てて具体策を提案しなさい(例:心理的安全性を高めるための取り組みなど)。
第3課題
1設題選択して解答せよ(選択した設題のみ「課題内容」に記載すること)。
第1設題
近年、「事務所衛生基準規則」の改正により、照度基準の引き上げやトイレの設置基準の見直し、さらにはテレワーク下での労働環境整備などが進められている。また、2025年からは従業員50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されることが決まる(施行は公布後3年以内)など、心理的負荷による労災防止の重要性が高まっている。これらを踏まえ、以下の2点について産業・組織心理学の観点から論じなさい(「課題内容」欄にはここまで書けば足ります)。
1)事務所における「照度」や「空間のゆとり」といった物理的環境の不備が、労働者の注意機能や疲労にどのような影響を与え、結果としてどのような不安全行動やヒューマンエラー、労働災害を誘発し得るか、心理学的メカニズムを用いて説明せよ。
2)労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度を形骸化させず、実効性のあるメンタルヘルス対策(三次予防だけでなく、一次、二次予防を含めて)とするために、「心理的安全性」や「集団分析の活用」が組織において果たす役割について考察せよ。
第2設題
EAP( Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)について、「基礎概念と歴史的背景」、「実施形態の比較検討」、「組織への介入と事例への対応」の3つの視点から下記のステップに沿って論じなさい。
1)EAPの起源と日本における現状について、産業・組織心理学の観点から論じなさい。その際、アメリカにおける当初の目的と、現在の日本における主な役割の違いに言及すること。
2)内部EAPと外部EAPのそれぞれの特徴とメリット・デメリットを比較し、企業が導入を検討する際に留意すべき心理学的・組織的課題について述べなさい。
3)メンタルヘルス不調者が発生した職場において、EAPが果たすべき『事例性(パフォーマンスや行動の崩れ)』へのアプローチと、職場復帰支援(リワーク)における他職種連携の重要性について論じなさい。
第4課題
第1設題
現代の職場における「テレワーク(バーチャルチーム)」の普及が、従来の対面型集団と比較してグループダイナミックスにどのような変容をもたらしているか。心理学的安全性(Psychological Safety)の視点を含めて論じなさい。なお下記の2つの視点について言及すること。
1)非言語コミュニケーションの減少が及ぼす影響
2)リーダーシップのあり方の変化(指示型から支援型・共有型へ)
備考・補足
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| 授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
| 産業・組織心理学を学ぶ意義 1)産業・組織心理学とは |
産業・組織心理学の概要がわかる | 序章1 90分 | |
| 産業・組織心理学を学ぶ意義 2)産業・組織心理学をとりまく現状 |
産業・組織心理学の概要がわかる | 序章2 90分 | |
| 組織とはー組織の運営・管理と組織ー個人の心理学的アセスメント 1)組織とは、2)組織の運営と管理 |
組織の運営・管理を理解する | 1章1、2 90分 | |
| 組織とはー組織の運営・管理と組織ー個人の心理学的アセスメント 3)組織ー個人のアセスメント |
組織と個人のアセスメントを理解する | 1章3 90分 | |
| 組織における労働契約・法規―産業・労働分野の基本となる法とは 1)労働契約とコンプライアンス |
労働契約とコンプライアンスについて理解する | 2章1 90分 | |
| 組織における労働契約・法規―産業・労働分野の基本となる法とは 2)産業・労働分野における安全衛生管理の制度と専門職 |
安全衛生管理の制度と専門職について理解する | 2章2 90分 | |
| 組織における労働契約・法規―産業・労働分野の基本となる法とは 3)産業・労働分野における法律 |
産業・労働分野の法律について理解する | 2章3 90分 | |
| キャリアー働く人々を理解・支援するための理論と概念 1)キャリアとは、2)キャリア発達 |
キャリア、キャリア発達について理解する | 3章1、2 90分 | |
| キャリアー働く人々を理解・支援するための理論と概念 3)キャリア開発 |
キャリア開発について理解する | 3章3 | |
| ワーク・モティベーションと組織コミットメントー個のパフォーマンスを支えるもの 1)ワーク・モティベーション |
ワーク・モチベーションについて理解する | 4章1 90分 | |
| ワーク・モティベーションと組織コミットメントー個のパフォーマンスを支えるもの 2)組織コミットメント |
ワーク・モチベーションと組織コミッ トメントについて理解する |
4章2 90分 | |
| リーダーシップー集団活動への効果的な影響力のために 1)リーダーシップとは 2)リーダーシップ研究の変遷と理論 |
リーダーシップとリーダーシップ研究の変遷、理論について説明できる | 5章1、2 90分 | |
| リーダーシップー集団活動への効果的な影響力のために 3)組織で求められるリーダーシップとその開発 |
リーダーシップ開発について説明できる | 5章3 90分 | |
| 職場の人間関係-人と人をつなげて組織を支えるもの 1)グループ・ダイナミクス 2)コミュニケーション |
職場の人間関係について理解する | 6章1、2 90分 | |
| 職場の人間関係-人と人をつなげて組織を支えるもの 3)チームワーク |
職場のチームワークについて理解する | 6章3 90分 | |
| 職業性ストレスとメンタルヘルスー働く人のストレスとの付き合い方を理解する 1)ストレスとは 2)職場のストレス要因とメンタルヘルスの問題 |
職場のストレス要因について理解する | 8章1、2 90分 | |
| 職業性ストレスとメンタルヘルスー働く人のストレスとの付き合い方を理解する 3)ストレスの予防とマネジメント |
ストレスの予防とマネジメントについて理解する | 8章3 90分 | |
| 作業と安全衛生―生産活動にかかわる人を支える 1)作業研究(作業能率)と作業に関する健康管理 |
作業と安全衛生について理解する | 8章1 90分 | |
| 作業と安全衛生―生産活動にかかわる人を支える 2)労働災害とその対策 |
労働災害について理解する | 8章2 90分 | |
| 作業と安全衛生―生産活動にかかわる人を支える 3)安全衛生マネジメント |
安全衛生マネジメントについて理解する | 8章3 90分 | |
| 産業・組織心理臨床の実際-「働くこと」を心理学的に支援するための活動 1)事業場内相談室 |
事業場内相談室について理解する | 9章1 90分 | |
| 産業・組織心理臨床の実際-「働くこと」を心理学的に支援するための活動 2)EAP |
EAPについて理解する | 9章2 90分 | |
| 産業・組織心理臨床の実際-「働くこと」を心理学的に支援するための活動 3)メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供、 4)連携と協働 |
メンタルヘルスケア推進と多職種との連携について理解する | 9章3,4 | |
| 産業・組織心理臨床の実際-「働くこと」を心理学的に支援するための活動 5)緊急支援と危機介入 |
緊急支援と危機介入について理解する | 9章5 | |
| 産業精神保健ー産業・労働分野における公認心理師の立場とその役割 1)健康管理としての産業保健、2)産業精神保健の実際 |
産業精神保健ついて理解する | 10章1、2 90分 | |
| 産業精神保健ー産業・労働分野における公認心理師の立場とその役割 3)職場における心の健康づくりの推進 |
職場における心の健康づくりについて理解する | 10章3 90分 | |
| ストレスチェック制度ーメンタルヘルス不調の未然防止のために 1)ストレスチェックについて、2)個人への対応、3)職場への対応 |
ストレスチェック制度を理解する | 11章 90分 | |
| 多様性に配慮した支援ーあらゆる人がいきいきと働くために 1)働き方改革と両立支援、2)職場復帰支援 |
多様性に配慮した支援について理解する | 12章1、2 90分 | |
| 多様性に配慮した支援ーあらゆる人がいきいきと働くために 3)障害者の就労支援、4)ハラスメント相談 |
多様性に配慮した支援について理解する | 12章3、4 90分 | |
| 組織開発ー学びと変容のプロセス 1)組織開発とは、 2)組織開発の理論、3)組織開発の方法 |
組織開発について理解する | 13章 90分 | |
| 試験 科目終了試験は、以上のテーマの中から出題します。 |