最終更新日:2026年1月30日
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産業・組織心理学Ⅱ
産業・組織場面のできごとを心理学的に理解する単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
産業・組織心理学は、産業・組織における人の心理的な問題を明確にし、解決するための知識や理論を追求し、提供する。
自分自身が生き抜いていくため、あるいは組織の問題を解決するため、あるいは心理的な支援を要する他者の助けとするために、産業・組織心理学の知見を活用できる、ということを到達目標とする。産業・組織心理学IIでは、Iでカバーしきれていない「消費者行動部門」も含めて知見を深め、実践で活かせるようにする。本科目は聖徳大学のディプロマポリシー「3」に該当する。
学習成果
①第一部「人事部門」人を活かすためにどうするかを考え、組織における人の処遇について説明することができる(1~5回)。
②第二部「組織行動部門」組織における人の行動について心理学視的視点から説明することができる(6~9回)。
③第三部「作業部門」働く人の安全と健康を守る方法と、人が仕事に取り組む際の心理を説明することができる(10~12回)。
④第四部「消費者行動部門」購買や消費についてのテーマを説明することができる(13~15回)。
テキスト教材
金井篤子編『産業組織心理学を学ぶ』(北大路書房)2019
参考図書
幸田達郎『基礎から学ぶ産業・組織心理学』(勁草書房)2020
濱口桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何か─正社員体制の矛盾と転機』(岩波書店)2021
評価の要点
レポート課題や試験では、字数制限の9割以上を目標にまとめること。なお、出題されたテーマをよく理解した上で、自分の言葉で簡潔に述べること。箇条書きは不可とする。学習内容を理解し、自分の考えを文章でどの程度正確に、適切に、説得力をもって説明できるかどうかで評価する。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。レポート課題を提出、合格後、試験を受けること。最終評価は試験によって行う。レポート課題では、出題されたテーマについて考察すること。また、テキストだけでカバーできない部分については自分で他の文献に当たるなどしてまとめること。科目終了試験では、設問内容に合わせた解答を作るよう心がけること。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
字数制限を守ること。テキストや参考文献から引用、参考にする場合は、方法・ルールについて確認の上、適切に行うこと。
レポート課題
提出数 2第1課題
いずれか1設題を選択
第1設題
以下の組織不祥事の架空事例について、下記の3つのステップに沿って論じなさい。産業・組織心理学の理論や概念を用いて述べること(「課題内容」欄にはここまで書けば足ります)。
A社は、自動車部品を製造する中堅メーカーである。同社は「品質第一」を掲げているものの、実際には生産目標の達成が最優先される組織文化が根付いていた。品質管理部門からの懸念の声は「生産スピードを妨げる」として経営層に軽視されがちで、従業員は過度なプレッシャーの中で業務にあたっていた。ある時期、納期に間に合わせるために、品質検査データを意図的に改ざんし、基準を満たさない製品を出荷していたことが内部告発により発覚した。
1)架空事例において、なぜデータ改ざんという不祥事が発生したのだろうか。産業・組織心理学の観点から、その心理的・組織的要因を分析しなさい。特に「組織文化」「集団心理」「集団の意思決定」の側面に焦点を当てて論じなさい。2)不祥事の発覚後、A社はどのように対応すべきだろうか。産業・組織心理学の知見に基づいた具体的な組織文化の改善策や制度設計を提案しなさい(例:「心理的安全性」「内部通報制度」「リーダーシップ」)。3)今後、同社が同様の不祥事を防ぐためには、どのような予防的アセスメントや研修プログラムが必要か、具体的に提案しなさい。
第2設題
あなたがこれまでに経験したアルバイトやインターンシップ等において、入職前に抱いていた期待と、入職後の現実にどのようなギャップ(リアリティ・ショック)があったか述べなさい。その経験を踏まえ、産業・組織心理学におけるRJP(Realistic Job Preview、現実的職務予告)が、組織と個人のミスマッチを防ぐためにどのような役割を果たすべきか論じなさい。
第2課題
いずれか1設題を選択
第1設題
あなたが組織(職場、部活動、サークル等)で「評価」を受けた際、その結果に対して納得できた(あるいは納得できなかった)経験を具体的に記述しなさい。その上で、評価の結果(分配的公正)だけでなく評価に至るプロセス(手続き的公正)が被評価者のモチベーションにどのような影響を与えるか、心理学的視点から論じなさい。
第2設題
下記の事例をふまえ、以下の問いに答えなさい。集団心理、特に「責任の分散(責任分散効果)」の観点からなぜこのような問題が発生したのか、そのメカニズムを説明しなさい。また、産業・組織心理学の知見に基づき、組織としてこのような「責任の分散」による意思決定の失敗や行動の遅れを防ぐための具体的な対策を複数提案しなさい。その際は単なる精神論ではなく、組織の構造、コミュニケーション、リーダーシップなどの観点を取り入れること(「課題内容」欄にはここまで書けば足ります)。
【事例】ある製造業の企業で、製品の品質に関わる小さな不具合が複数回発生していました。この不具合は、チーム内の誰もが気づく可能性がありましたが、担当部署や責任者が明確に定められていなかったため、各メンバーは「誰かが報告するだろう」「自分の仕事ではない」と考え、誰も積極的に問題について報告・対処しませんでした。結果として不具合は放置され、最終的に大規模なリコールが発生し、企業は甚大な経済的・社会的損害を被りました。
備考・補足
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| 授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
| 産業・組織心理学とは:扱う領域とテーマ、歴史、社会的意義 | 産業・組織心理学の概要がわかる | 1章90分 | |
| 募集・採用と評価・処遇 | 人的資源管理の概要がわかる | 2章90分 | |
| キャリア発達と能力開発 | キャリア発達の概要がわかる | 3章90分 | |
| 人間関係管理と職場の人間関係:支持的関係、ハラスメント | 職場の人間関係の位置づけがわかる | 4章90分 | |
| 働くことの意味と働かせ方:労働条件管理、人らしい働き方 | 適切な働き方と、不公正な働かせ方の違いがわかる | 5章90分 | |
| 組織行動の心理学的視点:集団のダイナミックス、組織文化、他 | 集団のダイナミックスがわかる | 6章90分 | |
| リーダーシップ:特性論、行動記述論、状況適合論、他 | リーダーシップの諸相がわかる | 7章90分 | |
| 仕事へのモチベーション:内容理論と過程理論、他 | モチベーションの理論がわかる | 8章90分 | |
| 組織開発:組織と個人の適合、ダイバーシティ、他 | 組織と個人の適合の諸相がわかる | 9章90分 | |
| 仕事の安全:労働災害、ヒューマンエラー、安全対策と文化、他 | 労働災害、安全対策の方法がわかる | 10章90分 | |
| 仕事の疲労・ストレスと心身の健康:産業疲労、過労による病気 | 労務管理とメンタルヘルスケアがわかる | 11章90分 | |
| 作業と職場をデザインする:作業設計と作業研究、他 | 作業負担と快適な職場環境がわかる | 12章90分 | |
| 消費者行動への心理学的アプローチとその意義:目的、研究法 | 消費者行動を理解する枠組みを知る | 13章90分 | |
| 消費者の購買意思決定:影響要因、購買後の評価、他 | 購買意思決定のプロセスがわかる | 14章90分 | |
| 企業活動と消費者行動:マーケティング、消費者問題、他 | マーケティングの基礎がわかる | 15章90分 | |
| 試験 科目終了試験は、以上のテーマの中から出題します。 |