最終更新日:2026年1月30日

1年次入学生:3年 3年次編入学生:3年 短期大学部:-
心理・福祉学部 心理学科

P062

産業・組織心理学Ⅰ

産業・組織場面のできごとを心理学的に理解する

単位条件

通信 2単位

教員

神谷 志歩

履修条件

なし

到達目標

産業・組織心理学は、産業・組織における人の心理的な問題を明確にし、解決するための知識や理論を追求し、提供する。産業・組織心理学Iでは、主に「働くこと」と「働く人への支援」について、具体的に理解し、考察する。
自分自身が生き抜いていくため、あるいは組織の問題を解決するため、あるいは心理的な支援を要する他者の助けとするために、産業・組織心理学の知見を活用できる、ということを到達目標とする。本科目は聖徳大学のディプロマポリシー「3」に該当する。

学習成果

①歴史的な視点から産業・組織心理学全般の理解を深め、産業・組織心理学をとりまく現状について考察できる(1回)。
②組織、組織における労働契約・法規を知り、支援に役立てることができる(2~3回)。
③産業・組織におけるキャリア、ワーク・モティベーション、リーダーシップ、メンタルヘルス、安全衛生について理解し、考察できる(4~9回)。
④産業・労働分野の心理学的支援を知り、この分野における公認心理師の立場と役割について考察できる(10~15回)。

テキスト教材

加藤容子・三宅美樹編著『産業・組織心理学 個人と組織の心理学的支援のために』(ミネルヴァ書房)

参考図書

山口裕幸・高橋潔・芳賀繁・竹村和久『経営とワークライフに生かそう!産業・組織心理学エッセンシャルズ(改訂版)』(有斐閣アルマ)2020

評価の要点

レポート課題や試験では、字数制限の9割以上を目標にまとめること。なお、出題されたテーマをよく理解した上で、自分の言葉で簡潔に述べること。箇条書きは不可とする。学習内容を理解し、自分の考えを文章でどの程度正確に、適切に、説得力をもって論じられるかどうかで評価する。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価する。レポート課題を提出、合格後、試験を受けること。最終評価は試験によって行う。レポート課題では、出題されたテーマについて考察すること。また、テキストだけに頼るのではなく、自分で他の参考文献に当たるなどしてまとめること。科目終了試験では、設問内容に合わせた解答を作るよう心がけること。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

レポート、試験ともに字数制限を守ること。テキストや参考文献から引用、参考にする場合は、方法・ルールについて確認の上、適切に行うこと。

レポート課題

提出数 2

第1課題

いずれか1設題選択(選択した設題のみ「課題内容」に記載すること)。

横書きパソコン印字可Web提出可
[1600]

第1設題

あなたが現在所属している(または過去に所属していた)組織(職場、チーム、プロジェクトなど)において、特定の課題(例:チーム内の連携不足、意思決定の遅延、業務効率の低下など)に直面していると想定して、以下の問いに順に答える形でレポートを作成しなさい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。

1)組織課題の特定とビオン(Bion,W)のBARTシステムの紹介:あなたが経験した具体的な組織課題を特定し、その状況を説明しなさい。その上で、その課題を分析するためにBARTシステム(境界、権限、役割、課題)を適用して分析し、どの要素(または要素間)にどのような問題があると考えられるか記述しなさい。

2)上記1に基づき、組織課題を解決するための具体的な改善策を提案しなさい。提案する改善策がBARTシステムの各要素にどのように働きかけ、組織の機能向上や効率化にどのように貢献するかを、産業・組織心理学の他の関連理論(例:公平理論、リーダーシップ理論、チームの心理的安全性など)も引用しながら論じなさい。

第2設題

以下の事例において、パートタイム社員のBさんについて、モチベーションと組織コミットメントの観点からどのような心理学的問題が生じていると考えられるか述べよ。また、これらの問題を解決し、従業員全体の心理的安全性を高めるためには、A社はどのような組織改善策を講じるべきか、パートタイム・有期労働法の趣旨(特に均衡待遇の原則)をふまえて具体的に論じなさい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。

【事例】A社は正社員(通常の労働者)とパートタイム社員を雇用し、主に小売業を展開している。正社員は全国転勤や幅広い業務経験を通じて管理職への昇進を目指すキャリアパスが一般的である。一方、パートタイム社員は勤務地や勤務時間が限定され、主に店舗での販売・レジ業務に従事している。最近、パートタイム社員のBさんは、自身と同時期に入社し、ほぼ同じ仕事内容(職務内容)に従事している正社員のCさんと比較して、賃金や福利厚生(特に賞与)に大きな差があることに不満を感じている。Bさんは勤続年数も長く、業務習熟度も高い。Bさんは店長に相談したが、「正社員とはキャリア管理(転勤の有無など)が違うから待遇が異なるのは当然」という説明を受けた。この状況を受け、A社はパートタイム・有期労働法に基づき、待遇差の内容と理由についてBさんに文書で説明を行ったが、Bさんの不満や職場の士気の低下は解消されていない。

 

第3設題

現代の多様化する組織において求められるリーダーシップのあり方について、産業・組織心理学における主要なリーダーシップ理論(例:特性論、行動論、状況論、認知論、変革論、関係論など)を最低一つ引用し、その理論的知見を踏まえつつ、あなた自身の具体的な経験(職場、アルバイト、学校生活など)を交えて論じなさい。なお、解答においては以下の点を含めることが望ましい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。

〈引用したリーダーシップ理論の簡単な説明/あなたの経験における課題や目標、状況の記述/理論的知見がその経験にどのように適用できたか、または適用できる可能性があったか/経験から得た示唆と、今後の組織で求められるリーダーシップについての展望〉

第2課題

いずれか1設題選択(選択した設題のみ「課題内容」に記載すること)。

横書きパソコン印字可Web提出可
[1600]

第1設題

あなたは従業員数300名の中堅企業の事業場内相談室に勤務する心理職です(公認心理師かつ臨床心理士)。ある日、営業部に所属する勤続5年目の社員A(30代男性)が、直属の上司であるB課長に連れられて相談室に来室しました。B課長からの事前情報によると、Aは最近、営業成績の不振と長時間労働が続いており、職場で「もう疲れた」「消えてなくなりたい」といった発言を繰り返すなど、明らかに精神的に不安定な様子が見られていました。心配したB課長が声をかけたところ、「実は最近、死ぬことばかり考えている」「家族にも迷惑をかけている」と打ち明けたため、相談室への来室を勧めたとのことです。Aは相談室に入ると、憔悴しきった様子で「自分が情けない」「もう仕事も家族全部終わりだ」と語り、具体的な自殺念慮と計画があることが示唆されました。

上記の架空事例に基づき、以下の問いに従って論述しなさい(「課題内容」欄には太字部分のみ書けば足ります)。1)カウンセラーの初期対応(個人への危機介入)事業場内相談室のカウンセラーとしてどのような初期対応(危機介入)を行いますか。産業・組織心理学における自殺予防の観点や、厚生労働省のガイドライン等を踏まえ、具体的な対応内容とその根拠を記述しなさい。2)相談室と組織の連携・対応(組織的アプローチ)A社員の安全確保と職場復帰に向け、相談室は組織(上司、産業医、人事部門等)とどのように連携すべきですか。また、組織としてどのような環境調整や再発防止策が考えられますか。守秘義務に配慮しつつ、組織へのアプローチという点から論じなさい(例:職場環境改善、コミュニケーション活性化)。3)産業・組織心理学における自殺対策の限界と今後の課題今回の事例をふまえて、事業場内相談室における自殺危機介入の限界や難しさについて、あなたの考えを述べなさい。

第2設題

現代の日本企業においては、正規社員・非正規社員の混在やテレワーク等の「雇用の多様化」「働き方の多様化」が進んでいる。これらが組織や個人に与える心理的影響について、以下のステップに沿って論じなさい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。

1)「雇用の多様化」、「働き方の多様化」が進むことで、職場内の「社会的比較」や「組織への帰属意識(組織コミットメント)」にどのような負の影響が生じうるか。2)多様な人材が共存する組織において、従業員のモチベーションを維持するために有効な心理学の理論を一つ以上挙げ、その適用可能性を説明しなさい。3)多様性を組織の成果につなげるために、リーダーや人事が取り組むべき具体的施策(心理的安全性の確保や1on1ミーティングなど)を心理学的根拠とともに提案しなさい。

 

 

第3設題

あなたは、ある企業の組織開発担当者です。その職場では、業務が終わっていても「周囲が残っているから帰りづらい」という空気が蔓延しており、長時間労働が常態化しています。この状況を産業・組織心理学の視点から分析し、以下の三つのステップに沿って論じなさい(「課題内容」の欄にはここまで記載すれば足ります)。

1)なぜ従業員は「帰りづらい」と感じるのでしょうか。以下の〈〉内の用語を少なくとも1つ用い、その心理的メカニズムを説明しなさい。〈同調圧力(周囲の行動に合わせようとする心理)、組織市民行動(職務記述書にない自発的な支援行動、過剰適応)〉2)「遅くまで残っている人が評価される」という認識がある場合、それは従業員のモチベーションにどう影響しますか。公平理論(自分の貢献と報酬のバランスを他者と比較する理論)の観点から説明しなさい。3)この組織文化を無くすためには、どのような介入が有効でしょうか。上司のリーダーシップや、組織内での「対話」に焦点を当てて具体策を提案しなさい(例:心理的安全性を高めるための取り組みなど)。

 

 

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
産業・組織心理学の意義と方法 産業・組織心理学の概要がわかる 序章90分
組織とはー組織の運営・管理と組織ー個人の心理学的アセスメント 組織の運営・管理と組織と個人の関係を理解する 1章90分
組織における労働契約・法規―産業・労働分野の基本となる法とは 組織における労働契約について理解する 2章(1~6) 90分
キャリアー働く人々を理解・支援するための理論と概念 キャリアについて理解する 3章(7~11) 90分
ワーク・モティベーションと組織コミットメントー個のパフォーマンスを支えるもの ワーク・モチベーションと組織のつながりについて理解する 4章90分
リーダーシップー集団活動への効果的な影響力のために リーダーシップと組織について説明できる 5章90分
職場の人間関係-人と人をつなげて組織を支えるもの 職場の人間関係について理解する 6章90分
職業性ストレスとメンタルヘルスー働く人のストレスとの付き合い方を理解する 社会の変化とメンタルヘルスについて理解する 7章90分
作業と安全衛生―生産活動にかかわる人を支える 作業と安全衛生について理解する 8章90分
産業・組織心理臨床の実際-「働くこと」を心理学的に支援するための活動(1) EAPて理解するとメンタルヘルスケアについて理解する 9章1、2、3 90分
産業・組織心理臨床の実際-「働くこと」を心理学的に支援するための活動(2) 連携と協働、危機介入について理解する 9章4、5 90分
産業精神保健ー産業・労働分野における公認心理師の立場とその役割 産業精神保健ついて理解する 10章90分
ストレスチェック制度ーメンタルヘルス不調の未然防止のために ストレスチェック制度を理解する 11章90分
多様性に配慮した支援ーあらゆる人がいきいきと働くために 多様性に配慮した支援について理解する 12章90分
組織開発ー学びと変容のプロセス 組織開発について理解する 13章90分
試験
科目終了試験は、以上のテーマの中から出題します。