最終更新日:2025年5月5日
V033
福祉と養護
子どもの最善の利益とは何か単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
我が国は少子高齢化が進む一方で、待機児童、児童虐待、子どもの貧困等、子どもを取り巻く環境が社会問題として顕在化している。この状況を鑑み、様々法制度が施行されているが、課題の端緒に手を付けた状態であるといえるだろう。本科目では、我が国における子どもを取り巻く環境を以下に改善していくかを考えるうえで、歴史や法制度、行財政を中心に取り上げ、これからの我が国の子ども家庭福祉を考えることを目標としている。
学習成果
学習成果としては以下の点がある。
1.社会福祉の基本的知識を身につけ、子どもや家庭を多角的にとらえることができる。
2.社会福祉に関連するニュースに関心をもち、子どもと家庭を取り巻く社会問題を理解することができる。
3.社会的養護の制度や実施体系等について理解できる。
4.社会的養護の現状と課題について理解できる。
テキスト教材
「福祉と養護」編集委員会編『福祉と養護 第2版』(株式会社みらい)
参考図書
流石智子監修・浦田雅夫編著『子ども家庭福祉』(教育情報出版)
評価の要点
・社会的な問題として「子どもの問題」を考えらていること。
・用語の理解とともに、その知識をどのように現場に活かしていくかを考えること。
評価方法と採点基準
第1課題 … 25題の穴埋め問題。60点以上(1題:4点)が合格です。
第2課題 … 掲載したテーマにそった論述の問題です。教科書以外の資料も踏まえながら取り組んでください。
科目終了試験 … 第1課題から20題程度の出題(配点60点前後)に加え、第2課題に類した論述問題を出題します。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
制度や法体系、歴史等、一見すると保育場面には関係がないと感じることが多い人もいるかもしれません。しかし、保育場面で起きていること、目の前にいる子どもが制度や法体系がないとどうなるかを考えてみてください。そして、それらの制度、関わり方は歴史を礎にして存在しています。その点をいかに考えるかが保育者として求められています。
レポート課題
提出数 2第1課題
指定用紙をダウンロードして印刷し、解答を記入して、レポート作成にあたっての注意事項〈必読〉の「➂送付の方法」により送付してください。
第1設題
文章の空欄に適切な用語や人名または、数字を入れなさい。
・( 1 )は福祉ニーズを「人間が社会生活を営むために欠かすことのできない基本的要件を欠く状態」としてとらえた。
・ すべての人が社会の一員として社会的に排除されることなく、健康で文化的な生活が実現できる社会づくりをめざす目標を( 2 )という。
・ 20世紀初頭、イギリスで行われたブースとラウントリーによる調査によって( 3 )は個人の問題ではなく、低賃金と雇用の不安定が原因であるということが指摘された。
・ アメリカでは1935年にニューディール政策の一環として( 4 )が成立し、社会保険制度(年金保険・失業保険)と公的扶助、社会福祉サービスに対する連邦政府の関与の枠組みが作られた。
・( 5 )は、1891(明治24)年に「孤女学院」(1897(明治30)年に「滝乃川学園」に改称)を設立し、知的障がい児の保護に取り組んだ。
・ 1899(明治32)年にプロテスタントである( 6 )が設立した私立感化院「家庭学校」は、今日の児童自立支援施設の原型となった。
・ 1951 (昭和26)年に制定された( 7 )では「児童は、人として尊ばれる」、「児童は、社会の一員として重んぜられる」、「児童は、よい環境の中で育てられる」という文言から始まる。
・ 今日の子どもの問題は、これまでの( 8 )対策ではなく、すべての子どもとすべての家庭に共通したものとして理解することが求められる。
・ 1989年に国連で採択された児童の権利に関する条約の第3条をみると( 9 )を追求することが求められている。
・ 児童の権利に関する条約の第12条の( 10 )は「参加する権利」の中の1つで、最も特徴的なものである。
・( 11 )の総則では「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない」と定められている。
・( 12 )は障がい児者が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活、社会生活を営むことができるよう、必要なサービスにかかる給付等を行うよう定めている。
・( 13 )は福祉行政の具体的実施機関として都道府県と市に設置が義務付けられている。特に、生活保護などを担うという側面が強いが、基本的には児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法など各福祉に関する法を根拠として業務を行う。
・( 14 )が行う事業として、第1種・第2種社会福祉事業、公益事業、収益事業等がある。また( 14 )には税制優遇措置がある一方、一般法人と比較して、財務状況等は厳しい規制がある。
・ 福祉関連の資格は( 15 )であることが多い。これは職に就いて初めてその資格名称を名乗ることができるというものである。
・ 社会的養護を体系的に理解した時に施設養護と( 16 )に大別することができる。( 16 )の代表的なものには里親があり児童福祉法で定められている。
・ 児童相談所が受け付ける相談は虐待だけではなく、肢体不自由児や知的障がい児に関する相談、総称して( 17 )や、ぐ犯等相談等の非行相談等がある。
・ 児童虐待防止法では、虐待を身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、( 18 )の4つに分類し、定義している。
・ 施設養護の展開過程は大まかに4つに分かれる。そのうち、施設養護を開始する前後に必要なケアを( 19 )という。
・ 2012年より( 20 )に里親支援専門相談員(里親ソーシャルワーカー)を加置することができるようになり、専門性の高さを必要とする施設であると認識された。
・ 障がい児入所施設は日常生活支援と治療を行う( 21 )障がい児入所施設と日常生活支援を中心とする福祉型障がい児入所施設の2つに大別される。
・ 個別援助技術(ケースワーク)においては、パールマンが構成要素を「4つのP」として分類しているすなわち「人(Person)」、「問題(Problem)」、「( 22 )」、「過程(Process)」である。
・ ケースワークの原則として、バイスティックの7原則が知られている。この原則のうち( 23 )はクライエント1人ひとりが、それぞれに異なる独特な性質を持っていると認め、かけがえのない個人として理解し、尊重することを指す。
・ ケースワークの原則として、バイスティックの7原則が知られている。この原則のうち( 24 )はクライエントを尊重しながら、現在のありのままの姿で感知し、理解するよう、受け止めることである。
・( 25 )は居住とともに社会的なケアを提供する社会福祉施設において、入所者に対して行われる生活支援の総称である。
第2課題
第1設題
現代社会の子どもを取り巻く問題として、「子どもの貧困」がある。この「子どもの貧困」がなぜ問題なのかを論じなさい。
ただし、文中に「相対的貧困」、「子どもの発達」、「教育保障」の用語を1回以上用いること。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
現代社会における社会福祉・子ども家庭福祉・社 会的養護の意義 |
社会福祉的思考の役割の理解 | P10〜24 (60分) | |
社会福祉・児童家庭福祉の歴史的変遷1〜英米〜 | 福祉国家の成立過程 | P25〜29 (60分) | |
社会福祉・児童家庭福祉の歴史的変遷2〜日本〜 | 戦前・戦後の取り組み方の違い | P29〜34 (60分) | |
社会福祉と児童家庭福祉の役割1〜児童福祉法と社会的養護〜 | 児童福祉法の理念と社会的養護の理念 | P35〜41 (60分) | |
社会福祉と児童家庭福祉の役割2〜児童の権利と権利擁護〜 | 児童の権利に関する条約 | P42〜47 (60分) | |
社会福祉と児童家庭福祉の法体系と実施体制1〜社会福祉法制行政〜 | 各法律の理念と行政機関 | P48〜67 (60分) | |
社会福祉と児童家庭福祉の法体系と実施体制2〜児童家庭福祉法制行政〜 | 子どもを取り巻く環境についての法律 | P54〜67 (60分) | |
社会福祉と児童家庭福祉の施設と専門職1〜社会福祉関連施設〜 | 社会福祉施設の意義 | P68〜73 (60分) | |
社会福祉と児童家庭福祉の施設と専門職2〜専門職〜 | 保育士をはじめとした社会福祉専門職 | P74〜81 (60分) | |
社会的養護の実施体制と仕組み1〜施設養護と家庭養護〜 | 施設と里親の役割分担 | P82〜84 (60分) | |
社会的養護の実施体制と仕組み2〜実施体制〜 | 児童相談所と市町村の役割分担 | P85〜92 (60分) | |
児童家庭福祉の現状と課題1〜母子保健と健全育成〜 | 母への支援 | P93〜97 (60分) | |
児童家庭福祉の現状と課題2〜児童虐待とDV〜 | 虐待の原因と面前DV | P98〜115 (60分) | |
施設養護の実際1〜施設養護の展開過程〜 | 施設養護の基本原理 | P116〜124 (60分) | |
施設養護の実際2〜各施設の役割とソーシャルワーク〜 | 施設の社会的役割 | P125〜139 (60分) | |
試験 | 評価方法、採点基準参照 |