最終更新日:2025年2月18日
P004
教育心理学
心理学的な観点から教育を理解する単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
教育という営みや学習者について心理学的な見地からとらえられるようになることを目標とする。
本科目は心理学科のディプロマ・ポリシーに該当している。
学習成果
・発達の過程にある学習者を理解することができる。
・学習という事象および教育という営みについて心理学的にとらえることができる。
・効果的な教育実践や教育現場における諸問題への対応について理論的に考えることができる。
テキスト教材
榎本博明『わかりやすい教育心理学』(サイエンス社)2021
参考図書
鎌原雅彦・竹綱誠一郎『やさしい教育心理学 第5版』(有斐閣アルマ)2019
中澤潤『よくわかる教育心理学 第2版』(ミネルヴァ書房)2022
評価の要点
レポート:テキスト教材や参考書によって着実に学び、基礎的な知識を身につけているか。
科目終了試験:教育心理学の理論や用語を正確に理解しているか。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
科目終了試験は、教育心理学の基礎的な理論や知見について正確に学び、用語の意味と使い方を理解しているかを基準に評価する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
・学習範囲を熟読し、参考書等も参照して、学ぶべき内容や用語を正しく理解してください。
・他の科目の学習内容と関連する部分も多くあります。人が発達し学んでいく過程とそれを支える教育について、様々な知識を結びつけながら理論的にとらえていってください。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
Ⅰ 認知発達に関する以下の各文について、最も関係の深い語を選択肢から1つ選んで記号で答えなさい。
① ピアジェの理論によると、人は物事を認識する自分なりの枠組みをもっており、枠組みに合わせて環境を理解したり、環境に合わせて枠組みを修正したりして、認知的に発達していく。
② 生後半年を過ぎた赤ちゃんが、いないいないばあを楽しむようになる。
③ 3歳の子どもが、保育園で自分が経験していることを当然親も知っていると思い込んで話をする。
④ 同じ数の積み木を2列に同じ幅で並べ、一方の間隔をせばめて列を短くすると、4歳の子どもがもう一方の列の積み木のほうが多いと答える。
⑤ 自分がどのくらいの量を記憶できるか、学習課題で自分がわかっていないことは何かといった、自分の認知活動を客観的にとらえる力は、小学校高学年以降に急速に発達する。
【選択肢】
A. 系列化 B. シェマ C. メタ認知 D. 保存の概念 E. 物の永続性の概念 F. アミニズム G. 仮説演繹的思考 H. 自己中心性 |
Ⅱ 記憶に関する以下の各文について、最も関係の深い語を選択肢から1つ選んで記号で答えなさい。
① 白菜、焼きそば、塩、ラムネ、いくら、スイカの買い物を頼まれたときに、それぞれの頭文字をとって「ハヤシライス」と考えると覚えやすい。
② 数秒から数十秒程度保持される一時的な記憶は、機械的に反復することで保持時間を延ばすことができる。
③ 小学2年のAさんは、課題の遂行のしかたについて教師が最初に行う説明を忘れ、間違った方法で取り組んでしまうことで困っている。
④ 意味づけ、連想、自己との関連づけといった深い情報処理によって、情報が長期記憶に転送される。
【選択肢】
A. 維持リハーサル B. 精緻化リハーサル C. 手続き記憶 D. ワーキングメモリ E. 初頭効果 F. チャンク |
Ⅲ 古典的条件づけの理論において①~⑤を何というか、下記の選択肢から選んで記号で答えなさい。
梅干しを知らない人は《①梅干しを見る》ことで唾液が分泌されないが、《②梅干しを食べる》と自然に《③唾液が分泌される》経験をくり返すと、《④梅干しを見る》だけで《⑤唾液が分泌される》ようになる。
【選択肢】
A. 条件刺激 B. 無条件刺激 C. 中性刺激 D. 条件反応 E. 無条件反応 |
Ⅳ オペラント条件づけの理論において①~③を何というか、下記の選択肢から選んで記号で答えなさい。
ある子どもが危ないことをしたときに保育士が《①手厚く関わる》ことをくり返していると、その子どもが《②危ない行動する頻度が増えた》。危ない行動に対する関わりを最低限にして、望ましい行動をしているときに手厚く関わるようにすると、子どもは《③危ない行動をしなくなった》。
【選択肢】
A. 報酬 B. 強化 C. 随伴性 D. 弱化 E. 消去 |
Ⅴ 動機づけに関する以下の各文について、空欄にあてはまる語を選択肢から1つ選んで記号で答えなさい。同じ語を複数回選んでもかまいません。
1( ① )によると、ある課題に対する動機づけの高さは、( ② )(課題を達成できる確率)と( ③ )(課題に成功することの自分にとっての魅力)とのかけ算で決まる。
2 成功や失敗の原因を何に求めるかを原因帰属という。ワイナーらは、原因を内的なものか外的なものかという次元と、安定しているかどうかという二次元で整理し、失敗したときに内的で安定的な要因に原因を求めると動機づけが( ④ )するとした。セリグマンらによる( ⑤ )の実験は、学習者が成功や失敗の原因を自分の( ⑥ )にあると考える傾向を高めるはたらきかけが重要であることを示唆している。
3 内的に動機づけられている行動に金銭報酬を与えると、その後その行動に対する動機づけが( ⑦ )することが、デシの研究で示されている。これは、金銭報酬が( ⑧ )的なものとして受け取られたためと考えられる。
【選択肢】
A. 学習性無力感 B. 能力 C. 努力 D. 価値 E. 達成目標 F. 熟達目標 G. 向上 H. 低下 I. 期待 J. 制御 K. 情報 L. アトキンソン M. ドゥウェック |
第2課題
第1設題
Ⅰ エリクソンの心理社会的発達段階論について、以下の各文と最も関係の深い発達段階を選択肢から1つ選んで記号で答えなさい。
① 基本的生活習慣を身につけ、自分の身体や身の回りのことを自分でコントロールできるようになる。
② 新しいことへの挑戦や友達との関わりを通じて、目的をもって積極的に行動する力が獲得される。
③ さまざまな課題に取り組んで成し遂げる経験によって、現実的なものごとを努力して達成する感覚を得る。
④ 養育者との間に安定したアタッチメントを築き、他者への信頼感と自己への信頼感が獲得される。
⑤ 自分は何者かについて探求し、自己の斉一性と連続性の感覚を獲得していく。
【選択肢】
A. 乳児期 B. 幼児期初期 C. 遊戯期 D. 学童期 E. 青年期 F. 成人期前期 |
Ⅱ 知能に関する以下の文の空欄にあてはまる語を選択肢から1つ選んで記号で答えなさい。同じ番号には同じ語が入ります。
ビネーはシモンとともに、世界初の実用的な知能検査を1905年に開発した。彼らは検査における各年齢段階の知能水準を見出し、検査によって位置づけた年齢を( ① )年齢と呼んだ。1916年、ターマンはビネー式知能検査の改訂版において、( ① )年齢を検査時の実際の年齢である( ② )年齢で割ったものに100をかけた数値を( ③ )とした。
ビネー式知能検査が全体的な知能の水準を測定しようとしたのに対して、ウェクスラーが1939年に作成したウェクスラー式知能検査は知能にいくつかの側面を想定している。児童用の検査である( ④ )の最新版の( ④ )-Ⅴでは、全体の得点である全検査IQに加えて、言語理解指標、視空間指標、流動性推理指標、ワーキングメモリ指標、処理速度指標の5つの領域について知能の水準が測定される。ウェクスラー式知能検査では、各年齢集団の平均と標準偏差をもとにした( ⑤ )を算出する。現在はビネー式知能検査も、14歳以上では( ③ )ではなく( ⑤ )が算出される。
ビネー式知能検査は( ⑥ )、ウェクスラー式知能検査は( ⑦ )を対象として開発されたが、現在はいずれも幼児から成人までを対象とするものとなっている。
知能のとらえ方には様々な立場がある。たとえば( ⑧ )は「頭の良さ」についての素朴な考え方を分析し、知能は分析的知能、創造的知能、実践的知能の3つで構成されるとした。また、( ⑨ )は知能を広範囲にとらえて多重知能理論を提唱し、人生に有用な知能として7つの知能を挙げた。
【選択肢】
A. 知能指数 B. 偏差値 C. 偏差知能指数 D. 発達 E. 精神 F. 生活 G. WAIS H. WISC I. WPPSI J. 児童 K. 成人 L. 兵役軍人 M. スピアマン N. スタンバーグ O. ガードナー P. ギルフォード |
Ⅲ 以下の各文の説明に最も関連のある学習の方法や形態を、選択肢から1つ選んで記号で答えなさい。
① 個々の学習者の理解度に合わせて学習課題をスモールステップで進めていく。
② 学習者に知識を伝達する効率的な方法であり、学校教育では中心的な学習法になっている。
③ 学習者の意欲や応用力を高め得る利点があるが、適用できる学習内容が限られ、学習の手間と時間がかかるという注意点がある。
④ 学習者どうしがグループ内で教え合うことによって学習効果を高める。
【選択肢】
A. 社会的学習 B. プログラム学習 C. 受容学習 D. 機械的学習 E. ジグソー学習 F. 自己強化学習 G. 発見学習 |
Ⅳ 以下の各文に最も関連のある教育評価の種類を、選択肢から1つ選んで記号で答えなさい。同じ記号を複数回選んでもかまいません。
① 同じ学力であっても所属する集団によって評価が変わる可能性がある。
② 客観的な学力がより高い児童生徒が、より低い評価を受ける可能性がある。
③ 適切な評価ができる到達度目標の設定が難しい場合がある。
④ 児童生徒一人一人の学習過程が重視される。
⑤ 評価者の主観に影響される余地が少ない。
⑥ 評価がその後の学習の具体的な目標に直接つながりやすい。
【選択肢】
A. 相対評価 B. 絶対評価 C. 個人内評価 |
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
教育心理学とは | 教育心理学の位置づけを理解する | 第1章 (p.1~9) | |
心の発達 | 発達に影響する要因と発達段階について理解する | 第2章 (p.11~32) | |
言語・思考・記憶の発達① | 言語と思考の発達について理解する | 第3章3.1~3.2 (p.33~48) | |
言語・思考・記憶の発達② | 記憶の発達について理解する | 第3章3.3 (p.48~56) | |
知的能力の発達 | 知能のとらえ方について知り、学業成績に影響する要因を理解する | 第4章 (p.57~74) | |
自己意識の発達 | 自己に関する意識の発達について理解する | 第5章 (p.75~94) | |
社会性の発達 | 人間関係や社会生活に関する考え方や行動の発達について理解する | 第6章 (p.95~108) | |
学習に関する理論 | 学習という事象を心理学的にとらえ、その諸理論を理解する | 第7章 (p.109~122) | |
学校教育における学習 | 学習の形式・方法について知り、学習効果との関連を理解する | 第8章 (p.123~140) | |
学習の動機づけ① | 動機づけに関する理論や知見について理解する | 第9章9.1~9.2 (p.141~154) | |
学習の動機づけ② | 動機づけに関わる要因について理解する | 第9章9.3~9.4 (p.154~160) | |
パーソナリティの理解① | パーソナリティをとらえる諸理論について理解する | 第10章10.1~10.3 (p.161~180) | |
パーソナリティの理解② | パーソナリティの測定について理解する | 第10章10.4 (p.180~188) | |
不適応とその対応 | 教育現場の諸問題について知り、その背景となり得る個人の特性を理解する | 第11章 (p.189~204) | |
教育評価 | 教育評価の種類と特徴を知り、学習意欲への影響について理解する | 第12章 (p.205~218) | |
試験 教育心理学の基礎的な理論や知見について正確に学び、用語の意味と使い方を理解しているかを基準に評価する。 |