最終更新日:2025年2月28日

1年次入学生:- 3年次編入学生:- 短期大学部:-
大学院 児童学研究科

Q015

児童発達評価演習

心理教育的アセスメントの理論と技法を学ぶ

単位条件

通信 1単位 面接 1単位

教員

東原 文子
<領域>児童心理学
この科目は「学校心理士」の資格取得に必要な科目(1.心理教育的アセスメント基礎実習領域)です。

履修条件

レポートを提出済みであること

到達目標

テキストによる学習とスクーリングを通して、個別心理検査の実施法、解釈法を学び、また、実施した検査結果の解釈に基づき、指導案や指導計画を作成するための演習を行う。本科目では、まず前半7回目までで、主に発達障害のある児童生徒の心理教育的アセスメントの方法の概要を知り、すぐれた事例報告書を読むことで検査結果の解釈法から指導法につなげるための基本的な知識を学ぶ。後半8回はスクーリングで、検査の実施・解釈の実習を行う(これは学校心理士申請の「実習1.心理教育的アセスメント基礎実習」10ポイントのうち8ポイントに当たる。残りは発達臨床学演習のスクーリングで充てる。
〈ディプロマポリシーとの関連性〉
1)児童について多角的に考察(ここでは心理・教育的アセスメント)することができる能力・態度を身につける。
2)高度専門職業人(ここでは心理職)または研究者として社会に立てる実践能力・研究能力を有する。

学習成果

(1)知能検査の実施と解釈の基礎をする。
(2)知能検査と、行動観察や聞き取りから得られる背景情報とを結びつけて包括的なアセスメント報告書を書くことができる。
(3)子どもの学習面のつまずきを、得意とする学習スタイルで乗り越える「長所活用型指導」の見方で、アセスメント結果から指導計画を立てることができる。

テキスト教材

基本文献
上野一彦他責任編集『特別支援教育の理論と実践(第3版)Ⅰ概論・アセスメント』(金剛出版)2018

評価の要点

レポート作成にあたっては、まずテキストのB-1、B-2、B-4、B-5をよく読むことが必須です。そして、B-5の事例Aのアセスメントシートにならって、事例Bのアセスメントシート①(基本情報)を仕上げてください。文章から重要な点を抽出することと、B-5-2の、基本情報の整理(アセスメント情報①)の方法をよく理解することが必要です。その後、この事例Bの児童になぜ知能検査(WISC-Ⅳ)を実施したのかや、この児童の苦戦する作文を指導するとしたらどうしたらよいか、考察して下さい。その際、レポートの中に(テキストp.○を参照)のように書き込むようにしてください。

評価方法と採点基準

レポート20%、スクーリングでの総括試験80%(但し、レポートが合格しないとスクーリングに参加できません)。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

テキストを1章ずつ読み進めていく形でシラバスができています。15時間をまんべんなく割り振って学習していきましょう。

レポート課題

提出数 1

第1課題

横書きパソコン印字可
[4000]

第1設題

基本文献B-5の事例Bのアセスメントシート①(基本情報)を作成しなさい(表組みにせず、通常のパソコン文章のスタイルでよい)。その後、この児童にWISC-Ⅳを実施したのはなぜか、実施したことによりどのような情報が得られたかについて考察して書いて下さい。さらに、この児童には、特に苦戦している作文の指導について、検査結果から得られた方針で個別指導することとなったとします。その場合どう指導したらよいか具体的に考察しなさい。全部合わせて4000字程度で書いて下さい。今回は登校渋りへの支援を書くわけではなく、学習指導について書いて下さい。

※この考察部分に関しては、テキストの中から重要な点を引用して使ってください。その際、その際、レポートの中に(テキストp.○を参照)のように書き込むようにしてください。例:「発達障害児の教育的支援においてWISC-Ⅳが最も重視される理由は、個人内差が測定できる点にあるとされる(テキストp.●参照)。本事例においても、4つの指標得点にばらつきが見られ…」

備考・補足

← 表が横スクロールします →

授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
心理教育的アセスメントとは
 子どもの心理教育的アセスメントの意義と目的、また、特に発達障害児の心理教育的アセスメントの有効性を知る。
心理教育的アセスメントの基礎知識を得る。 特にテキストB-1(必要ならそれ以前も)
心理教育的アセスメントの方法
 心理教育的アセスメントに用いる代表的な検査の概要を知る。
知能、学力、行動・社会性のアセスメント法を知る。 特にテキストB-1
WISC-Ⅳの検査情報に用いられる用語の理解
 WISC-Ⅳ検査結果を解釈するための準備として、関連用語が示す意味を知る。
WISC-Ⅳの概要に関する基礎知識を得る。 特にテキストB-2
検査結果の伝え方
 保護者や学校への検査結果の伝え方のポイントについて模範的な事例を学ぶことで理解する。
検査結果の伝え方に関する基礎知識を得る。 特にテキストB-5
WISC-Ⅳの結果も用いた総合解釈
 WISC-Ⅳ検査結果から、検査以外の背景情報(基本情報)との関連をみていく方法を学ぶ。
基本情報と検査結果を結びつける。 特にテキストB-2
事例検討①
 テキストB-5に掲載された事例Aにおいて、基本情報や検査結果解釈と指導計画の関連を読み取り、考察する。
基本情報や検査結果と指導計画を結びつける。 事例Aの解釈をそれ以前の頁も参照しながら行う。
事例検討②
 テキストにB-5に掲載された事例Bにおいて、事例Aにならって、アセスメントシート①(基本情報)をしあげる。
基本情報の整理のしかたがわかる。 事例Aと同様に事例Bの基本情報を整理する。
検査実習①(検査概要)
 WISC-V下位検査の内容と実施上の留意点について、テキストとビデオ教材から読み取る。
知能検査の概要がわかる。 特にテキストB-2
検査実習②(実施)
 WISC-Ⅴ(受講生のニーズによっては他の検査)の実施練習を2人組で行う。
知能検査の実施手続きの概要がわかる。 特にテキストB-2
検査実習③(結果処理・解釈の方法)
 WISC-Ⅴ(受講生のニーズによっては他の検査)の結果の処理および結果解釈のしかたの基本について、事例データを用いて手順を追う。
知能検査の結果解釈の留意点がわかる。 特にテキストB-2
KABC-Ⅱ検査実習(概要)
 KABC-Ⅱの検査の概要、および、プロフィールの見方の基本を知る。
 改訂前のK-ABCについても触れる。
KABC-Ⅱの特徴を知る。 特にテキストB-3
行動観察と検査結果の関連
 発達障害児の指導場面についてビデオを用いた行動観察を行い、行動観察法の基礎を知り、その結果と検査結果を結び付ける。
行動観察に関する基礎知識を得る。 特にテキストB-1-4
アセスメント結果に立脚した指導(支援)計画の立案
 検査結果などによる包括的アセスメントから、発達障害児の個別の指導計画の立案までの一連の流れを知る。
長所活用型指導の観点をもつ。 模範的な事例報告書を読みこなす
総合事例演習①
 学習困難事例のデータから指導計画立案までの一連の流れを、グループディスカッションを交えて実際に行う。
総合的な事例解釈の技量。 授業中のメモを文章化する
総合事例演習②
 行動問題事例のデータから指導計画立案までの一連の流れを、グループディスカッションを交えて実際に行う。
総合的な事例解釈の技量。 授業中のメモを文章化する