最終更新日:2025年1月23日

1年次入学生:4年 3年次編入学生:4年 短期大学部:-
文学部 文学科

U094

日本近現代文学研究

文学テクストをどう読み、どう研究するか

単位条件

通信 2単位

教員

野本 聡

履修条件

小説を読むことが好きな者。それ以外は特になし。

到達目標

「日本近現代文学史I・II」で学んだことを深め、様々な小説に対する読解の視点、分析の方法を学ぶ。ここでの学習を通して各自がそれぞれ関心のある小説を自力で分析・研究する力を養う。言語によって編み出された小説がどのような構造を持っているかを意識することで洞察力と思考力を養う。テクストがコンテクスト(時代状況)にどう制約され、あるいはそれに抗っていったかをこれまでの日本近現代文学研究の成果を参照しながら読み解いていく。

学習成果

教科書として『大学生のための文学トレーニング近代編』を用いる。15回に分けて様々な小説が、それぞれ異なる研究方法から分析されている。
テキストをよく読んだ上で、付属されているトレーニングシートの設問に取り組む。それぞれの回で使われている文学理論(文学の研究方法・分析方法)がどのようなものなのかを把握して理解を深める。ここで扱われている小説テクスト以外(例えば文学史の教科書に載っていた作品や自分自身が興味を持つ小説)にも学んだテクスト分析方法の何が使えるかを考えながら読む。そうすれば小説を分析する研究力が磨かれる。また国語教材の教材研究をする上でも役に立つであろう。

テキスト教材

河野龍也・佐藤淳一・古川裕佳・山根良一・山本良編著『大学生のための文学トレーニング近代編』(三省堂)

参考図書

大久保典夫編『現代日本文学史』(笠間書院)
鈴木貞美『日本文学の論じ方―体系的研究法』(世界思想社)

評価の要点

レポートの評価の要点
1.課題について充分理解されていること。
2.適切な論理が展開されていること。
3.「履修と学習の手引」(聖徳大学通信教育部)所収の「レポートについて」に掲げられている注意事項が守られていること。
⒋課題の小説テクストを自身で精読し、論拠を提示しつつ独自の解釈がなされていること。

試験評価の要点
⒈テクスト分析の方法が理解されていること。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価する。
レポートは、上記「評価の要点」がクリアされているか、特に自身で小説テクストを精読し、論拠を提示しつつ独自な解釈が導き出されているかが重要な評価ポイントとなる。
試験は、教科書で学んだ分析方法を自覚的に用いている点が評価のポイントとなる。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

レポートは小論文形式である。当該テクストを自身で精読し、論の展開にあたっては、適切な論拠を明示し、独自性ある解釈を導き出すこと。
教科書で記述されている内容は独力ではやや難解であろう。しかし掲載された小説テクストと教科書に示される最新の文学研究を踏まえた解説を照らし合わせながら読んでいこう。じっくりと教科書を読み、現在の文学研究がテクストにどう向き合おうとしているか、理解を深める。

レポート課題

提出数 2

第1課題

縦書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

Ⅰ、Ⅱ、どちらかを選び、設問に答えよ。

Ⅰ、田山花袋「少女病」を読み、当時の「女学生」の特徴(ファッション、言葉遣いなど)を示し、「女学生」への杉田古城の視線の在り方を教科書98頁の資料に示された「乗車体験記」を引用、参照しつつ、述べよ。

Ⅱ、石川淳「焼跡のイエス」を読み、その語りの在り方を、〈闇市〉、〈浮浪児〉への視線の変化とともにまとめよ。

第2課題

縦書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

自身が関心を持つ小説一つ(近代以降の小説、最近の小説でも可)を自由に選び、そのあらすじを示し、本文を引用しつつ、テクスト分析方法によって明らかなるその小説の特徴を具体的に述べなさい。評価にあたっては、どのような分析方法を用いたかが明確に分かるように論じられていることを重視する。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
志賀直哉「小僧の神様」 小説にとって「作者」とは何かが分かる P10
国木田独歩「鎌倉夫人」 小説の〈視点〉の設定について理解できる P20
横光利一「蠅」 「描写」とは何かが理解できる P32
太宰治「千代女」 「語り」とは何かが理解できる P38
佐藤春夫「女誡扇綺譚」 〈内容〉と〈語り〉の違いを理解できる P52
森鷗外「舞姫」 小説にとって「読者」とは何かが分かる 68P
田山花袋「少女病」 小説に描かれる〈都市〉について理解できる P84
林芙美子「放浪記」 〈フィクション〉と〈ノンフィクション〉について理解できる P98
坂口安吾「真珠」 小説に書き込まれる〈同時代〉について理解できる
P112
石川淳「焼跡のイエス」 小説内で変化する〈語り手〉について理解できる P136
夏目漱石「坊っちゃん」 小説にとって「本文」とは何かが分かる P142
樋口一葉「たけくらべ」 自筆原稿を読むことについて把握できる P156
芥川龍之介「舞踏会」 小説を構成することについて理解できる P164
井伏鱒二「山椒魚」 「テクスト論」とは何かが理解できる P174
谷崎潤一郎「蓼喰ふ蟲」 〈挿絵〉がもたらす効果について理解できる P186
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