最終更新日:2025年1月23日

1年次入学生:2年 3年次編入学生:4年 短期大学部:-
文学部 文学科

U075

日本近現代文学史Ⅱ

昭和初年代の文学史を小説テクストを精読しながら理解する

単位条件

通信 2単位

教員

野本 聡

履修条件

小説を読むことが好きな者。それ以外は特になし。

到達目標

昭和初期の混沌とした時代状況に文学はどう影響され、あるいはそれにどう抗ったか。その様態を理解する。昭和初期の文学が現在の私たちに与える示唆を具体的なテクストを精読することで学んでいく。

学習成果

教科書として『現代日本文学史』(笠間書院)を用い、学習指導書『近代・現代文学史Ⅱ』を併用することによって、昭和初期の文学の流れを把握する。学習指導書『近代・現代文学史Ⅱ』には、教科書で言及された作者の伝記的事項・他の作品名・文学用語等について最少限の補足解説がなされ、また実際の作品テクストの一部が例示されている。履修者は、さらに詳しく事典等を参照し、参考書が取り上げられている研究にも触れて理解を深めよう。また、教科書で取り上げられている作品テクストはその全編読了に挑戦してほしい。昭和初期の文学テクストは全集、選集の形で一般図書館でも多く収蔵されている。またWeb上の「青空文庫」でも閲覧が可能である。学習指導書『近代・現代文学史Ⅱ』の各章末に掲げた参考課題が解けるかどうかが学習が身についたかどうかの目安となろう。学習指導書『近代・現代文学史Ⅰ』の巻頭に記した「履修者の皆さんへ」も改めて参照し学習を開始しよう。

テキスト教材

大久保典夫他編『現代日本文学史』(笠間書院)
『近代・現代文学史I』(聖徳大学通信教育部)

参考図書

学習指導書の各章末を参照のこと。

評価の要点

・レポート評価の要点
1.課題について充分理解されていること。
2.わかりやすい論理で展開されていること。
3.「履修と学習の手引」(聖徳大学通信教育部)所収の「レポートについて」に掲げられている注意事項が守られていること。
⒋ 当該テクストを自身で精読し、自身の解釈を提示していること。

・試験評価の要点
1.教科書の内容がきちんと理解されていること。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価する。
レポートは、上記「評価の要点」がクリアーされているか、具体的な小説テクストを自身で読み、解釈しているか。その見解を適切な論理で叙述されれいるか、以上を総合的に判断し評価する。
試験評価も同様である。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

レポートは小論文形式である。小説テクストを自身で精読し、適切な論拠を示しつつ自身の解釈を示していく。小説テクストのコンテクスト(時代状況)にも留意した論述を心掛ける。
各章ごとに、教科書を読み、学習指導書を手引きとして実際に小説テクストを読み、参考書等を参照しつつ課題を思考していくことを繰り返すのは、かなりタフな学習となる。しかし、自身に課した苦難は確実に豊かな収獲、自己の成長をもたらす。コスパ、タイパを超えた文学の深みにどうか積極的に取り組んでほしい。

レポート課題

提出数 2

第1課題

縦書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

文学史の流れ、時代状況の中で、「新感覚派」が出現した必然性について、具体的な作家・小説テクストに触れつつ述べなさい。

第2課題

縦書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

次の設問から一つを選び、テクストから適切に引用しつつ設定された課題を論じなさい。それぞれのテクストはWeb上の「青空文庫」で読むことができます。

①プロレタリア文学の代表作、葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」を読み、テクストが描く労働者の身体の特徴を指摘し、「松戸与三」が「女工」に返事を書くとしたらどのような内容か、あるいは返事を書かなかったとすればその理由を述べよ。

②プロレタリア文学の代表作、小林多喜二『蟹工船』を読み、その修辞、比喩表現に着目し、同時代の新感覚派(横光利一など)のテクストと比較しその相同性と差異について述べよ。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
昭和文学の流れⅠ「昭和文学の出発と形成」 「昭和文学の出発と形成」が理解できる。 教科書p.63
昭和文学の流れⅡ「昭和文学の素地と環境」 「昭和文学の素地と環境」を理解できる。 教科書p.74
モダニズム文学の系譜Ⅰ「外来文化の受容の転換期」「『ハイカラ』から『モダン』へ」 「外来文化の受容の転換期」他を理解できる。 教科書p.76
モダニズム文学の系譜Ⅱ「新感覚派」 「新感覚派」を理解できる。 教科書p.80
モダニズム文学の系譜Ⅲ「新興芸術派」 「新興芸術派」を理解できる。 教科書p.83
モダニズム文学の系譜IV「『詩と詩論』から新心理主義へ」 「『詩と詩論』から新心理主義へ」を理解できる。 教科書p.86
プロレタリア文学の展開Ⅰ「『種蒔く人』と『文芸戦線』」 「『種蒔く人』と『文芸戦線』」を理解できる。 教科書p.91
プロレタリア文学の展開Ⅱ「ナップの結成とコップへの再編成」 「ナップの結成とコップへの再編成」を理解できる。 教科書p.96
転向と文芸復興Ⅰ「転向者の文学」 「転向者の文学」を理解できる。 教科書p.104
転向と文芸復興Ⅱ「文芸復興とその文学」 「文芸復興とその文学」を理解できる。 教科書p.111
戦時下の文学Ⅰ「日本浪漫派」 「日本浪漫派」を理解できる。 教科書p.117
戦時下の文学Ⅱ「作家の従軍、文学報国会の結成」 「作家の従軍、文学報国会の結成」を理解できる。 教科書p.119
昭和二十年代の文学Ⅰ「戦後派文学と無頼派」 「戦後派文学と無頼派」を理解できる。 教科書p.130
昭和二十年代の文学Ⅱ「民主主義文学の運動」 「民主主義文学の運動」を理解できる。 教科書p.143
昭和二十年代の文学Ⅲ「新文学への発展」 「新文学への発展」を理解できる。 教科書p.145
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