最終更新日:2024年1月28日
U150
日本近世史Ⅱ
保科正之とその時代単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
江戸時代屈指の「名君」とされ、会津松平藩初代藩主で、かつ三代将軍徳川家光の弟でもあった、保科肥後守正之という人物の生涯を探求するなかから、歴史学研究の基本である「史料批判」の方法や、正之が生きた時代背景、とくに幕藩体制社会の政治・権力構造を正確に理解することを目標とする。
学習成果
テキストや参考書を熟読することによって、上記到達目標に対する理解が深まり、かつこれまでの学説や近年の研究成果を学ぶことが出来る。
テキスト教材
小池進『保科正之〈人物叢書290〉』(吉川弘文館)2017
参考図書
藤井讓治『徳川家光〈人物叢書213〉』(吉川弘文館)1997
中村彰彦『保科正之』(中公文庫)2006
杣田善雄『日本近世の歴史② 将軍権力の確立』(吉川弘文館)2012
小池進『徳川忠長』(吉川弘文館)2021
評価の要点
保科正之の事蹟ももちろんですが、家光から家綱政権における政治過程を正確に理解すること。また参考書にあげた中村彰彦氏の著作を是非とも併読し、使用する史料などによって、描かれる人物像がいかに異なってくるかという点の理解も重要である。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目試験で評価する。
事例をあげた具体的説明ができているかを重視する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
できるだけ参考文献にも目を通して下さい。学説の相違などが把握できればさらに理解が深まります。なおレポート提出にあたっては、著者の見解なのか自分の意見なのかがはっきり分かるように書いて下さい。これは学問の基本です。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
保科正之の大名(山形藩主・会津藩主)としての事蹟について知るところを書きなさい。
第2課題
第1設題
家光から家綱政権という転換期における幕府の政治過程を、保科正之の立場とその関わりかたに留意して知るところを書きなさい。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
特異な出生 | 保科正之の出生の特異さとともに「史料批判」の方法が理解できる。 | 第1章 | |
信濃高遠城主保科正光の養育 | 正之を養育した保科氏のことを知ることができる。 | 第2章 | |
保科家相続 | 大名家における家督相続の実態等が理解できる。 | 第3章1・2 | |
二人の兄と父秀忠 | 兄家光と忠長との確執、父秀忠の正之への対応等を知ることができる。 | 第3章3・4 | |
山形藩主時代 | 家光による取り立てと山形藩主時代の政治が理解できる。 | 第4章 | |
会津統治 | 会津の歴史および会津藩統治の実像が理解できる。 | 第5章 | |
家綱の誕生と元服式 | 将軍家の元服式の様相と正之の役割等を知ることができる。 | 第6章1 | |
家光の死と「託孤の遺命」 | 家光死去の様子、そのときの正之の関わり方を知ることができる。 | 第6章2・3 | |
家光死去直後の正之 | 家綱政権開始当初の正之の役割と、末期養子の禁緩和の意味等が理解できる。 | 第7章1〜4 | |
明暦の大火 | 明暦の大火の様相と、正之の関わりの実態を知ることができる。 | 第7章5 | |
「大老」への道 | 「大老」職の成立過程と正之の関係等が理解できる。 | 第8章 | |
殉死の禁止 | 殉死の意味とその禁止の背景、正之の関わり方等が理解できる。 | 第9章1 | |
家綱政治の展開 | 家綱政治の展開と「大老」としての正之の役割等が理解できる。 | 第9章2〜5 | |
家訓十五条 | 正之の晩年と将軍家綱の対応、会津の「家訓十五条」の内容と正之の思い等が理解できる。 | 第10章 | |
正之の死とその周辺 | 正之死去前後の様子、交友関係、家族等を知ることができる。 | 第11章 | |
試験 |