最終更新日:2024年3月5日
U128
古典哲学・思想Ⅰ
中国古典哲学・思想の発展過程をたどる単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
(1)目的
東アジアの文化的背景となった中国の古典哲学・思想について、その発展過程を概観することによって、その特質を理解し、歴史文化に関する専門知識職業人として必要となる思想の知識を身に付けるとともに、倫理観を高めることを目的とする。
(2)授業構成と学習の成果
1.中国古典哲学・思想の基盤となった中国の原始的思想について、その特質を理解することができる。
2.中国古典哲学・思想における多様性をもたらした諸子百家の思想について、各思想の特質を理解することができる。
3.中国古典哲学・思想の歴史的展開の中核となった儒教思想について、その発展過程と各過程の特徴を理解することができる。
4.中国古典哲学・思想における仏教思想と道教思想について、その特質を理解することができる。
学習成果
1.殷代甲骨卜辞・周代金文および『書経』・『詩経』に見られる中国の原始的思想の特徴を正確に述べることができる。
2.諸子百家の思想について、各思想の違いを正確に述べることができる。
3.儒教思想の歴史的展開について、各時代ごとの特徴と、その変遷の因果関係を正確に述べることができる。
4.中国における仏教思想と道教思想の特徴と儒教思想との関係について、正確に述べることができる。
テキスト教材
阿部吉雄編著『中国の哲学』(明徳出版社)1964 参
参考図書
井ノ口哲也『入門 中国思想史』(勁草書房)2012
狩野直喜『中国哲学史』(岩波オンデマンドブックス)(岩波書店)2012
湯浅邦弘編著『概説 中国思想史』(ミネルヴァ書房)2010
森三樹三郎『中国思想史』上・下(第三文明社)1978
評価の要点
テキストの記述内容について、参考図書や原典等を参照して正確な理解がなされているかを評価する。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
・レポートにおいては、中国古典哲学・思想の原典に関する課題を課す。
・ レポートは、テキスト・参考図書の記述内容が、具体的な原典について的確に応用されているかによって評価する。なお、参考文献の明記は必須である。
・科目終了試験においては、テキストの記述内容についての論述問題を出題する。
・科目終了試験は、論述内容に重要事項の不足がないか、また、論述内容が正確であるかによって評価する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
・ レポートにおいて、原典は、「新編漢文選」(明治書院)、「新釈漢文大系」(明治書院)、「全釈漢文大系」(集英社)、「中国古典新書」(明徳出版社)を用い、その解説を参照するとよい。原典の文の引用は、漢文でも書き下し文でもよい。
・ 科目終了試験では、テキストの学習範囲中の一部に関して一題を出題する。そのため、あらかじめテキストの学習範囲全体について復習し、どの部分が出題されても対応できるようにしておくことが望ましい。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
『呂氏春秋』の中から一篇を取り上げ、その篇に見られる思想について、春秋戦国時代の諸思想と比較して、その特質を述べなさい。
第2課題
いずれか1設題を選択
第1設題
中国の前近代における『易経』の伝承と解釈の歴史について述べなさい。
第2設題
中国の前近代における『書経』の伝承と解釈の歴史について述べなさい。
第3設題
中国の前近代における『詩経』の伝承と解釈の歴史について述べなさい。
第4設題
中国の前近代における『礼記』の伝承と解釈の歴史について述べなさい。
第5設題
中国の前近代における『春秋左氏伝』の伝承と解釈の歴史について述べなさい。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
中国哲学の特質と原始思想 殷代の甲骨卜辞を通して、中国思想の基盤となっている特質を考察する。 |
中国の原始思想の理解 | テキスト p9〜p20 | |
周の金文と『書経』・『詩経』 周代の金文と『書経』・『詩経』を通して、周代の思想の特質を考察する。 |
中国の原始思想の理解 | テキスト p20〜p31 | |
孔子 『論語』に見える思想の特質について考察する。 |
諸子百家の思想の理解 | テキスト p32〜p45 | |
孟子 『孟子』に見える思想の特質について考察する。 |
諸子百家の思想の理解 | テキスト p45〜p57 | |
荀子と儒家の経書 『荀子』に見える思想の特質と儒家の経書について考察する。 |
諸子百家の思想の理解 | テキスト p57〜p71 | |
墨家と名家 墨家と名家の思想の特質について考察する。 |
諸子百家の思想の理解 | テキスト p72〜p90 | |
道家 道家の思想の特質について考察する。 |
諸子百家の思想の理解 | テキスト p90〜p113 | |
法家・陰陽家・雑家 法家・陰陽家の思想と雑家の書の特質について考察する。 |
諸子百家の思想の理解 | テキスト p113〜p126 | |
漢代の哲学 漢代における思想の変遷を考察する。 |
儒教思想の歴史的展開の理解 | テキスト p127〜p148 | |
魏晋南北朝時代の哲学 魏晋南北朝時代における思想の変遷を考察する。 |
儒教思想の歴史的展開の理解 道教思想の理解 |
テキスト p149〜p158 | |
隋唐時代の哲学と宋学の勃興 隋唐時代における思想の変遷と、宋代へとつながる流れを考察する。 |
儒教思想の歴史的展開の理解 道教思想の理解 |
テキスト p158〜p168 | |
道学の興起 北宋時代に興った道学の特質を考察する。 |
儒教思想の歴史的展開の理解 | テキスト p168〜p178 | |
朱子の哲学 南宋の朱熹によって完成された朱子学の特質を考察する。 |
儒教思想の歴史的展開の理解 | テキスト p178〜p189 | |
元明時代の哲学 朱子学の普及と陽明学の特質について考察する。 |
儒教思想の歴史的展開の理解 | テキスト p189〜p204 | |
清代の哲学 清において発達した考証学の背景と、清代後期に盛んになった公羊学派の主張を考察する。 |
儒教思想の歴史的展開の理解 | テキスト p205〜p219 | |
試験 科目終了試験を実施する。 |