最終更新日:2024年2月26日
1年次入学生:2年
3年次編入学生:4年
短期大学部:-
文学部 文学科
U103
言語学概説
ことばの成り立ち・世界のことばの中での日本語単位条件
通信 2単位教員
玉懸 元
履修条件
なし
到達目標
日本語学・英語学に用いられる言語学の概念の理解、データを実際に分析でき学習者に訂正して提示できる技能の習得。実践力を備えた人材を育成するために、言語教育に必要な専門知識と基礎技能を習得し、それをグローバル化の中で活動できる資格にできる。
学習成果
言語教育における四技能のうち、「話す」「聴く」において重要な位置を占める音声指導、「読む」「書く」に関わる統語構造の産出・解析、多義性の回避の指導が行え、中間言語の訂正を行うための基礎科目を学ぶことで正確な指導ができ、チーム・ティーチングにおいて同僚と情報共有できる。
テキスト教材
斎藤純男『言語学入門』(三省堂)2010
参考図書
斎藤純男『日本語音声学入門改訂版』(三省堂)2006
評価の要点
言語音の成り立ちを十分に理解してそれをIPAで表現でき、日本語音声との異同を説明できる。解釈の違いに対応した樹形図が正しく書ける。言語に対する考え方と外国語教授法の関係を正しく述べることができる。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価します。
言語現象の正確な理解:50%、論証の妥当性:50%
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
レポートと試験の勉強では教科書を十分読み、わからないことは図書館で調べるなどしてください。
レポート課題
提出数 2第1課題
横書きパソコン印字可
[1600]
第1設題
言語学で重要な概念となる「システム(体系)」と「対立」について、例を挙げ、さらにソシュールの考え方に言及しながら説明せよ。
第2課題
横書きパソコン印字可
[1600]
第1設題
統語論と意味論の関係について、日本語とそれ以外の言語一つ、あわせて二言語を対照・比較しながら論じなさい。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
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言語学の下位分野と外国語教育の関係・言語学とは何か・記号体系としての言語・下位領域・構造主義・二重分節・統合関係と範列関係・signifié (signified)とsignifiant(signifying)・記号学・有契性と記号の(絶対的)恣意性・体系systemと価値・通時態と共時態 | 四技能の指導で言語学のどの技能が必要かを簡単に述べられる。 | pp.16-20 十分な時間をかけて ください。以下同様です。 | |
語族・類型論・言語の多様性・世界の様々な語族・類型論・様々な言語の音声や表記・「どうぞ」はpleaseとどう違うか・ロシア語pajaluystaと「どうぞ」「どうも」「どうか」・日本語学習者の母語と日本語の簡単な対照 | 日本語や英語・中国語・韓国語など日本語学習者の母語を相対化できる。 | ||
調音音声学 音声学と音韻論の違い・調音音声学と音響音声学及び知覚音声学の違い・発声(フォネーション)・発声器官と調音点の名称・母音(学生の習得に応じ二講に分ける)・子音の調音と母音の調音の違い・母音台形・IPA基本母音の調音・補助記号・日本語の母音・細密表記と簡略表記・子音の離散的性質・肺気流子音の基本的なもの・非肺気流子音の紹介・IPA chartの参照方法・日本語の子音・分節音と超分節音・アクセントとトーン・プロソディ・日本語方言のアクセント |
pp.23-33 国際音声学会サイト等で音声を確認 | ||
構造主義音韻論 音韻体系・音(音)と音素・対立と弁別性・環境異音と自由変異・個別言語の音韻体 系・音 素 分 析・音 韻 プ ロ セ ス phonological processと は・変 化changeと 交 替alternation・同化・順行同化と逆行同化・異化・母音挿入・弱化・ハプロロジー・代償延長・撥音と促音 |
pp.33-45 | ||
生成音韻論 構造主義の手続き的アプローチとの違い・音韻規則のフォーマット・弁別素性・音韻行列phonological matrixと規則適用・基底・表層表示と規則の順序付け・表示のレベルの必要性・メンタルレクシコンと基底表示・素性間の含意関係と不完全指定・デフォルト規則 |
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形態論 形態と形態素・語基・接辞・自立形式と拘束形式・派生と複合・日本語の語の成り立ち |
pp.49-70 | ||
言語研究の歴史 古代インド-古代ギリシャの思想から近代言語学まで・構造主義言語学から現代言語学まで |
教授法が深く理解できる。 | pp.242-250 | |
文字論 日本の書記体系の性質 |
発音記号とかなの違いを「表語機能」の観点から述べられる。 | pp.229-240 | |
統語論 直接構成素分析・階層構造・文法範疇・ラベル付括弧付と樹形図の等価性・文法理論のいろいろ・形式主義と機能主義・自然言語と形式言語・cfgとcsg・生成文法とは・句構造文法・変換文法・対格言語と能格言語・語順の類型 |
多義的な文を樹形図・ラベル付括弧付でかき分けることができる。教育で用いられる文型と統語論の関係を述べられる。 | pp.71-104 | |
文章・談話 テクストの特徴(結束性、一貫性)・談話の特徴・フィラー・ターンテーキング・FTA |
書かれた日本語と、談話の違いを説明できる。 | pp.105-116 | |
意味論 「意味」とは・外延的定義と内包的定義・真理条件的意味論の概略・成分分析の概略・認知意味論・senseとreference・外延的意味論としての真理条件的意味論・Fregeの構成性原理・内包的意味論としての成分分析・意味構造の型 |
兆候と出来事、記号の意味と語や文の意味の違いが説明できる。言語表現が真になる世界のあり方と偽になるあり方を判断し説明できる。同義・反義・類義等を意味成分の観点で説明できる。 | pp.119-134 | |
語用論 発話行為理論・会話の含意・関連性理論 |
解釈で文を超える範囲のものがどうもたらされるか、実例で説明できる。 | pp.135-150 | |
歴史言語学・比較言語学 日本語史・方言学との関係 |
音韻変化、語形変化の具体例を挙げる事ができる。 | pp.153-190 | |
言語地理学 日本語方言学との関係 |
方言語形の分布を言語地理学の観点から説明できる。 | pp.191-201 | |
社会言語学 グループによる変異・使用域 |
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試験 論述式 |