最終更新日:2024年3月12日
U097
日本古典文学講読Ⅳ
『おくのほそ道』を読む単位条件
通信 2単位教員
履修条件
日本古典文学講読IIIの履修が終了していることが望ましい。
到達目標
1)芭蕉の俳諧観が説明できる。
2)『おくのほそ道』の作品が構成、表現等に工夫がされていることを説明できる。
3)「不易流行」の原型に、この旅で出会ったことがわかる。
学習成果
1)芭蕉の俳諧観を作品を通して理解できる
2)『おくのほそ道』の作品が計算されたもので、単なる紀行文学ではないことがわかる
3)晩年に至るまで芭蕉が唱えた「不易流行」の論の基本を、この旅とこの作品から認めることができる
テキスト教材
尾形仂・潁原退蔵訳注『新版 おくのほそ道』(角川文庫)
参考図書
尾形仂『芭蕉のこころをよむ(「おくのほそ道」入門)』(角川ソフィア文庫)
尾形仂『おくのほそ道評釈』(角川書店)
尾形仂『芭蕉の世界』(NHKライブラリー)または(講談社学術文庫)
評価の要点
1.「おくのほそ道」の作品が計算されたもので、単なる文学作品ではないことが理解できる。
2.「不易流行」の考え方の萌芽をこの「おくのほそ道」の紀行の中にみつけることができる。
課題に対して具体的に例を挙げていること。
他人の意見(先行文献)と自分の意見を必ず分けて記すこと。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価します。
レポートは、1 課題に対して、きちんと応じた内容になっているか
2 先行文献(教科書を含む)の引用の方法が正しいか
3 先行文献と自分の意見とを書き分けているか、という点で採点します。
科目終了試験は、問題を的確に把握し、正確な表現と正確な内容で解答しているかを評価します。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
歌枕、地名、人名、作品名が作品や解説に登場した場合は、辞典類(古語大辞典、地名辞典、日本古典文学大辞典、百科事典など)で確認す
るように。作品への理解が一層深まります。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
歌枕を訪ねた芭蕉は、実際の歌枕の地でどのような思いをすることが多かったか、具体的に例を挙げながら述べよ。
第2課題
第1設題
曽良の旅日記(曽良随行日記ともいう)と比べて、芭蕉が明らかに実体験とは異なる形で『おくのほそ道』を記述している点について具体的に例をあげて示すとともに、芭蕉の意図についても考えを述べよ。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
『おくのほそ道』日光の条(3) | 曽良の句と紹介 語の遊びによる句の仕立てがわかる | 教科書 P.16〜17、 P.73〜75、 P.160〜163 | |
『おくのほそ道』那須野の条 | 謡曲や「管仲馬ニ随フ」の話との関連がわかる | 教科書 P.17〜18、 P.75〜76、 P.163〜164 | |
『おくのほそ道』黒羽・雲巌寺の条 | 構成の妙と座禅の師の旧蹟を訪ねる意味がわかる | 教科書 P.18〜20、 P.75〜80、 P.164〜166 | |
『おくのほそ道』殺生石・遊行柳の条 | 謡曲にゆかりのある地を訪ねた意義がわかる | 教科書 P.20〜21、 P.80〜82、 P.166〜169 | |
『おくのほそ道』白河の関の条 | 歌枕としての「白河の関」の持つ意味がわかる | 教科書 P.21〜22、 P.82〜84、 P.169〜171 | |
『おくのほそ道』須賀川の条(1) | 「風流の」の句 白川の関越えの余響と関越えへの思いがわかる | 教科書 P.22〜23、 P.85〜86、 P.171〜174 | |
『おくのほそ道』須賀川の条(2) | 「世の人の」の句 隠栖者可伸への共感の気持ちがわかる | 教科書 P.23、 P.85〜87、 P.174〜176 | |
『おくのほそ道』浅香山の条 | 古歌と実方によせる思いを理解できる | 教科書 P.24、 P.87〜89 | |
『おくのほそ道』信夫の里の条 | もじ摺り石の今昔を憶う気持がわかる | 教科書 P.24〜25、 P.87〜89、 P.176〜179 | |
『おくのほそ道』飯塚の里の条(1) | 佐藤一族への思い・文学的虚構の句がわかる | 教科書 P.25〜26、 P.89〜92、 P.179〜180 | |
『おくのほそ道』飯塚の里の条(2) | 飯坂温泉 苦難の一夜の持つ意味を理解できる | 教科書 P.26〜27、 P.90〜92 | |
『おくのほそ道』笠島の条 | 実方への思いと発句の笑いを理解できる | 教科書 P.27、 P.92〜93、 P.180〜182 | |
『おくのほそ道』武隈の松の条 | 歌枕の松の歴史に千歳不易を理解できる | 教科書 P.27〜28、 P.94〜95、 P.182〜185 | |
『おくのほそ道』宮城野の条 | 加右衛門の風流に共鳴する心を理解できる | 教科書 P.28〜30、 P.95〜98、 P.185〜186 | |
『おくのほそ道』壺の碑の条 | 千歳の形見として壺の碑に寄せる思いを理解できる | 教科書 P.30〜31、 P.98〜99 | |
試験 |