最終更新日:2024年3月11日
U093
日本古典文学研究
『源氏物語』の女君を読み解く単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
物語文学の最高峰である『源氏物語』を、5人の女君を中心に読み解く。古典文学に描かれた恋愛のあり方を理解し、和歌と物語の関連、人物造型のあり方を明らかにすることで、作者紫式部の意図を自分なりに理解することができる。
※本科目は、文学に関する学問領域の基礎的な知識及び専門能力を身につけ、主体的に課題を解決できるという、文学部文学科のディプロマポリシーに関連する。
学習成果
・『源氏物語』の物語展開を、女君を中心に理解することができる。
・平安時代の和歌や物語文学の特徴が理解できる。
・平安時代の社会的慣習や結婚制度を理解し、現代社会を相対化する視点をもつことができる。
・日本古典文学に対する自らの見解をもち、表現することができる。
テキスト教材
米田明美・中葉芳子『源氏物語を彩るひとびと』(青簡舎)2015
参考図書
『新日本古典文学全集 源氏物語1~6』(小学館)
『紫式部を創った王朝人たち』(明石書店)
『源氏物語』の現代語訳類
評価の要点
〈レポート〉物語内容の理解だけでなく、考察や結論の妥当性、参考文献の活用の有効性(特に、丸写ししていないか、引用元を明記しているか)を重視する。
〈試験〉物語内容を把握し、自分なりの考察ができているかを重視する。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験(記述式)で評価する。
レポートにおいては、参考文献の丸写しや引用元の明記のないものは、合格基準を満たさないことに注意すること。試験は、物語内容の理解と考察内容を基準に採点する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
レポートでは、文章表現の正確さを錬磨し、参考文献の引用のルールを守ること。
図書館等を利用して、『源氏物語』全体(現代語訳でよい)や注釈書類、研究書にも目を通すことが望ましい。
レポート課題
提出数 2第1課題
※レポート作成上の注意
・ 本文(現代語訳でもよい)引用をする際、何からの引用であるか注として明示すること(書名・著者・出版社・出版年)。
・ 教科書や参考書をはじめ、諸論文・研究書を参照してよいが、表現を利用する場合は何からの引用であるか明示すること。明示なく引用するのは盗用となり、合格基準を満たさない。
第1設題
教科書でとりあげている女君(藤壺・末摘花・葵上・六条御息所・紫上)のうち1人を選び、以下のいずれかのテーマで自己の見解を述べよ。
その際、教科書でとりあげていない場面についても必ず触れること。
1.どのような性格であるか人物造型についてわかりやすく説明し、作者がそのような女君を描いた意図を明らかにせよ。
2.服飾(着物や髪など)や容姿の描写を挙げ、ビジュアル面でどのような人物造型がなされているか明らかにし、作者がそのような女君を描いた意図を明らかにせよ。
第2課題
※レポート作成上の注意
・ 本文引用(現代語訳でもよい)をする際、何からの引用であるか注として明示すること(書名・著者・出版社・出版年)。
・ 教科書や参考書をはじめ、諸論文・研究書を参照してよいが、表現を利用する場合は何からの引用であるか明示すること。明示なく引用するのは盗用となり、合格基準を満たさない。
第1設題
いずれか1題を選択。
1.教科書でとりあげている女君(藤壺・末摘花・葵上・六条御息所・紫上)のうち1人と、とりあげていない女君のうち1人を選び、2人の女君の共通点・相違点についてわかりやすく説明せよ。
2.教科書でとりあげている女君(藤壺・末摘花・葵上・六条御息所・紫上)のうち1人と、任意の文学作品(古典文学でなくてよい)の女性登場人物を比較し、共通点についてわかりやすく説明せよ。
3.『 源氏物語』には、作者紫式部の人生がどのように反映されていると考えられるか。教科書でとりあげている女君についても触れながら、自己の見解を述べよ。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
紫式部について 紫式部の経歴や親族等について理解する。 |
紫式部について理解できる | 教科書3~9頁 | |
藤壺1 源氏の恋慕・源氏との密通 |
『藤壺の人生について理解できる | 教科書12~16頁 | |
藤壺2 冷泉帝出産 |
『藤壺の人生について理解できる | 教科書17~20頁 | |
藤壺3 出家・崩御 |
『藤壺の人生について理解できる | 教科書21~26頁 | |
末摘花1 零落した姫君の噂を聞く・ライバル出現・故常陸宮邸の貧しさに驚く |
末摘花の人物造型について理解できる | 教科書28~31頁 | |
末摘花2 雪明かりの夜、末摘花の器量露顕・姫君からの贈物 |
末摘花の人物造型について理解できる | 教科書32~35頁 | |
末摘花3 十年ぶりの再会・その後の故常陸宮邸 |
末摘花の人物造型について理解できる | 教科書36~39頁 | |
葵の上と六条御息所1 源氏の忍び歩き・父院から六条御息所との関係を諫められる・御禊の日、見物にいく葵の上一行 |
物語展開を理解できる | 教科書42~46頁1 行目 | |
葵の上と六条御息所2 車争いと物の怪・物の怪に苦しむ葵の上・物の怪登場 |
物語展開を理解できる | 教科書47頁2行目 ~50頁 | |
葵の上と六条御息所3 葵の上の死とその後の六条御息所・野宮を訪ねる源氏・病の床にある六条御息所を見舞う |
物語展開を理解できる | 教科書52~57頁 | |
紫の上1 若紫との出会い。 |
紫上の人物造型について理解できる | 教科書60~63頁 | |
紫の上2 新枕 |
紫上の人物造型について理解できる | 教科書64~67頁 | |
紫の上3 須磨の別れ・明石の君との結婚を恨む |
紫上の人物造型について理解できる | 教科書68~73頁 | |
紫の上4 衣配り・野分の垣間見 |
紫上の人物造型について理解できる | 教科書74~79頁 | |
紫の上5 女三宮の降嫁・死去 |
紫上の人物造型について理解できる | 教科書80~87頁 | |
試験 筆記試験。物語展開や人物造型の特徴を文章としてまとめる表現力を培っておくこと。 |