最終更新日:2024年3月12日
U084
比較文学Ⅰ
越境する文学テクスト単位条件
通信 2単位教員
履修条件
古典文学よりも現代文学に興味を持つ者
到達目標
文学は、「国文学」という名称があるように、国と民族を背景にした特殊な現象でもあれば、国と民族の枠を越えた普遍性を有した現象でもある。比較文学は、そのような認識のもとに、伝播・影響・受容といった様々な関係の網の目の中において研究しようとするものである。ゆえに、受講者は比較文学との出会いによって、一つの文学テクスト(≠文学作品)を史的認識のもとに批評的に解釈する力を身につけるだけでなく、国際的な視野に立って、他の国の文学との比較対照という幅と深さと厚みを持った関係の中で考察する力を身につけることができる。
学習成果
使用教材の内容を主とし、テクスト解釈の方法と理論および実践の力を身につけるために参考書を通読し、課題遂行のためのテクネと力量を獲得してほしい。
1.比較文学の存在理由
2.文学の領土化と脱領土化
3.文学のノマド的な現象
4.文学・言語・翻訳・理論
5.文学・神話・祭祀・形式
6.文学・ジャンル・イズム
7.作品・テクスト・解釈・批評
8.作家の死・読者受容論
9.書く行為・エクリチュール
10.文学とは何か?(T・イーグルトン)
テキスト教材
イヴ・シュヴレル、小林茂訳『比較文学入門』(白水社)2009
参考図書
1.芳賀徹 他編 『講座 比較文学(全8巻)』(東京大学出版会)
2.T・イーグルトン、大橋洋一訳『文学とは何か』(岩波書店)
3.ブラム・ダイクストラ、富士川義之訳『倒錯の偶像』(パピルス社)
4.J=リシャール、有田忠郎訳『詩と深さ』(思潮社)
5.W.イーザー、轡田収訳『行為としての読書』(岩波書店)
評価の要点
1.課題テクストを読む誠実さ(テクストの隅々まで読んでおくこと)
2.テクスト解釈の方法・理論・力量
3.テクスト解釈に忠実であること(作品の時代背景・作家の伝記的事実の水増し的堆積は極力避けること)
4.資料・引用・注・参考書(必須)
5.文体(書く行為における職人的な性質・慣れ・滑らかさ・軽快さ)
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価します。
レポート課題に合格した後、科目終了試験を受験し、その評価が60点以上であれば単位の認定となる。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
レポートを書く前に、森に入って切れ枝を集めるように、あるいは田んぼで落穂を拾うようにたくさん収集して自分の知識と教養の蔵を一杯にしてから、おもむろにゆったりと快楽を覚えながら筆を取り上げること。
レポート課題
提出数 2第1課題
[ 2000字以上 ]
第1設題
近代以前・近代・現代(日本)
自分が得意とする分野から一作を取り上げ、教材または参考書に紹介されている解釈の理論・方法を用いて(模倣する・剽窃する)、比較文学的な視点で論じなさい。
第2課題
[ 2000字以上 ]
第1設題
近代以前・近代・現代(日本)
自分が得意とする分野からもう一作を取り上げ、教材または参考書に紹介されている解釈の理論・方法を用いて(模倣する・剽窃する)、比較文学的な視点で論じなさい。