最終更新日:2024年2月26日

1年次入学生:3年 3年次編入学生:3年 短期大学部:-
文学部 文学科

U024

英米の戯曲Ⅰ

オスカー・ワイルドの戯曲を味わう

単位条件

通信 1単位

教員

鈴江 朋子

履修条件

なし

到達目標

この科目では、オスカー・ワイルド作『サロメ』を精読し、その内容やワイルドが生きた時代について学ぶ。また、ワイルドが描きたかった愛の形について考察することにより、文学を読み解く力や作品を理解する上で必要な教養を身につけることを目標とする。そして、最終的には戯曲の読み方や味わい方を理解し、自力で戯曲を味わえるようになることを目標とする。

学習成果

この授業を受けることにより、以下の能力が身につく。
・シンプルな英語で書かれた文学作品を自力で読めるようになる。
・オスカー・ワイルドという文学者についての知識が身につく。
・戯曲の味わい方がわかる。
・作品の裏に隠されている、作者が伝えたかった思いを読み取ることができる。
・文学を楽しむことができるようになる。

テキスト教材

Oscar Wilde『Salome』清野暢一郎 編注(英光社)
鈴江朋子『英米の戯曲I』(聖徳大学通信教育部)

評価の要点

・作品を原文でしっかり読めたかどうか
・ノートを作成し、学習指導書で与えられているまとめを毎回作成したか。
・まとめたノートに従って、与えられたレポート課題を完成したか。
作品を読むにあたり、全文を和訳する必要はないが、英文を正しく理解する必要はある。そのため、テキストの注や学習指導書の注を参考にして、英文を正しく理解して欲しい。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価する。
レポート評価の要点
・第1課題ではこの戯曲全体の大きな流れを掴めているか。また、自分なりの意見や感想を持てているかどうか。
・第2課題では、登場人物をきちんと分析できているかどうか。
試験評価の要点
・テキストの英文をきちんと読めているかどうか、戯曲の内容と主題をきちんと理解できているかどうか、指導書で与えられた課題ができているかどうか。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

わからない単語は必ず辞書で意味を調べること。注を参考にしながら、必ず自力で読み通すこと。戯曲に初めて触れる、という方で、『英米の戯曲II』も履修予定の方は、そちらを先に終わらせる方がこのレポートを書きやすい、という声を聞いたので、参考にして欲しい。

レポート課題

提出数 1

第1課題

横書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

『サロメ』の中で注目すべき人物を一人とりあげ、その人物にまつわる愛と憎しみについて感じたことを論ぜよ。必ず自分の言葉で論じること、そして最後に読後感想を入れること。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
イントロダクション:『サロメ』を読み始めるにあたり、まずは作者であるOscar Wildeや彼が生きた時代について、また『サロメ』に登場する人物関係や作品の背景を学ぶ。また、挿絵と挿絵を描いたAubrey Beardsleyについても調べて欲しい Wildeの人生を学ぶことができる。唯美主義を理解することができる。 p.ix〜p.4
ヨカナーン登場:登場人物たちは、何について話しているのか、登場人物たちは、ヘロデ王、ヘロディアス、サロメについてどう噂しているのか。またヨカナーンについてはどう感じているのか。 ヘロデ王、ヘロディアス、サロメ、ヨカナーンに対する評価がわかる。 p.5〜p.11 、2行目
サロメ登場:主人公サロメが舞台に登場する。サロメと若いシリア人兵士との会話はどのようなトーンで行われているのか、またヨカナーンの話に対し、サロメはどう思うのか。 サロメに対する若いシリア人の気持ちを理解することができる。 p.11 、 3行目 〜 p.17
サロメとヨカナーンの対面1:兵士たちは、サロメがヨカナーンに会うことを禁じるが、どうしてもヨカナーンに会いたいサロメは、ついにヨカナーンと対面する。 若いシリア人、サロメ、それぞれの気持ちが理解できる。 p.18〜p.24
サロメとヨカナーンの対面2:サロメとヨカナーンの対話の続き。お互いが相手のことをどのように思っているのか、この二人の対話は、そもそも対話として成立しているのだろうか。 サロメ、ヨカナーン、若いシリア人の対話が理解できる。 p.25〜p.32、1行目
若いシリア人の自殺:サロメのヨカナーンに対する台詞がころころ変わるのはなぜだろうか。サロメの気持ちはどう変わるのか、変わらないのか。なぜ若いシリア人は自害したのだろうか。 サロメがヨカナーンに執着する様子が理解できる。 P.32 、 2行目 〜 p.38、18行目
月:月を見て、それぞれの人物はどう感じたのか。また、若いシリア人が自害したことに対し、ヘロデ王はどう思ったのか。ヘロデ王の興味はどこにあるのか。 月が象徴しているもの、それに対する登場人物の気持ちが理解できる。 p.38 、19行目 〜 p.47
ヨカナーンに対する評価1:ヘロディアス、ヘロデ王、周りの人々は、それぞれヨカナーンのことをどのように思っているのか。 ヨカナーンがどのように評価されているのかが理解できる。 p.48〜p.53
ヨカナーンに対する評価2:ヨカナーンが発する言葉は果たして預言なのか?ヨカナーンは何者なのだろうか。 聖書に書かれている、救世主に関する
エピソードを学ぶことができる。
p.54〜p.59
ヘロデ王の気持ち:ヘロデ王はヨカナーンの言葉をどのようにとらえているか。サロメのことをどう思っているのか。またヘロデ王とヘロディアス夫婦は、どのような状態にあるのだろうか。 ヘロデ王とヘロディアスの会話を通して感情を読み取ることができる。 p.60〜P.66
ヘロデ王の懇願:ヘロデ王はヘロディアスに対する態度とサロメに対する態度がどう違うのか。ヘロデ王は、サロメに踊りを踊るように懇願する。サロメはその願いに対し、どう返事するのか。 サロメとヘロデ王の立場が変わることが理解できる。 p.67〜p.74、9行目
サロメの踊り:ヘロディアスはサロメに踊りを禁ずるが、サロメはヘロデ王の前で踊ることを約束する。その代わり、ヘロデ王に、思いがけない褒美を要求する。それを聞いたヘロディアスはどう思ったのか。 サロメがなぜ踊りを承諾したのか、理解することができる。 p.74 、10行 目 〜 p.80、17行目
ヘロデ王の説得:サロメの褒美の要求に対し、ヘロディアスは娘を褒める。それとは対照的に、ヘロデ王はどうにかしてサロメの気持ちを変えさせようと説得するのだが。 ヘロデがなぜサロメの願いを取り下げさせようとするのか、理解できる。 p.80 、18行 目 〜 p.88、13行目
サロメの独白:サロメの願い通り、サロメはヨカナーンの首を手に入れる。願ったものを手に入れたサロメは、どう感じたのか。そして、ヘロデ王はサロメの姿を見て、ある決断をする。 サロメの気持ちがどう動いていくのか、読み取ることができる。 P.88 、14行目 〜 p.96
まとめ:『サロメ』を読み終えて、考察する。作者がこの作品を通じて最も訴えたかったことは何だろうか。この作品は、当時どのように受け入れられたのだろうか。また、現代に生きる我々は、この作品をどう解釈すればいいのだろうか。 作品を分析する力を身につけることができる。 作成したノートを見 返して、レポート作 成の参考にする。
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