最終更新日:2024年7月13日
P057
知覚・認知心理学Ⅰ
知性と感性の認知メカニズムを学ぶ単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
知覚心理学・認知心理学の領域は、古典的な実験的手法から、最先端の脳機能的な手法まで日々進歩しているものである。日常生活における身近な事柄を知覚・認知心理学的視点から理解できるようになることで、学問への興味と日常生活への興味の双方を深められるようになる。この科目はディプロマ・ポリシーに該当している。
学習成果
日常生活において、我々が情報を取り込む際にどのようなことが起きているのか、また取り込んだ情報をどのように処理しているのか、そしてその情報をどのように活用しているのかといったプロセスを知覚心理学・認知心理学の視点から理解する。そしてその視点を日常生活の事象に対して応用して考えられることができるようになることを目指す。
なお、この科目で扱う多くの領域が、最先端の現在進行形の研究領域である。教科書に記載されていない幅広い知見を獲得すると共に、実際の事象についての考察する視点も身につけることができる重要な機会となるため、知覚・認知心理学Ⅱの受講を推奨する。
テキスト教材
行場次郎・箱田祐司編著『新・知性と感性の心理-認知心理学最前線-』(福村出版)
評価の要点
レポート:理解したことを、具体例を挙げながら、自分の言葉で述べることが重要となる。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
レポート課題:課題の多くに日常的な具体例を挙げるように求める。教科書以外の身近な例をまとめることが高評価となる。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
認知心理学の対象は、我々が普段意識せずに行っている生活のあらゆる行動や状況や利用機器にまで及ぶ。かなり難度の高い用語や理論が出てくるが、「自分の身近なものに置き換えたらどうなんだろう?」という視点を常に持って理解するようにしてみてほしい。
そのため、レポート課題においてもこの点に評価の重点を置いている。
レポート課題
提出数 2第1課題
⚠️手書きでレポートを提出する場合は各1課題ずつ別々のレポート用紙に分けて提出してください。
⚠️Webで提出する場合には、各1課題ずつ別々に文字数を3200字とし、設題12と入力してください。
第1設題
設問①②とも解答しなさい(①②各1600字、本文の書き始めに①、②と番号を明記すること)。行を空ける必要はありません。
① 記憶のメカニズムを概説したうえで、「忘れる」ことの日常的な具体例を複数挙げ、そのメカニズムを説明せよ。
② 感性認知のメカニズムについて、適切な具体例を挙げながら、知性処理と感性処理それぞれの働きと関わりを踏まえながら説明せよ。
第2課題
第1設題
設問①②とも解答しなさい(①②各1600字、本文の書き始めに①、②と番号を明記すること)。行を空ける必要はありません。
① 知識と思考のメカニズムと働きについて、日常的な具体例を挙げながら解説せよ。
② ヒューマンエラーの原因について、認知心理学の立場から体系的に説明せよ。この時に、対象としているエラーの具体例を日常生活の中から適宜挙げながら論述すること。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
知覚・認知心理学の歴史を理解し、現在の知覚・認知心理学で取り扱う領域に対する準備段階が形成される。 視覚や聴覚といった従来から心理学において研究されてきた感覚のしくみや特性を理解できるようになる。 |
現時点の学問の位置づけが分かる。 感覚の仕組みや多様性を理解する。 |
序章 新しい認知心理 学及び1章 感覚の多 様性・120分 | |
視覚パターンを認知するためのシステムやモデルを理解できるようになる。さらに顔の認知に関連した特色やモデルが理解できるようになる。 コンピュータ技術の進展などにより聴覚刺激作成や再現が可能になった。そこで音楽に関する認知心理学研究が進んできている。そこで、様々な音楽を認知心理学の観点から聴いてみることができる。 |
視覚パターンとはどのようなものかが分かる。音楽に含まれる要因に気がつく。 | 2章 視覚パターンの 認知及び3章 音楽の 認知・120分 | |
感性というあいまいな概念も認知心理学の研究対象になっている。感性とはどのようのものか、どのような要因が感性に関与しているかを理解できるようになる。 感性の価値や評価の次元を理解し、個人差についても理解できるようにする。 |
感性について認知心理学的視点が持て、感性認知の価値や評価が理解できる。 | 4 章 感性認知・ 120分 | |
心的イメージとはどのようなものかを理解し、イメージ現象に含まれるものが理解分類できるようになる。 心的イメージの大脳生理学的基盤について理解できる。また心的イメージを利用した感情の制御についても造詣を深めることができる。 |
認知心理学初期のイメージ研究が理解できる。心的イメージの機能が理解できる。 | 5章 心的イメージ・ 120分 | |
注意の諸機能や注意研究の歴史を学ぶことにより、日常生活と注意の関連が理解できるようになる。 注意における課題の切り替えや処理段階を大脳機能的な面から理解することにより、より注意に関する理解を深めるようになる。 |
注意の諸機能が説明できる。 | 6章 注意・120分 | |
日常でもよく使われる記憶について、認知心理学的な理解を深めることができる。 記憶の変容や、ネットワークシステムとしての記憶システムを理解できるようになる。 |
記憶のメカニズムが説明できる。 記憶ネットワークが理解できる。 |
7章 記憶・120分 | |
日常生活における記憶研究の中で、目撃者の記憶についてどのような要因が関与しているのかを理解できるようにする。 日常的事物の記憶の中で、貨幣やお札など身近な対象についての情報の正確さについて把握することができる。また、自分が経験した出来事である自叙伝的記憶についての理解を深める。 |
目撃者要因や貨幣・紙幣など身近な対象についても認知心理学的視点が持てる。 | 8 章 日常記憶・ 120分 | |
情動の理論を理解し、自分の情動を推測するプロセスを理解する。また、パニック障害や注意欠陥多動性障害と情動との関連性についても理解できるようになる。 他者の情動理解におけるノンバーバルコミュニケーションの役割と、情動を判断するための生理的指標についての理解することができる。 |
情動の理論を理解し、コミュニケーションツールとしての情動が理解できる。 | 9章 情動の認知・ 120分 | |
知識のしくみを理解し、どのように情報を蓄積していくのかを考えられるようになる。 思考のしくみについて理解するともに、現実の中でどのように思考が時には合理的判断の手掛かりとして、時には批判的思考として作用するのかを理解できるようになる。 |
知識のしくみが理解できる。 現実生活の中での思考について理解できる。 |
10 章 知能と思考・ 120分 | |
失語症や脳波研究から言語の生物学的基盤としての脳を理解する。 言語使用や言語獲得についての知見を通じて、言語とはどのようなもので、どのように獲得してくのかを把握できるようになる。 |
脳機能における言語の生物学的基盤及び言語使用や獲得について理解できる。 | 1 1 章 言語認知・ 120分 | |
社会的認知のうち、対象物(者)の知覚が社会的諸条件によって影響を受ける要因についての知見を理解する。 社会的認知うち、個人もしくは集団の諸要因に関する認知である対人認知について、自己の要因と集団の要因の双方についての理解をすることができるようになる。 |
社会的認知に影響を与える社会的諸条件及び認知の特徴が説明できる。 | 12 章 社会的認知・ 120分 | |
発達の理論としてピアジェの理論をベースに学びながら、知性の発達について情報処理理論からのアプローチや発達の継続性について理解する。 子どもの感受性や表現の発達がどのように変化いくのかを理解するとともに、感性の発達に必要なことは何であるかを考える視点をもてるようになる。 |
知性の発達が理解できる。 感性の発達が理解できる。 |
13章 知性と感性の 発達・120分 | |
機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)や脳機能画像研究の発展により、知性や感性に脳のどの部位が関与するのかが明らかになってきた。知性の脳科学的基盤について理解できるようになる。 また、感性の脳科学的基盤について理解できるようになる。さらに、従来から行われているSD法の評価と脳科学との関連についても説明できるようになる。 |
知性の脳科学的基盤が理解できる。 感性の脳科学的基盤が理解できる。 |
14章 知性と感性の 脳科学的基盤・120 分 | |
SD法や因子分析など従来から使用されている分析方法についてしっかりと把握するとともに、データ構造を視覚的に表現する多次元尺度法についても理解を深める。 | データ解析法を理解し、どのデータではどの分析法が適切かを判断できる。 | 15章 多変量データ 解析法を利用した心理 測定法・120分 | |
人と機器を媒介するインターフェイスを理解することで、認知過程とヒューマンインターフェイスについて理解できるようになる。また、ヒューマンエラーの原因や分類の理論を理解することによって、認知過程としてのヒューマンエラーを理解できる ようになる。 |
ヒューマンエラーについての原因や理論を理解することで対応法が考えられる。 | 16章 ヒューマンエ ラーとヒューマンイン ターフェイス・120 分 | |
試験 評価方法に関しては、「評価方法と採点基準」や「履修上の注意事項や学習上の助言」などを参考にしてください。 |