最終更新日:2024年4月5日
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発達心理学Ⅰ(幼児・学童)
発達のメカニズムと児童期までの発達過程を学ぶ単位条件
通信 1単位 面接 1単位教員
履修条件
レポート提出後にスクーリングを受講すること。
到達目標
本科目は心理学科ディプロマポリシーの「心の働きと多様性を学び、人間を複眼的に見ることによって、広い視野を育成する」に該当し、人の発達について科学的に捉えることができるようになると期待される。
学習成果
人の発達について科学的に捉えることができることによって、多様な価値観に基づく心の働きや課題に関する知識が獲得され、複眼的に人の心の働きを理解し、発達的観点より心のケアを必要とする人の支援ができる。
定型発達についての基礎知識を学び、非定型発達についての理解を深めることができる。
テキスト教材
佐伯素子ら著『基礎から学ぶ発達心理学』(大学図書出版)2020
参考図書
テキスト教材の文献欄に記述されている文献
評価の要点
人の発達について、そのメカニズムを説明し、人の心理発達の特徴について説明することができるかをレポートとスクーリングの際の試験によって評価を行う。
評価方法と採点基準
レポート・スクーリング両方が合格後、総合的に評価する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
テキストを読み、十分理解した上でレポート課題に取り組んでください。スクーリングで学ぶ内容に関する資料はスクーリング時に配布します。
スクーリングの試験では在宅で学習する内容も含めて出題します。
レポート課題
提出数 1第1課題
通信1単位/面接1単位。1単位分のレポートを提出後、スクーリングを受講して下さい。
第1設題
次の人の発達に関する記述のうち、適切なものに○、適切ではないものに×をつけてください。
1.生涯にわたる発達は、個人が所属する生活環境の変容とともに進んでいく。
2.アーノルド・ゲゼルは、環境要因を発達の基本的な型や順を作りだすものととらえ、成熟が発達を促進すると考えた。
3.藤永保らは、社会的隔離の事例であるFとGの事例からも、人は発達に必要な環境が整うまでその可能性を「冬眠」させ、環境が準備されると一気にその可能性が開花されるのではないかと考えた。
このように「冬眠」の現象は、人間発達の可逆性を示しているといえる。
4.ブロンフェンブレナーの生態学的発達論における子どもを取り巻くを環境では、父親の職場の労働環境はメゾシステムにあたる。
5.脳の発達において、神経細胞の細胞死とシナプスの過形成と刈りこみが起こるが、これに関する神経ダーウィニズムという考えは、環境からの刺激や学習によって起こる過程を示している。
6.ピアジェによれば、発達は進化の過程になぞらえることができ、子どもが外界と相互作用しながら、知識を身につけていくとされる。
7.ヴィゴツキ―の発達における社会文化理論では、環境との均衡化がはかられることによって発達が進むとされる。
8.ヴィゴツキーが主張する発達のメカニズムの根幹は、子どもと環境の相互作用に対する大人の媒介的活動の必要性である。
9.ピアジェが唱える幼児期の認知的特徴である自己中心性が認められるときには、無生物と生物を混同するアニミズム的思考が起こるとされる。
10.ピアジェの発生的認識論では、泥団子をお饅頭に見立てて遊ぶことができるのは具体的操作段階に入ってからある。
11.胎児や乳児にみられるジェネラル・ムーブメントは、脳神経系に何らかの異常がある場合には、健常な子どもとは異なる動きをみせる。
12.原始反射は、大脳皮質よりも下位の神経系(脳幹および脊髄)と関係し、大脳皮質が成熟、発達してくると抑制(あるいは消失)される。
13.乳児を対象にした知覚実験をする場合に、馴化―脱馴化法という手法が使われることが多い。この手法を使って、生後1か月、4か月の乳児に特定の刺激tを繰り返し提示し、馴化させた後に、同じ刺激を再度提示する群と異なる新しい刺激dを提示する群をつくり、両群の反応を比較した。新しい刺激dに対して脱馴化が生じれば、二つの刺激を区別しているといえる。
14.共同注意は子どもと養育者が相互に主張をぶつけあう第一次間主観性の成立の中で、他者の意図に気づいていくことで発展していく。
15.乳児が「アー」「ウー」などの声を出すようになるのは生後6か月くらいになってからである。
16.言語発達を規定する要因として内在的要因と外在的要因がある。内在的要因を重視する研究者の代表はChomsky, Nで、かれは子どもの中にLADが生得的に組み込まれているとする。
17.養育者が乳児を抱き、寝かしつけ始めると、養育者の心音の速度が低下し、乳児も心音の速度が低下し、互いに同じ速度になっていく現象がみられる。
これは養育者と乳児のアタッチメント関係によるものである。
18.アタッチメント関係は養育者と子どもとの情動制御の中で形成される。
19.アタッチメントタイプD型の子どもは、ストレンジ・シチュエーション実験における親子再会場面において、本来は両立しない近接と回避といった行動システムが活性化されるような動きが認められる。
20.アタッチメントが不安定な子どもは、養育者の動きには敏感だが、それ以外の他者には無関心になるため、心の理論の発達がかなり遅れる。
21.Halow, H. F.の子ザルの実験では、子ザルが代理母である接触する対象物の質感の相違により、反応が異なることが観察された。
22.シュテルンの輻輳説とは、例えば知能や性格ごとに遺伝の割合と環境の割合が決められているという考え方である。
23.強い自己主張や反抗がみられる第一次反抗期の始まりと同時に自分を発揮したり抑えたりする力も見られる。
24.心の理論とは、自分や他者の行動を予測したり、説明するために使われる心の働きについての知識である。
25.子どもと養育者が子どもの目の前に絵本を置いて読み聞かせする活動は、共同注意機能を持った活動と考えられる。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
発達心理学とは何か(在宅)(スクーリング) 心理学諸領域の中での発達心理学の位置づけ、歴史的経緯について学ぶ |
発達心理学の位置づけについて説明できる | 第1章発達心理学と は(1.生涯発達心 理学とは) | |
生涯発達心理学とは何か(在宅)(スクーリング) 消失と獲得の時間的変化である発達を理解し、生涯にわたる発達とは何かを理解する |
生涯にわたる発達や標準的な発達とは何か説明できる | 第1章発達心理学と は(2.発達とは) | |
発達の諸理論(フロイトとエリクソンの発達論)(在宅)(スクーリング) 人格発達におけるフロイトとエリクソンの発達論について学び、その特徴について理解する |
フロイトやエリクソンの発達論の特徴を説明できる | 第1章発達心理学と は(3.発達の諸理 論) | |
発達の諸理論(ピアジェ、ヴィゴツキーの発達論)(在宅)(スクーリング) ピアジェとヴィゴツキーの認知発達論について学ぶ |
認知発達のメカニズムについて説明できる | 第1章発達心理学と は(3.発達の諸理 論) | |
発達に影響を与える要因―遺伝論(在宅)(スクーリング) 人の発達は遺伝によって規定されているとするゴールトンとゲゼルの考え方を学ぶ。 |
遺伝論の考え方を理解し、説明できる | 第2章発達のメカニ ズム(1.遺伝と環 境、2.遺伝論) | |
発達に影響を与える要因―環境論(在宅)(スクーリング) 人の発達は環境、学習によって進むとする環境論の代表的な考え方を学ぶ |
環境論の代表例としての行動主義の考えについて説明できる | 第2章発達のメカニ ズム(3.環境論) | |
発達に影響を与える要因―遺伝と環境の相互作用(在宅)(スクーリング) 人の発達は遺伝と環境の相互作用によって進むとする現代の考えを三つの観点から学ぶ |
人の発達における遺伝と環境の関係について説明できる | 第2章発達のメカニ ズム(4.遺伝も環 境も)コラム遺伝と は何か | |
初期経験が発達に及ぼす影響と発達の可塑性(在宅)(スクーリング) 人の発達における初期経験の影響いついて、事例を通して学ぶ |
人の発達特徴である環境適応性や柔軟性について理解し、説明することができる | 第2章発達のメカニ ズム(5.初期環境 と発達、6.発達の 可塑性) | |
発達と進化および生態学的アプローチ(在宅) 進化論、生態学的アプローチについて学び、人の発達を解明する科学的視点について学ぶ |
人の発達を研究するアプローチについて説明できる | 第2章発達のメカニ ズム(7.子どもを 取り巻く環境、8発 達と進化心理学) | |
脳の発達と可塑性(在宅)(スクーリング) 神経細胞の仕組みや脳の発達を学び、ヒトの脳の特徴を理解する |
脳の発達に関して説明できる | 第3章脳の発達 | |
乳児の発達 アタッチメントの形成と認知発達(在宅)(スクーリング) 他者との関わり、運動発達、アタッチメントの形成について学ぶ |
アタッチメントの形成過程や発達への影響について説明できる | 第5章乳児の発達 (1、2、3、9) | |
乳児期の自己概念、認知発達(在宅) 乳児の自己概念と知覚発達、乳児の研究法、言語獲得の基盤と機序について理解する |
乳児研究法や言語、自己概念、感情の発達について説明できる | 第5章乳児の発達 (4、5、6、7、8) | |
幼児期の発達(1)(スクーリング) 幼児期の自己の発達、楽観主義的傾向について学ぶ |
幼児にみられる非現実的な自己肯定観や心の理論について説明できる | 第5章幼児の発達 | |
幼児期の発達(2)(在宅)(スクーリング) 心の理論や自己制御、言語の発達について学ぶ |
心の理論や自己制御、言語の発達について説明できる | 第5章幼児の発達 | |
児童期の発達(在宅)(スクーリング) 児童期の仲間関係の広がりと社会的スキル、道徳性の発達ついて学ぶ |
児童期の心理的特徴、社会性の発達について説明できる | 第7章児童の発達 | |
試験 |