最終更新日:2024年4月5日

1年次入学生:3年 3年次編入学生:4年 短期大学部:-
教職課程

K004

発達心理学

人間の生涯にわたる発達を見通しながら「人の一生」を探求する

単位条件

通信 2単位

教員

藤原 あやの

履修条件

なし

到達目標

胎児の時から老いて死を迎えるまでのそれぞれの発達段階を通して、人間の生涯にわたる発達を理解することを目標とする。

学習成果

・胎児期から老年期にわたる人間の生涯に通しながら、人の一生の全体像をとらえ理解することができる。
・発達心理学に関する基礎的な考え方を理解することができる。
・胎児期から児童期の第二次性徴の過程の変化を理解し、青年期の自我同一性の獲得から、職業選択を通して成人期への移行していく発達的変化を理解することができる。そして、中年期以降の過程における発達的変化、「死」に対する態度の変化を通して人生の最期について理解を深めることができる。

テキスト教材

高橋一公・中川佳子編『発達心理学15講』(北大路書房)2019

参考図書

藤村宣之編『発達心理学第2版 ─周りの世界とかかわりながら人はいかに育つか─』(ミネルヴァ書房)2019
鈴木忠・飯牟礼悦子・滝口のぞみ著『生涯発達心理学 ─認知・対人関係・自己から読み解く─』(有斐閣アルマ)2016

評価の要点

レポート2課題合格ののち、科目終了試験に合格すること。
発達心理学に関する基本的な考え方を理解できているかどうかを評価する。

評価方法と採点基準

レポート課題合格後の科目終了試験で評価する。科目終了試験は、100点満点で60点以上が合格。テキストを何度も繰り返し読み、レポート課題をしっかり復習してから試験を受けること。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

・テキストを何度も繰り返して読むこと。
・参考図書や、テキスト(p189〜)の引用・参考文献も積極的に読んでみることをお勧めする。

レポート課題

提出数 2

第1課題

横書き解答用紙あり

第1設題

[Ⅰ]と[Ⅱ]の両方を答えなさい。
※[Ⅰ]と[Ⅱ]の両方を合わせて第1課題です。

[Ⅰ] 次の文章の(  )にあてはまる言葉を入れてください。
1 .「発達(development)」は「誕生から死にいたるまでの( 1 )」と定義される。
2 . 発達の原理として、「順序性、方向性の原理」「( 2 )の原理」「分化・統合の原理」「( 3 )の原理」「異速性の原理」「( 4 )の原理」「遺伝と環境の( 5 )の原理」などがある。
3 .行動の変容は( 6 )と( 7 )の2つの要因が関係した結果生じるものである。
4 .学習の型として、パブロフ(Pavlov, L.P.)による( 8 )、スキナー(Skinner, B.F.)による( 9 )、ケーラー(Kohler, W.)の( 10 )による学習、バンデューラ(Bandura, A.)の( 11 )による学習が有名である。
5 .ボウルビィ(Bowlby, J.)によると、子どもが特定の対象(多くの場合は母親)との間に結ぶ情緒的な結びつきを( 12 )と呼ぶ。
6 .エリクソン(Erikson, E.H.)は、人間発達における( 13 )の重要性を指摘した上で、人間の誕生から死までを( 14 )の発達段階に分け、より包括的な立場からライフサイクルを論じている。
7 .愛着の質を測定する方法として、エインズワース(Ainsworth, M.D.S.)は、( 15 )を用いて、子どもの愛着の質を3種類に分類した。
Aタイプは( 16 )と呼ばれる子ども、Bタイプは( 17 )と呼ばれる子ども、Cタイプは( 18 )と呼ばれる子どもである。
その後、メインら(Main & Solomon, 1990)の研究によって、行動の一貫性が見られず、接近回避が同時に活性化する( 19 )のDタイプが追加されている。
8 .幼児期の認識の特徴として、自分の立場から離れて他者の視点に立って、物事を客観的に認識することができないことを( 20 )と言う。
このような考え方を示すものとして、夢で見たことや頭の中で考えたことが現実に起こると考える( 21 )論、すべての現実は人間がつくり出したものと考える( 22 )論、生命のない物事・事象に生命や意識などの生物的属性を与える( 23 )がある。
9 .パーテンとニューホール(Parten & Newhall)は( 24 )の発達に着目し、遊びの形態を四段階に分けている。第一段階は( 25 )の段階で、おもちゃを相手に子どもが一人で遊ぶもので、遊び仲間を必要としない遊びである。第二段階は( 26 )の段階で、一緒に遊んでいるという感覚はあるが、同じ遊びを並行して展開しているだけで、子どもどうしの遊びを通じた関わりはない。第三段階は( 27 )の段階で、子どもどうしで遊び、やりとりやおもちゃの貸し借りを行う。第四段階は( 28 )の段階で、( 29 )歳前後にみられる遊びで共通した目的をもって遊び、競争や( 30 )のある遊びで役割が分業され、グループの統制が行われている。
10 .発達障害とは、脳機能の発達に( 31 )が生じ、言葉や社会性、情緒の( 32 )などに問題が起こるものである。通常学級に在籍する子どもの6.5%(2012 文部科学省)に学校において何らかの困難が示され、男子が女子の2倍以上である。
11 .知的能力障害とは、( 33 )のために知的能力に障害があり、同時に運動能力や( 34 )、言語能力などに遅れが生じ、学習活動や集団活動、身辺の自立、( 35 )など社会で適応するうえで大きな制限があり、支援を必要とするものである。
12 .( 36 )症は、言葉の意味そのものはわかっていても、話し相手や状況に応じたコミュニケーションが困難である。( 37 )に適切な挨拶などが困難であったり、場面や相手によって話し方を変えることが困難、相槌や柔軟な云い換えができなかったり、皮肉や( 38 )が理解できなかったりする。
13 .自閉スペクトラム症は、先天的な( 39 )で社会性やコミュニケーションの発達に問題があり、反復的情動行動や( 40 )、( 41 )などの問題行動がある。圧倒的に( 42 )が多い。根本的な原因がわかっておらず、早期から( 43 )を行い、適応を図る必要がある。
14 .DSM-5によると、自閉ペクトラム症は、( 44 )から存在し、( 45 )および( 46 )における欠如と、行動、興味、または活動の限定された( 47 )な様式という2つの典型的な症状を必須症状とした障害である。( 45 )および( 46 )における欠如では、対人的に異常な近づき方や、( 48 )を合さない、身振りの異常、( 49 )を他者と一緒にできない、( 50 )が困難などがある。行動、興味、または活動の限定された( 47 )な様式では、単調な( 51 )や反響言語、独特な言い回し、儀式のような挨拶や習慣、柔軟性に欠ける思考様式、一般的でないものへの強い愛着、感覚刺激に対する( 52 )もしくは鈍感がある。低年齢では、( 53 )や感覚の異常、極端な( 54 )、睡眠障害などの問題行動を示し、年齢の上昇とともに、( 55 )や脅迫症状、自傷行為、他害などの問題行動が目立つようになる。
15 .注意欠如・多動症とは、落ち着きがなく、( 56 )の持続が困難で、気が散りやすかったり、( 57 )傾向などの困難がみられる障害である。( 58 )歳以前に始まるのが特徴である。不注意では、( 59 )が多く指示を聞いていなかったり、( 60 )考えたり行動することが出来なかったりする。多動性は、( 61 )に発生する傾向にある。( 62 )が圧倒的に多い。

[Ⅱ] 以下の発達心理学における重要用語から、2つを選び概説してください。改行せずに詰めて論述してください。【各800字】
1.フロイト(Freud, S.)の心理性的発達理論
2.ピアジェ(Piaget, J.)の認知発達理論
3.内的ワーキング・モデル
4.心の理論

第2課題

横書き解答用紙あり

第1設題

[Ⅰ]と[Ⅱ]の両方を答えなさい。
※[Ⅰ]と[Ⅱ]の両方を合わせて第2課題です。
[Ⅰ] 次の文章の(  )にあてはまる言葉を入れてください。
1 .エリクソン(Erikson)は、本当の自分を模索していく青年期で、社会もその模索を援助すべく成人に課せられる義務や責任を一時的に免除した猶予期間であるとして( 1 )と呼んだ。
2 .スーパー(Super, D.E.)は、5つの( 2 )とそれぞれの個人が演じる人生のさまざまな( 3 )という2つの概念からキャリア発達をとらえ、この2つの概念を通してその後のキャリアを計画していく過程で( 4 )を形成していくと考えた。
3 .青年期の不適応状態として、いつまでも大人になろうとしない( 5 )、一流意識や肥大化した自己イメージを打破できず転職を繰り返すような( 6 )があげられる。また、青年期の精神病理として、リストカットなど自らの身体に危害を加える( 7 )、ダイエットなどのささいな契機から始まることが多いとされる( 8 )、不安障害、強迫性障害、統合失調症などがある。
4 .セリエ(Selye, H.)は、ストレスを「外界のあらゆる要求に対して生じる生体の( 9 )である」と定義している。
5 .マスラック(Maslach, C.)は、( 10 )を「長期間にわたり人に援助する過程で心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果、極度の( 11 )と( 12 )を主とする症候群であり、卑下、自己嫌悪、関心や思いやりの( 13 )を伴う状態」と定義している。
6 .中年期において、ユング(Jung, C.G.)は40歳頃を( 14 )と呼び、エリクソン(Erikson, H.E.)は中年期の課題と危機として「( 15 )対( 16 )」をあげ、重要な対人関係の範囲を「共同と分業における家族」としている。
7 .老年期の役割や適応について、ハヴィガースト(Havighurst, R.J.)やアルブレヒト(Albrecht, R.)らは、引退後の社会の中で活動的であることが老年期の幸福につながるという( 17 )理論を論じている。それに対して、カミング(Cumming, E)とヘンリー(Henry,W.E.)は、死の受容のためには社会的な役割からの緩やかな離脱と社会相互作用からの撤退が個人にも社会にも望ましいとする( 18 )理論を論じている。
8 .ライチャードら(Reichard et al.)は、老年期への適応性に関する老いのタイプを5つにまとめ、加齢に対して適応したタイプとして円熟型・( 19 )型・( 20 )型、不適応的なタイプとして( 21 )型・自責型とした。
9 .老年期の精神障害として、異常行動の典型的なものとして( 22 )があげられる。また、認知症では、( 23 )に代表されるように進行性の脳変性疾患によるものと、脳梗塞や脳出血などの脳血管性の障害に引き続いて起こる( 24 )がある。
10 .キュブラー=ロス(Kubler-Ross)の「死の5段階説」では、病気や死について認めようとしない「( 25 )」の段階、現状を( 25 )しきれなくなると、怒りや羨望や恨みが表れてくる「( 26 )」の段階になる。そして、生き永らえさせてほしいという願望から神や運命に対して「( 27 )」を申し出る段階、( 25 )や( 27 )の失敗を経て、絶望に見舞われる「( 28 )」の段階、最後に、自分の死という運命に対して( 26 )も( 28 )もない「( 29 )」の段階に至るとされる。

[Ⅱ] 以下から、2つを選び概説してください。改行せずに詰めて論述してください。【各800字】
1.エリクソン(Erikson, E.H.)のライフサイクル理論における青年期のアイデンティティの危機
2.マーシャ(Marcia)の4つのアイデンティティ・ステイタス
3.青年期の問題行動(反社会的行動・非社会的行動)
4.児童期の友人関係と青年期の友人関係の発達的変化

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
発達心理学の基礎 発達の概念・特殊性、発達段階と発達課題を理解できる
テキスト第1講 (P2〜P16)
発達心理学の理論Ⅰ:成長・成熟の過程 学習理論から見た発達や認知発達理論を理解できる テキスト第2講 (P17〜P28)
発達心理学の理論Ⅱ:発達のプロセスと発達課題 ライフサイクルとライフコースや中年期以降の発達を理解できる テキスト第3講 (P29〜P41)
胎生期から新生児期まで:個体の発生 個体発生、胎児への環境からの影響、誕生と新生児の特徴を理解できる テキスト第4講 (P44〜P54)
乳児期の発達:個性の発現 乳児期の特徴と身体的発達、認知的発達、対人関係と母子関係を理解できる テキスト第5講 (P55〜P66)
幼児期の機能と発達:基本的生活慣習の獲得 生活習慣、知能と認知の発達、情動の発達を理解できる テキスト第6講 (P67〜P76)
幼児期の社会性:集団生活の始まり 言葉の発達、社会性の発達を理解できる テキスト第7講 (P77〜P89)
児童期の発達:他者との関わりを通して 身体的変化と特徴、学校生活の始まり、対人関係の発達を理解できる テキスト第8講 (P90〜P99)
乳児期から幼児期に生じる発達に関わる問題:発達障害 発達障害、発達上の問題、合理的配慮とユニバーサルデザインを理解できる テキスト第9講 (P100〜P113)
青年期の特徴と自我同一性の獲得:己を知ること 身体的成熟と精神的未 成 熟、ア イ デ ンティティの獲得と危機を理解できる テキスト第10講 (P116〜P126)
青年期から成人期へ:キャリア発達と社会生活 成人期の発達課題、職業選択、家族の形成、社会的役割の獲得を理解できる テキスト第11講 (P127〜P139)
青年期以降のメンタルヘルスと精神保健 思春期・青年期の問題行動、青年期の発達と精神病理、成人期の危機を理解できる テキスト第12講 (P140〜P150)
中年期の発達と危機:人生の午後 中年期の発達課題、ライフイベント、老いの兆候を理解できる テキスト第13講 (P152〜P162)
エイジングと心理的変化:「老い」への対応 老いの特徴、老年期のパーソナリティと適応、老年期の不適応と障害を理解できる テキスト第14講 (P163〜P176)
「死」への対応:死に対する態度と準備 死に対する態度の発達、死の受容、残されたものの悲嘆、幸福な老いと最期を理解できる テキスト第15講 (P177〜P188)
試験
科目終了試験は、100点満点で60点以上が合格となります。テキストを何度も繰り返し読み、レポート課題をしっかり復習してください。