最終更新日:2024年5月9日

1年次入学生:1年 3年次編入学生:3年 短期大学部:-
心理・福祉学部 社会福祉学科

D001

社会福祉学Ⅰ(含職業指導)

社会福祉の基礎的概念・知識の習得

単位条件

通信 2単位

教員

山田 等

履修条件

なし

到達目標

現代社会における社会福祉の意義を理解することを目標とする。そのためにまず、社会福祉の基礎的概念、基礎的知識を習得する。加えて、社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験に対応できる能力の獲得を目指す。

学習成果

社会福祉の基礎的概念、基礎的知識を理解し、専門文献が読めるようになる。社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験に対応できる能力、具体的には7割以上の得点が取れるようにする。

テキスト教材

『現代社会と福祉』(中央法規出版)
※上記のテキストを配本しますが、各出版社から出ている社会福祉士・精神保健福祉士向けのテキストを各自で用意して使用してもかまいません。

参考図書

各出版社から出ている国家試験用のワークブック(どれでもよい)

評価の要点

第1課題は基礎的知識を理解しているかを確認する。75点以上で合格となる。第2課題は関心のあるテーマについてよく考えられているかをみる。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価する。
第1課題は基礎的知識を問う。上記の参考書、WEBの情報で答えられる。75%の正解で合格とする(60%ではない)。第2課題は要約が適切か(40%)、意見があるか(40%)、表現が適切か(20%)で評価する。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

試験では、社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験に準じて、主として5択形式の問題を出す。学生は、国家試験を受けない学生も、国家試験の過去問題、各種模擬問題を繰り返し解いて、誤った文章などは正しい文章を作って覚えておくこと。これが究極の試験対策である。

レポート課題

提出数 2

第1課題

第1課題と第2課題のレポート作成形式が異なります。

解答用紙あり

第1設題

全ての問いに答えなさい。
【Ⅰ】 次の1~25に選択肢の中から適当なかなを選び入れよ。
1.社会福祉法第2条では、社会福祉事業を2つに分けている。第1種社会福祉事業は、救護施設、児童養護施設、養護老人ホーム、障害者支援施設、などの、主に(  )、および授産施設である。第2種社会福祉事業は、生活困難者に金銭を与え、または生活の相談に応じる事業、障害児通所支援事業、保育所、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、障害者に対する障害福祉サービス事業・一般相談支援事業、身体障害者・知的障害者の更生相談事業、介護老人保健施設を利用させる事業、無料または低額宿泊施設、祉サービス利用援助事業などであり、主に通所事業や相談事業である。実習先の事業がこれらにあてはまるか、これら以外なのか、注意深く観察する必要がある。

2.第1種社会事業と第2種社会福祉事業の違いは利用に対する影響の大きさによる。社会福祉の価値に照らしてみれば、第1種社会福祉事業の利用者は、第2種の利用者に比較して、(  )を侵されやすいと言える。だから、法第60条にあるように、第1種の事業者は、国、地方公共団体、社会福祉法人が経営することを原則とするのである。実習先の組織がこれらなのか、これら以外なのか、知る必要がある。

3.「福祉サービス利用援助事業」とは、平成11年10月から「地域福祉権利擁護事業」、平成19年度から(  )の名称で、都道府県社会福祉協議会を実施主体とした事業である。判断能力の不十分な高齢者や知的障害・精神障害のある方などが、安心して生活が送れるように、定期的にご訪問し、福祉サービスの利用や暮らしに必要なお金の出し入れの手伝いを行う。地域によって、「あんしんサポート」や「いきいきサロン」などの名称を用いる場合がある。実習先での事業は、法律に基づくものでも、このように名称が異なる場合がある。

4.特別養護老人ホームは、原則要介護度3以上の高齢者が入所して、生活する介護施設である。特別養護老人ホームは老人福祉法に基づく名称であり、略して「特養(とくよう)」と呼ばれることも多い。介護保険法が施行されてからは、特別養護老人ホームが、同時に、介護保険法に基づく(  )という名称になるのである。

5.(  )は、社会福祉事業および介護保険法に規定する事業のほか、公益事業および収益事業を行うことができる。公益事業には、入所施設からの退院・退所を支援する事業、子育て支援に関する事業、介護保険法に規定する居宅サービス事業、地域密着型サービス事業、介護予防サービス事業、地域密着型介護予防サービス事業、居宅介護支援事業、介護予防支援事業、介護老人保健施設を経営する事業、地域支援事業を市町村から受託して実施する事業、老人保健法に規定する指定老人訪問看護を行う事業などがある。実習先の事業がこれら以外の場合、その機関・施設の独自事業の場合がある。

6.ソロモンによって初めて提唱された「黒人の(  )」とは、スティグマ化されている黒人集団の構成メンバーであることに基づいて加えられた否定的な評価によって引き起こされたパワーの欠如状態を減らすことをめざして、黒人の諸活動にかかわっていく過程である。現在では、広く人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させることとされる。医療や福祉の実践では、一人ひとりが本来持っている潜在力を湧きあがらせ、顕在化させて、活動を通して人々の生活、社会の発展のために活かしていく、という意味で使われる。

7.福祉における『(  )』とは、支援を必要としている人の持っている意欲や能力、希望や長所などを含む意味をもつ。(  )は、1980年にアメリカのカンザス大学のラップ(Rapp,C.A.)を中心としたグループによって『(  )モデル』として提唱された。ラップらは、精神障害のある人々の実証的研究を行う中で、社会や今まで支援してきた専門職のかかわりが、かえって抑圧に繋がっている点を指摘した。かつては病気や障害などの診断を中心とする医学モデルの考え方のもとに、本人のできないことや課題に着目され、治療や支援は専門職の意見や解釈主体で行われ、治療や支援を受ける本人の意志や希望が尊重されることは難しいとされていた。『( )モデル』は、専門職が主導する従来の支援とは全く異なるアプローチとして広まっていきました。現在、この考え方は、雇用、教育、福祉の分野に広がっている。支援者は、利用者の潜在的な力を見つけそれを生かす支援を行うことが、( )の理解の第一歩となる。その意味では、( )視点から(別の用語=第6問の答え)に繋げていくことは、利用者自らが選択し、問題を解決していくための非常に重要なポイントになる。実習先では、支援者がどのように利用者の( )を見つけるか、を観察していく。

8.(  )とは視点を変えることで、前向きな長所を発見していく手法である。福祉や医療の現場では、被支援者は自信を失っていることが多く、自分の性格にダメ出しをしたり、挫折で苦しんでいたりすることが多い。そのような被支援者と話すときに、タイミングを見て(  )を一緒にしてみると、思わぬ(別の用語=第7問の答え)が発見されることがある。

9.福祉の現場では、法律や制度に基づいて支援を行う。それはともすると、制度や法律があると、困っている人々をその制度の枠組みの中で支援しよう、枠組みにあてはめようとしがちになる。しかし、法律の不備や制度の不便さ・使いにくさがあれば、それを改善しようと働きかけることも大切である。(  )とは、社会福祉制度の創設や制度運営の改善を目指し、世論に働きかける活動である。現場での支援や活動を通じて、様々な人に共通する問題や課題を発見し、可視化し、社会に問題提起を行っていくのである。実習先での事業が(  )の場合、問題点がより明確になる。

10.(  )という英語には、課税、査定、査定額、税額、そのための評価、判断などの意味がある。つまり、税額を客観的に評価するという言葉本来の意味があり、日本ではそこから転じて、人物や環境などの対象物や事象を客観的に評価したり査定したりする、という「評価・査定」の意味で使用されることが多い。このため、分野ごとに評価する対象と組み合わせ、「環境アセスメント」「製品アセスメント」などの熟語で使われることが多い。介護の分野における「アセスメント」は、ケアプランの作成時の行われる評価・査定を意味する。具体的にいうと、介護対象者のニーズ・利用中のサービス・生活の課題・残っている能力など生活全般におけるニーズを聞き出し、どのような介護サービス・ケアが必要なのかを判断するために行われる。福祉全体では、インテークによって得たクライエントに関係する情報を問題解決に結びつけて考える「情報の組織化」を指す。実習では、もともとの意味を知ったうえで、何をしているか、理解する必要がある。

11.(  )とは「人間らしさを取り戻す」ことを意味するフランス語の造語で、フランス発祥の認知症のケア技法のことである。 相手をどんなに大切に思っていても、その気持ちは相手が理解できるように表現しなければ、相手には届かない。(  )の「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱は、ケアを受けている人に対して「あなたは私にとって大切な存在です」と伝えるための技術である。

12.( )は、社会的な孤立や排除の問題に取り組むことを通じて今日的な「つながり」の再構築を目指している。

13.(  )とは父権的温情主義とも訳され、親が子に対する権威と保護を理由として、子どもに強制をくわえることを言う。転じて、医師や福祉従事者が「本人のためである」としてクライエントに保護を理由に強制を加えることを言う。しかし何が「本人のため」か? 近年の「自己決定の尊重」はその反省から生まれた。

14.(  )は、社会構成主義に基づくアプローチである。社会構成主義は,これまでの主観・客観の二分的見方をとらず「現実は人々の間で構成される」とする。そこでの理解は治療の場における利用者と援助者の間の対話、すなわち、「いま,ここで」の対話とその解釈が重視される。(  )は利用者が「自己」について否定的なストーリーを抱き、それを変えることができないと信じ込んでいる場合に有効である。クライエントのなかで確立しているストーリーをドミナント・ストーリーという。クライエントと援助者は、共同で新たなストーリー、つまりオルタナティブ・ストーリーを生成し、問題状況からの決別を図る。利用者が新たな意味の世界を創り出すことにより、問題状況から決別させる。

15.(  )(アルファベット大文字3文字で表現する)とは、訳せば「社会生活技能訓練」であり、社会の中で暮らしていくためのスキルのことをいう。社会で人と関わるときに生じる挨拶、人に何かをお願いしたり断ったりするなどのコミュニケーションはもちろんのこと、毎日歯を磨く、決まった時間に薬を飲むなどの日常生活を営む上での生活スキルもテーマとして扱う。現在では、医療機関や各種の社会復帰施設、作業所、矯正施設、学校、職場などさまざまな施設や場面で実践されている。

16.アマルティア・センは、財を与えることよりも、本人が実際に生を選択できる「選択機会」を重視した。センは自由を「本人が価値をおく理由のある生を生きられること」と定義し「福祉的自由」と呼んでいる。それを得るために人びとは努力する。センは、財を用いて何かを成し遂げる能力を(  )(潜在能力と訳される)と呼んだ。貧困はその能力の欠如としてとらえられるが、本人が達成しようと思ったらできる点、すなわち(  )自体はあるが不十分なら努力すればよい。しかし、本人が達成しようと思っても達成できない点、すなわち達成のための手段が不足していること、外的要因で阻害されているなら、単なる財の給付では解決できない、とされる。

17.ソーシャルワークにおける「(  )」とは、「個人モデル」とも呼ばれ、問題の原因を個人の側に求め、その原因を除去ないし治療することによって解決を図ろうとする援助モデルである。このモデルでは、クライエントは問題をかかえながら、なおかつ自分で解決できない存在とされ、結果、援助者と主客あるいは支配服従の関係となる。援助者からは、クライエントは「変わる必要のある存在」ということになる。

18.「(  )」とは、クライエント(人)と環境との相互作用に焦点を当て、クライエントが現状で何ができて、何がどの程度できないかを把握して、環境を改善させるという働きかけを行っていく。クライエントは、「変わらなくてもよい存在」とされ、肯定的なメッセージで支えていくことができる。このモデルでは、お互いがお互いの立場から意見を交換し合えるような柔軟な関係性が求められる。

19.「(  )」とは「十分な説明を受けた上での同意」「説明と同意」などと訳される。医師は、治療法や薬の内容について、患者に十分な説明を施し、患者の同意を得た上で、それを実行するという考え方である。

20. (  )とは、もともとは、奴隷や犯罪者であることを示す刺青などの肉体的刻印のことを指す言葉であった。現在流通している用法は社会学者ゴフマンが1963年『(  )の社会学』の中で提示した。彼は、(  )を負った人々への劣等視が社会的に正当化されていることを論じた。その結果、(  )を負った人々は差別という形で様々な社会的不利を被ることになるのである。

21.ブラッドショー(Bradshaw,J.)は、ニーズを、4つに分けた。(  )とは専門家や行政官僚が規範に基づき判定したものである。

22.ブラッドショー(Bradshaw,J.)の分けたニーズのうち、(  )とはサービスの利用申請などの行動に移したものをいう。

23.表面化されないニーズは(  )と呼ばれる。これが生じる理由としては、「1例えば居住する地域に、ニーズを充足する資源がない。2資源についての情報がない。3生活保護のように利用の際にスティグマがともない利用しづらい。」などがあげられる。

24.三浦文夫は、「ある種の状態が、一定の基準から見て乖離の状態にあり、回復・改善等を行う必要があると社会的に認められたもの」を広義のニーズと定義し、1975年頃を境として、「(  )」への対応の重要性が増した、としている。

25.アメリカの哲学者ロールズ(Rawls,J)は、所与の制約条件下で最も不遇な人びとの期待を最大限に高めることを目的とする「格差原理」とよばれる「分配原理」を提唱した。そのうえで、「格差原理」を基礎哲学とした(  )、すなわち、すべての人に無条件で一定額の基本所得を支給する構想を提唱した。

【I】 選択肢
あ.入所施設  い.ソーシャルインクルージョン  う.ソーシャルエクスクルージョン  え.権利擁護事業  お.日常生活自立支援事業  か.リフレーミング  き.エンパワーメント  く.アセスメント  け.バリアフリー  こ.ケイパビリティ  さ.アドボカシー  し.ストレングス  す.社会福祉法人  せ.社会福祉協議会  そ.インフォームドコンセント  た.ユマニチュード  ち.モニタリング  つ.カウンセング  て.ベーッシック・インカム  と.表明されたニーズ  な.感得されたニーズ  に.ライフモデル  ぬ.顕在化されたニーズ  ね.パターナリズム  の.ナラティブ・アプローチ  は.潜在化されたニーズ  ひ.アウトリーチアプローチ  ふ.ユニバーサルデザイン  へ.基本的人権  ほ.生存権  ま.規範的ニーズ  み.福祉ニーズ  む.比較ニーズ  め.社会的諸目標モデル  も.医学モデル  や.媒介モデル  ゆ.社会計画モデル  よ.介護老人福祉施設  ら.非貨幣的ニーズ  る.ソーシャルアクション  れ.スティグマ  ろ.ACT(アサーティブ・コミュニティ・トリートメント)  わ.SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)

 

【Ⅱ】 次の26~50に選択肢の中から適当なかなを選び入れよ。
26.イギリスの社会福祉の歴史は、貧困者への対応の変遷である。1531年、ヘンリー八世は、中世以来の、浮浪と乞食(こじき)の禁止という抑圧立法の立場をとりながらも、無能力貧民の登録すなわち乞食を許可する政策をとった。しかし、浮浪者は鞭打ちにしたうえ、強制労働に服せしめた。1547年法は、浮浪者の胸にVの烙印をつけて2年間奴隷とし、使役から逃亡すれば額にSの烙印をつけ終身奴隷とし、再犯すれば死刑とした。1601年に成立した(  )救貧法(Poor Law)は貧民監督官を置き、救貧税を課すなどの行政的改革はなされたが、「貧困は犯罪である」として治安維持に重点が置かれたのも事実である。

27.1798年、(  )は,『人口の原理』において,救済は救貧費を増大させるだけでなく、「貧困救済は労働者の自助努力を損ねさせる」として,救貧法に反対した。

28.1899年、(  )はヨーク市で調査を行い、「第1次貧困」「第2次貧困」を合わせて、人口の約三分の一が貧困であることを明らかにした。彼によれば、人の一生は二度の「比較的余裕のある生活」と、三度の「貧乏状態」を経験するという。彼やチャールズ・ブースらの社会調査によって、「貧困は個人の責任である」というよりは、「貧困は社会の構造に由来する」、具体的には、低賃金や失業といった資本主義の構造に由来するものであることが明らかになっていった。

29.1918年、国民代表法が成立した。そこでは過去の受給経歴による参政権の剥奪をやめ、イギリス議会は「(  )」と宣言した。しかしイギリスでは失業問題は1920年代に深刻化し第二次世界大戦まで解消しなかった。1934年の失業法は、第1部失業保険、第2部失業扶助からなり、後者は実質的に救貧法を解体に導くものであった。

30.1942年、イギリスのベバリッジは,『社会保険及び関連サービス』報告において,克服すべき五つの問題として、貧困、無知、疾病、狭隘(不衛生)、無為(怠惰)をあげた。この報告では、「(  )」という理念が示された。

31.ウェッブ夫妻が提唱した(  )の概念は、国家が国民すべてに対して保障すべき必要最小限度の生活水準を言う。

32.1965年、(  )は、エイベル・スミスと調査報告書『貧困層と極貧層』を発表し、戦後の豊かな社会での「貧困の再発見」を主張した。彼は、1979年、「貧困とは生活資源と生活様式が相対的に剥奪されているという状態だ」とする、より広範な貧困概念を提示した。

33.1979年、イギリスでは、保守党のサッチャー政権が誕生した。同じころアメリカでも(  )の経済政策を基本とする「新自由主義」を掲げるレーガン政権が誕生し、福祉サービスでは市場による供給を中心とするように主張する新自由主義の時代を迎えた。これは、基本的には、「貧困は個人の責任である」とし、政府の福祉に対する支出を抑制しようとするものである。

34.1988年の(  )報告(「コミュニティ・ケア:行動計画」)は,サッチャー政権の下,コミュニティケアの抜本的改革に向けて政府に対して具体的な勧告を提言した「行動綱領」となった。(  )報告は,1990年に成立した国民保健サービス及びコミュニティケア法に影響を与えた。

35.イギリスのブレア政権は、社会的排除を改善するため、ソーシャル・インクルージョンを唱えた。そのブレーンであるギデンスは『第三の道』として、単に金銭を給付する「消極的福祉」ではなく、自立支援を制度に組み込む「積極的福祉(ポジティブ・ウエルフェア)」、具体的には若者に対する職業訓練を中心とする(  )を提言した。

36.バンク・ミケルセンが知的障害者の生活改善のために提唱した(  )は、現在では、障害や老齢の人にも適用される理念とされている。

37.1884年、ロンドンに、バーネット夫妻(Barnett,S.&H.)の努力でトインビー・ホールが設立された。これが最初の(  )ハウスである。日本では、1897(明治30)年、片山潜が東京の神田三崎町に「基督社会事業の本営」としてキングスレー館を設立したのが最初である。日本ではこれは、「隣保事業」と訳され、1940年代に拡大した。

38.アメリカのカリフォルニアでは、1972年、(  )センターが設立された。この運動とは、それまでの「普通の人びと」が考える経済的・身体的自立概念を問い直し、当事者の選択と自己決定こそが自立だととらえ、施設収容に見られるステロタイプの障害者観に異議申し立てをし、障害者自身の体験に基づく生活支援などを行おうとする実践である。そこからは、日常生活で介助を受けていても自分の判断で自分の生活を管理し主体的に生きていこうとする考え方が生まれる。

39.1874年、明治政府は恤救規則をつくった。これは、人民相互の同情心に基づいて救済はすべきだが、身寄りのない者については、公的救済を行うとした。のちに、1890年に窮民救助法案などが帝国議会に提出されたが、「(  )」、惰民を養成することにつながるとして、全て不成立に終わっている。1908年から、内務省主催の感化救済事業講習会が毎年開かれた。井上友一が中心となり、救貧に依存しない国民精神を育成教化することを基本に、救貧より防貧、防貧より風化(感化)を強調した。

40.1918年、(  )が起こり、これへの対応策として、経済保護事業をはじめさまざまな社会事業が展開された。関係部局も拡大し、1920年には厚生省社会局として独立した。この時期は、国家がより本格的に国民生活の危機に対応しようとしたことから、日本における社会事業の成立期といわれる。1917年、岡山県知事笠井信一により、済世(さいせい)顧問制度が創設された。翌年の(  )への対応として、大阪府では、林市蔵知事の下、小河滋次郎によって方面委員制度が登場した。1936年には、方面委員令として全国的な制度となった。

41.方面委員制度は、1946年の民生委員令に引き継がれた。方面委員は、救護法では方面委員として、旧生活保護法では民生委員として、市町村長の(  )として、救貧行政の現場を担った。しかし、現行生活保護法では、協力機関にとどまる。1929年、救護法が制定・実施された。これは、恤救規則と比べ、公的扶助義務主義に立つこと、生活扶助・医療・助産・住宅扶助・生業扶助に救護の種類を拡大したこと、対象範囲を拡大するなど進歩的なものであったが、失業者を排除し、被救護者には選挙権などの参政権を認めないなど、劣等処遇するものでもあった。また、財政難のため1932年まで実施が延期された。

42.1946年、それまでの救護を担った救護法、(  )などが廃止され、旧生活保護法が制定された。1940年代後半には、旧生活保護法・児童福祉法・身体障害者福祉法が成立し福祉三法体制となった。

43.1973年の(  )により、経済は低成長期に入った。このため、「福祉の見直し」が主張され、1979年には、家庭福祉の重視、自助努力の重視、受益者負担などをうたった「日本型福祉社会」の創造が構想された。具体的には、1982年に老人保健法が制定され、受益者負担が盛り込まれた老人医療費支給制度の見直しが行われた。

44.1990年、本格的な高齢社会への対策の推進等を図るため,「老人福祉法等の一部を改正する法律」いわゆる「福祉関係8法改正」がおこなわれ、住民に最も身近な行政機関である(  )による、福祉と保健との一元的サービスが進められた。

45.日本の医療保険制度は、被用者を対象としたものは1922年に始まり、自営業者などを対象とした(  )は1938年に制定された。これは戦時下で適用人口が激減し危機的状況にあった。そこでこれは、1958年12月、全面改正され新たな法として制定された。これにより、被用者を対象としたものと合わせ、医療保険の適用人口は98.7%となった。

46.年金制度は、被用者を対象とした労働者年金保険法が1941年に制定され、のちに厚生年金となった。自営業者などを対象とした(  )は1961年に制定された。これにより、日本では全国民が医療保険と年金保険に加入する「国民皆保険・皆年金体制」ができあがった。

47.(  )が論じた「正義」とは、社会で最も不遇な人の最大の便益となるように,資源配分の是正が行われるべきというものである。

48.2012年の国連総会では、「(  )」についての共通理解の文書が採択された。それは、全ての人々の保護および能力と地位の向上を強化することを求めている。

49.(  )は、著書『この子らに世の光を』(1965年)で、身体に障害のある子らに「世の光」をあてるために、重度の障害のある子どもであっても、その発達保障のための条件を整備すべきであると主張した。

50.終末期に自分が望むケアをあらかじめ書面に示しておくことを表すことを(  )という。

【Ⅱ】 選択肢
あ.貧困は犯罪ではない  い.補助機関  う.ナショナル・ミニマム  え.ベーシック・インカム  お.協力機関  か.Independent Living  き.グリフィス  く.Independence Day  け.軍事扶助法  こ.グリーフケア  さ.セツルメント  し.リビングウィル  す.実施機関  せ.措置機関  そ.市町村  た.マルクス  ち.エリザベス  つ.チャールズ・ブース  て.軍事補助法  と.労働者年金法  な.ラウントリー  に.米騒動  ぬ.貧困は犯罪ではない  ね.人間の安全保障  の.貧困は個人の責任である  は.ロールズ  ひ.マルサス.  ふ.都道府県  へ.国  ほ.国民健康保険法  ま.ノーマリゼーション  み.貧困は文化である  む.貧困救済は労働者の自助努力を損ねさせる  め.ワークフェア  も.オイルショック  や.貧困は不運である  ゆ.貧困に対して社会保険を中心として国民扶助によって保障する  よ.国民年金法  ら.糸賀一雄  り.貧困は犯罪である  る.フリードマン  れ.タウンゼント  ろ.貧困に対して公的扶助で保障する  わ.ターミナルケア(terminal care)

第2課題

第1課題と第2課題のレポート作成形式が異なります。

横書きパソコン印字可
[1500〜2000]

第1設題

次のいずれかの文献について、要約と意見を明確に分けて述べよ。課題名には、以下の下線部を書けばよい。〇〇著「タイトル」出版社、出版年──要約と意見 レポート冒頭に、使用した文献の著者「タイトル」を記せ(ない場合は大幅な減点となる)。文字数は、1500字以上、2000字以内とする。

1.石井 光太「漂流児童」、潮出版社、2018年。
2.石井 光太「こどもホスピスの奇跡 短い人生の「最期」をつくる」、新潮社、2020年。
3.石井光太「虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか」、平凡社新書、2019年。
4.荒井 和樹「子ども・若者が創るアウトリーチ/支援を前提としない新しい子ども家庭福祉」、アイエス・エヌ、2019年。
5.濱島 淑惠「子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁」、角川新書、2021年。
6.大藪 謙介・間野 まりえ「児童養護施設 施設長 殺害事件-児童福祉制度の狭間に落ちた「子ども」たちの悲鳴」、中公新書ラクレ、2021年。
7.井上 景「行列のできる児童相談所: 子ども虐待を人任せにしない社会と行動のために」、北大路書房、‎ 2019年。
8.松永 正訓「発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年」、中央公論新社、2018年。
9.小倉昌男「福祉を変える経営 障害者の月給一万円からの脱出」、日経BP、2014年。
10.東田 直樹「自閉症の僕が跳びはねる理由 」、角川文庫、2016年。
11.澤田智洋「マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう」、ライツ社 、2021年。
12.川島薫「障がい者の能力を戦力にする 新しいカタチの「特例子会社」」、中央公論新社、2019年。
13.渡邊幸義『社員みんなが優しくなった』かんき出版、2011年。
14.杉山春「児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか」、朝日新書、2017年。
15.中西 正司 上野 千鶴子『当事者主権』岩波新書、2003年。
16.松森果林「音のない世界と音のある世界をつなぐ」。
17.鮎川 潤「少年犯罪―ほんとうに多発化・凶悪化しているのか」((平凡社新書)。
18.庄司 洋子「親密性の福祉社会学―ケアが織りなす関係(シリーズ福祉社会学〈4〉)」
19.慎 泰俊「ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援」、ちくま新書、2017年。
20.大久保真紀「ルポ 児童相談所」、朝日新書、2018年。
21.砂連尾理「老人ホームで生まれた<とつとつダンス>」、晶文社、2018年。
22.武内 和久・ 藤田 英明 「介護再編 介護職激減の危機をどう乗り越えるか」、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年。
23.津止正敏「男が介護する」、中公新書、2021年。
24.川北実「8050問題の深層「限界家族」をどう救うか」NHK出版、2019年。
25.湯浅 誠「「なんとかする」子どもの貧困」、角川新書、2017年。
26.松本 俊彦 (編集)「『死にたい』に現場で向き合う 自殺予防の最前線」、日本評論社、2021年、 208ページ。
27.樋田 敦子「女性と子どもの貧困~社会から孤立した人たちを追った~」2015年。
28.山本 譲司「累犯障害者」、新潮文庫、2009年。
29.秋山千佳「ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル」朝日新書、2016年。
30.鮎川潤「新版 少年非行の社会学」 (世界思想社)。
31.野村 恭代「施設コンフリクト 対立から合意形成へのマネジメント」、幻冬舎ルネッサンス新書、2018年。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
現代社会と社会福祉 左記の知識 左記
欧米の社会福祉の歴史 左記の知識 左記
日本の社会福祉の歴史(1) 左記の知識 左記
日本の社会福祉の歴史(2) 左記の知識 左記
福祉国家の成立 左記の知識 左記
社会政策・社会保障制度の中の福祉政策(所得保障との関連) 左記の知識 左記
福祉政策の関連領域(保健医療、雇用、教育、住宅) 左記の知識 左記
福祉政策における必要・ニードと資源 左記の知識 左記
福祉政策資源の配分システム 左記の知識 左記
社会福祉制度の体系。社会福祉法、措置制度から契約へ。 左記の知識 左記
福祉サービスの提供=利用過程 左記の知識 左記
援助の考え方(1) バイステックの7原則、エンパワメント 左記の知識 左記
援助の考え方(2) 医学モデル、生活モデル 左記の知識 左記
社会福祉士の役割と機能 左記の知識 左記
社会福祉士が行う地域社会への働きかけ 左記の知識 左記
試験
社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験に準ずる、主として5択形式の問題を25問出題する。60%以上の正答で合格とする。