最終更新日:2024年5月23日
C012
教育課程論
教育課程編成の基礎を学校の教育内容や関連する法令等から学ぶ。単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
(1)目的
学校の教育課程についての基本的な理解を踏まえ、教育課程編成の基礎を学ぶことを目的とする。
(2)授業構成と到達目標
教育課程に関する用語、教育課程の類型、教育の目的と教育課程との関連について理解し、教育課程の編成方法について学ぶ。その際、
学習指導要領における教育課程の変遷や教育課程編成と法令との関連を理解する。また、カリキュラム・マネジメント、諸外国の教育課程の特徴、及び近年の教育改革の基調となる思潮や代表的な教育学者の教育課程に対する提言についても理解する。
学習成果
1.教育課程に関する用語について基本的概念を説明することができる。
2.教育課程の類型について、カリキュラム編成の二大原理(系統主義と経験主義)との関連で説明することができる。
3.教育の目的と教育課程編成との関連について説明することができる。
4.戦後の学習指導要領における教育課程の変遷を説明することができる。
5.幼稚園や小学校の教育課程編成方法について関連内容と関係づけ説明することができる。
6.カリキュラム・マネジメントの目的と方法について説明することができる。
7.諸外国の教育課程の特徴及び近年の代表的な教育学者の教育課程に対する提言について説明することができる。
テキスト教材
広岡義之編著『はじめて学ぶ教育課程』(ミネルヴァ書房)2018
参考図書
文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説総則編』(東洋館出版社)2018
文部科学省『幼稚園教育要領解説』(フレーベル館)2018
評価の要点
教育課程の編成方法について、関連する基本的な用語や理論を理解し説明できることが評価の要点となる。その際には、各自が受けた幼稚園(保育園含)・小学校・中学校における教育(各教科、道徳、総合的な学習の時間、外国語活動、特別活動)の体験・経験によって理解し、また必要に応じ各自の体験・経験を交え説明するとよい。
評価方法と採点基準
・レポートの評価方法と採点基準
テキストの内容を十分に理解し、参考文献に当たりその上で自分の考察を加えたレポートは完成度に応じてS.A.B.C.で評価する。完成度が6割以下の場合は、D評価となる。
・科目試験の評価方法と採点基準
解答の完成度に応じてS.A.B.C.で評価する。解答の完成度が6割以下の場合は、D評価となる。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
本授業では、学校の教育課程についての基本的な理解を踏まえ、教育課程編成の基礎を学ぶことを目的としている。この「教育課程編成の基礎」を学ぶためには、第1に学校の教育課程(例えば小学校)はどのような形式や内容で編成されているかを知っておくことが必要である。インターネットによって、学校の教育課程の事例を調べておくとよい。第2に教育課程編成方法について様々な観点から学ぶが、その際は自分が経験した学校教育での教育内容に照らしながら理解するとよい。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
日本の戦後の教育課程(昭和22年から平成30年までの学習指導要領)の変遷について、特に小学校の教育内容を中心に次の視点から改訂順に表を作成し、その表から気付いたことを5点選び、それぞれについて考察しなさい。視点1教育内容(各教科、道徳、総合的な学習の時間、外国語活動、特別活動等)の変化、視点2教育に関する特記事項(例:おちこぼれ)、3社会的背景(例:サンフランシスコ講和条約)。表の作成に当たっては、テキスト38頁の図3-1及び文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説総則編』を参照のこと。なお、レポートは、表を含めて提出してください(表は上記の3視点で作成する。表は字数に含めない)。
第2課題
いずれか1設題を選択
第1設題
教育課程に関連する用語、「教育課程」「カリキュラム」「学習指導要領」の概念の違いについて論述する。
第2設題
「教育目的」と「教育目標」の違いについて、小学校の教育課程を事例に論述する。
第3設題
教育課程の管理・運営の方法について、PDCAのサイクルの観点から論述する。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
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教育課程とは何か(1) 学校教育は、各学校が編成する「教育課程」に沿って展開される。 ここでは、教育課程に関連する用語の概念を学ぶ。そこで、まず、テキストの「はしがき」で近年の学習指導要領の改正点を理解する。次に、「教育課程」と「カリキュラム」「学習指導要領」の用語の概念を理解する。用語は、教育学の事典でも調べる。 |
教育課程、カリキュラム、学習指導要領の用語の概念が説明できる。 | テキスト「はしがき」、2頁〜4頁 教育学辞典 | |
教育課程とは何か(2) 学校教育は、各学校が編成する「教育課程」に沿って展開される。ここでは、教育課程が展開される様々な次元の様相を学ぶ。 ①4つのカリキュラムレベル(制度化されたカリキュラム、計画されたカリキュラム、実践されたカリキュラム、経験されたカリキュラム) ②カリキュラム・マネジメント ③潜在的カリキュラムと顕在的カリキュラム) |
左記の教育内容123のカリキュラムについて、意味が説明できる。 | テキスト5頁〜10 頁 | |
教育課程とは何か(3) ここでは、カリキュラム編成について学ぶ。まず、カリキュラム編成の二大原理(系統主義と経験主義)を理解する。次に、カリキュラムの類型(①教科カリキュラム、②相関カリキュラム、③融合カリキュラム、④広域カリキュラム、⑤コア・カリキュラム、⑥経験カリキュラム)について、各カリキュラムの特徴を理解する。 |
カリキュラム編成の二大原理と各カリキュラムの特徴が説明できる。 | テキスト10頁〜16 頁 参考文献記載の『教 育学概論』 | |
教育の目的と教育課程の編成(1) ここでは、教育課程の編成を教育目的との関連で学ぶ。目的と目標、教育目的と教育目標の違いを理解した上で、日本の学校教育が目指す教育の目的と教育課程の編成に対する考え方を現行の教育基本法、学校教育法に規定された教育の目的と目標、さらに学習指導要領に示された教育課程編成指針によって理解する。 |
各法律における目的と目標と教育課程の編成との関連を説明できる。 | テキスト18頁〜29 頁 | |
教育の目的と教育課程の編成(2) ここでは、教育課程の編成の原理について、次の事項から学ぶ。 ①タイラーの原理 ②規定された教育の目的・目標と如何にかかわるべきか ③「教育の目的」は誰のためのものか |
教育課程を編成する際のタイラーの原理が説明できる。 | テキスト29頁〜33 頁 | |
日本の戦後の教育課程(学習指導要領)の変遷(1) 昭和22年、昭和26年、昭和33〜35年、昭和43年、昭和52年の改訂学習指導要領の特徴を次の視点で整理し改訂内容を理解する。 視点 ①教育課程の改訂教育内容(例:昭和33年「道徳」の時間設定) ②教育に関する特記事項(例:おちこぼれ) ③社会的背景(例:サンフランシスコ講和条約) |
昭和22年から昭和52年の学習指導要領の改訂内容を説明できる。 | テキスト36頁〜44 頁 | |
日本の戦後の教育課程(学習指導要領)の変遷(2) 平成元年、平成10〜11年、平成20年、平成30〜31年の改訂学習指導要領の特徴を次の視点で整理し改訂内容を理解する。 視点 ①教育課程の改訂教育内容(例:平成元年小学校「生活科」の新設) ②教育に関する 特記事項(例:ゆとり教育) ③社会的背景(例:学校週5日制導入) |
平成元年から平成31年の学習指導要領の改訂内容を説明できる。 | テキスト44頁〜51 頁 テキスト「はしがき」 | |
幼稚園教育における教育課程の編成 ここでは幼稚園教育における教育課程の編成方法について、次の視点から学ぶ。 ①幼児の実態・取り巻く教育環境 ②幼稚園教育の目的・目標 ③幼稚園の教育内容 ④幼稚園での教育の進め方 ⑤教育課程の編成 ⑥幼児教育の5領域で養う力 ⑦幼児教育教育課程編成の基本 ⑧教育課程編成の進め方等 |
幼稚園教育の教育課程の編成にいて各視点との関連で説明できる。 | テキスト54頁〜62 頁 | |
小学校教育における教育課程の編成 ここでは、小学校教育における教育課程の編成方法について、次の視点から学ぶ。 ①児童の実態・これからの社会に求められる能力 ②小学校教育の目的・目標 ③学習指導要領と教育課程 ④小学校の教育内容 ⑤小学校での教育課程編成の原則 ⑥教科等の授業時数 ⑦指導計画と教育課程編成等 |
小学校教育の教育課程の編成について各視点との関連で説明できる。 | テキスト63頁〜72 頁 | |
教育課程の法と行政(1) ここでは、教育課程に関する法体系について、次の事項を学ぶ。 ①教育目的・目標に関する法規 ②教育内容に関する法規 ③授業時数に関する法規 ④教材に関する法規 ⑤教育課程の管理に関する法規(教育委員会による教育課程の管理に関する法規、教育課程の届出) |
教育課程に関する法体系について、各事項の意味を説明できる。 | テキスト90頁〜 102頁 | |
教育課程の法と行政(2) ここでは、学校における教育課程の管理・運営の実際について、次の事項を学ぶ。 ①教育課程の管理・運営 ②学校経営の観点からの教育課程の管理・運 営 ③教育員会による教育課程の管理 |
教育課程の管理・運営の実際について、各事項の意味を説明できる。 | テキスト102頁〜 106頁 | |
諸外国における教育課程の現状 ここでは、欧米の教育課程の現状と動向について学ぶ。 ①イギリスの教育課程 ②フランスの教育課程 ③ドイツの教育課程 ④アメリカの教育課程 これらの諸外国の教育課程の特徴を理解するには、日本の幼稚園・小学校・中学校の教育制度や教育課程も取り上げ比較すると理解しやすい。 |
欧米の教育課程について、諸外国の特徴が説明できる。 | テキスト108頁〜 121頁 | |
近年の教育改革の動向および今後の課題 ここでは、近年の教育改革の基調となる思想について概観した上で、カリキュラム改革の動向を学力観に焦点を当て学ぶ。 ①1990年代以降の教育改革の主要テーマ ②カリキュラム改革の動向 ③カリキュラム周辺領域の改革 ④今後の課題と展望 |
キ ー・コ ン ピ テ ンシ ー、コ ミ ュ ニ テイー・スクール等の 用語の意味が説明できる。 |
テキスト130頁〜 146頁 | |
教育課程が登場するまで―西洋における教育理念と教育方法の歴史的展開― ここでは、教育課程が登場するまでの次の時代の教育学的な貢献者を時系列的に学ぶ。・バロック時代から近代における教育理念(コメニウス、ジョン・ロック、ルソー、ヘルバルト、フレーベル)、・近代から現代における教育理念(エレン・ケイ、モンテッソリ、デューイ) |
左記教育学者の教育理念の主要概念が説明できる。例デューイ「問題解決学習」 | テキスト155頁〜 161頁 | |
教育課程の諸課題と展望 ここでは、近年の代表的な教育学者が教育課程の問題に対してどのような視点を提言しているかを理解し、それを踏まえ教育課程について今後考えられる視点を学ぶ。①フランクリン・ボビット、②ジェーン・アダムズ、③エリオット・アイ ズナー、④W.H.キルパトリック、⑤J.S.ブルーナー、⑥ハワード・ガードナー。 |
近年の代表的な教育学者の教育課程についての考えが説明できる。 | テキスト170頁〜 182頁 | |
試験 |