最終更新日:2024年3月12日
B007
児童学の教育学的基礎Ⅰ
現代社会における教育営為の実態と課題単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
(1)目的;今日の人類社会が当面する諸課題に対応する人間形成装置として望ましい教育のあり方をたしかめ、その実態と課題を理解する。
(2)到達目標;
① 諸外国の状況をも概観しつつ、明治以降の日本における教育の理念と制度の改革をたしかめ、そのような改革が行われた構想や思想を理解する。
② 教育は社会の維持、存続を支える不可欠な要件とされるが、その「しくみ」と「はたらき」を理解する。
学習成果
(1)欧米を含む古代からの主な教育論と教育実践の事績をたどりその形成と発展過程を知る。
(2)社会の改革や発展の主な原動力が教育のはたらきであることを理解する。
(3)望ましい人間形成に向けて考案された制度や教育方法の諸相を理解する。
(4)教師像の望ましいあり方と養成制度の変遷を理解する。
(5)国が営む公教育制度のしくみとその法的規範を理解する。
(6)今日における国の教育改革の理念と実践の推移を理解する。
(7)児童学の知識を体系的に習得することに熱意を持ち、授業の技法を探究する。
(8)子ども個人の特性に見あう教育のあり方を理解し、事例研究を続ける。
テキスト教材
佐藤晴雄著『現代教育概論』(学陽書房)2016
参考図書
(1)堀井啓幸著『現代学校教育入門』(教育出版)2003
(2)佐藤三郎他編著『学校教育の基盤』(協同出版)1996
評価の要点
(1)古代から現代にいたる社会において教育の指標とされた望ましい人間像の推移を説明できる。
(2)時代や社会の変遷に即して変化する教育の理念や制度、内容、方法などを説明できる。
(3)日本の教育現場における主な問題事象とその原因について説明できる。
(4)日本の公教育制度の特徴と運用について説明できる。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
(1)採点基準;
① 「レポート」が小論文としての体裁と内容を備えているか。
② 課題分野の主な先行研究を熟読、活用しているか。
(2)評価方法;通信教育「レポート」と科目終了試験結果を綿密に分析し合否を判断する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
(1)「レポート」は単なる答案や随想ではなく学術論文に倣って作成すべきである。(1600字前後)
(2)「レポート」の作成には、先行研究成果や関連参考文献を熟読、体得し広範に集約総括して作成すべきである。
レポート課題
提出数 2第1課題
いずれか1設題を選択
第1設題
ソクラテスの教育観と教育方法を論じなさい。
第2設題
公教育制度とは何かおよびその三原則を論じなさい。
第3設題
生徒指導の意味と指導事項をあげて論じなさい。
第4設題
児童・生徒の授業で事前、途中、終了後に行う一連の評価の名称をあげ、それぞれの目的を論じなさい。
第5設題
専門職としての教職が強調されるが、教師に期待される「専門性」を論じなさい。
第2課題
いずれか1設題を選択
第1設題
ルソーの子ども観と教育観を論じなさい。
第2設題
指導要録とは何かおよび2010年度から改訂された体裁と内容について論じなさい。
第3設題
平成20年1月の中央教育審議会の答申は指導方法の改善について、4項目の提言を行ったがそのそれぞれについて論じなさい。
第4設題
2000年度から学校に設置されることになった「学校評議員」の目的と活動内容について論じなさい。
第5設題
1996年の第15期中央教育審議会第1次答申は「生きる力」と「ゆとり」をキーワードに教育改革の基本的な在り方を提言しました。「生きる力」とは何か。「生きる力」を伸ばすにはどのような教育改革が求められるのかについて論じなさい。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
教育の本質・目的・機能の理解 | 時代の変化にともなう教育のあり方の再検討 | 古代社会における「持続可能性」確保としての教育 | |
人間社会の出現とともに生起した教育(古代の教育) | 古い文献(このばあいは史書)を検察する能力 |
スパルタとアテネの(国家保衛)の教育 | |
「私事」としての教育から「国」が背負う事業へ | 史実の熟読分析による類型化 | 個々の国家の成員の教育成果は国力に結晶化 | |
「公教育制度」成立への道程 | 過去の事実記録にはそれを裏づける複数の記録が必要 | 「義務教育」「学習権」の定義 | |
子ども観の変遷 | 子ども観提唱者の典拠を確実に示す。 | ルソー、コメニウス、ロック、 フレーベル、モンテッソーリ、エレンケイの子ども観 | |
諸外国における国力増進に向けた教育改革の重視 | 各国の生徒の年度別学力検査表を比較する | OECD加盟国の生徒の学力レベル | |
日本の教育改革の展開過程 | 臨教審の答申資料を中教審と照し合わせる | 臨時教育審議会 中央教育審議会 | |
教育改革のための法的規範の整備 | 改正以前と以後の法規を比較分析する | 教育関係法規の検討整備による実践の効率化 | |
教育基本法の改正 | とくに改正後の条文の意味を深く吟味する。 |
教育実践の新しい導標として吟味すべき。 | |
教育課程の編成原理と実践 | 戦後のコア・カリキュラム運動に注目、ヤマビコ学校の事例を参照すること | 1教材中心 2学問中心 3学習者中心 4社会中心 5人間中心などに類型化 | |
「基礎基本」「生きる力」にこめられた教育改革の指標 | この二つのキーワードはいつまでも残る改革の指標であろう。 | 平成8年第15期中教審第1 次答申は「生きる力」と「ゆとり」をキーワードに改革強調 | |
「いじめ」「登校拒否」に対処する生徒指導のあり方 | 教師のきびしい教室の現場認識が必要 | 生徒指導主事のより積極的なリーダーシップの発揮が期待される。 | |
学校運営協議会結成による地域力の結集による校外指導 | 積極的な地域人力の活用が必要 | 学校評議員制度から一歩ふみこんだ制度である。 | |
学習指導の方法の革新 | 戦後多様な方法が紹介されたが、しっかり定着されたのは稀である。 | 日々の授業実践での当面問題を中心に校内研修を実施する。 | |
教員の力量形成のあり方 | 教育の成否は教師力に大半かかっている。 | 専門職としての教師のあり方 | |
試験 |