最終更新日:2024年5月23日
K026
生徒指導・教育相談
単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
1)目的
学校における生徒指導について、基本的な事項を理解する。そして、生徒指導上の課題に関して、現場での指導や支援に役立つ知識を身につける。
2)目標
・チームによる生徒指導について理解し、具体的な実践を知る。
・生徒指導上の課題についての適切な指導や支援について理解する
・不登校やいじめなどに直面した児童生徒に対する指導方針や指導方法について考えることができる。
学習成果
・生徒指導の視点を理解し、その視点から学校における教育活動を捉えることができる。
・学習指導やキャリア教育における生徒指導の実践を具体的に理解し、さまざまな教育活動の中で生徒指導を実践できる。
・児童生徒の発達や心理について理解し、さまざまな観点からアセスメントをすることができる。
・生徒指導における保護者との適切なかかわり方を理解し、保護者との適切な連携を持つことができる。
・不登校、いじめ、発達障害について理解し、子どもへの適切な指導や支援を行うことができる。
・学校での危機についての基礎知識を理解し、具体的な実践活動を行うことができる。
・チームによる生徒指導を実践する際の具体的な方法を理解し、チームとして他の教職員や専門職と連携して児童生徒を指導することができる。
テキスト教材
石川美智子著『チームで取り組む生徒指導-アクティブ・ラーニングを通して深く学ぶ・考える-』(ナカニシヤ出版)
文部科学省『生徒指導提要』(教育図書)2010
参考図書
国立教育政策研究所『生徒指導リーフ』
国立教育政策研究所『キャリア教育をデザインする「今ある教育活動を生かしたキャリア教育」』
文部科学省『教師が知っておきたい子どもの自殺予防』
石隈利紀・田村節子『石隈・田村式援助シートによる チーム援助入門』(日本図書文化協会)
石隈利紀『寅さんとハマちゃんに学ぶ助け方・助けられ方の心理学』(誠信書房)
評価の要点
生徒指導は、指導する側が明確な問題意識を持ち、計画的に行うことが重要である。
そして、個人の教育観や思いつきで指導を行うのではなく、学問的な知見や研究成果に基づいた指導を行うことが求められる。
また、生徒指導は様々な人々との関わりの中で行われため、自分の行う指導について、上記の点を関係者に理解してもらうことも重要である。
これらの点について、水準に達しているかどうか評価を行う。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。レポートは次のような観点で評価する。
①一方的な自説の主張ではなく、生徒指導の知見に基づいたものであること。
②分かりやすい文章で書かれており、具体的論理的に記述されていること。
③先行文献や他者の文章の盗用ではなく、それらをもとに記述者が考察を深め記述されていること。
④記述者自身の体験は、上述の①〜③と論理的なつながりの中で記述されている場合には、評価の加算の対象とする。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
子どもや教育に関する社会問題に関心を向け、テレビやインターネットから情報収集してください。しかし、一人で考えるだけでは、自分の考えは広がることも深まることも難しいものです。自分と異なる意見にも幅広く触れるように心がけてください。また、自分の意見や考えについて、他者と話す機会を積極的に求めて下さい。なお、文部科学省と国立教育政策研究所の資料は、インターネットで閲覧可能です。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
いじめ対策としてどのような活動や指導を行うことが求められるのか、小学校あるいは中学校の学級担任としての立場から具体的に述べなさい。
開発的、予防的、治療的という三階層の生徒指導を念頭に置いて考察しなさい。
第2課題
第1設題
以下の危機介入の事例に関して、どのように生徒を指導・支援していくのかを具体的に述べなさい。その際に、関係する職員や保護者が、チームとして連携していくことを重視して考察しなさい。
【事例】 中学2年生の女子生徒。両親と本人の3人家族である。父親が大変厳しく、本人は関わりを避けている。母親とは関係は悪くないが、本人は「(母親とは)本音で話せない」とのことである。小学校6年時にいじめ被害を受け、その影響もあって学級には不適応の状態である。そのため教室へ行かずに保健室で過ごす時間も多い。また、リストカットをすることが時々あり、保健室で手当てを求めることもある。ある日の登校後すぐに、リストカットの手当てを求めて保健室に来室した。その際、養護教諭に「死にたい」との告白があった。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
教師になること: ①様々な教師像、 ②教師達の葛藤とキャリアデザイン(参考文献:「寅さんとハマちゃんに学ぶ助け方・助けられ方の心理学」)※参考文献を読み、自分の生き方と、人を助けることについて考えてみる |
様々な教師像を知り、教師としてのキャリアデザインを考える。 | 教科書 p1〜10 | |
生徒指導の役割と課題: ①社会構成主義と教師の姿勢、 ②学校組織における生徒指導の位置づけ、 ③生徒指導の領域論から機能論へ、 ④生徒指導におけるチーム援助と3つの援助階層(参考文献:「生徒指導提要 第1章」) |
生徒指導の歴史と役割、現在の課題について理解する | 教科書 p12〜21 | |
発達段階と児童生徒アセスメント: ①児童生徒アセスメントとは何か、 ②児童生徒アセスメントを行うために、 ③様々なアセスメントの方法 |
児童生徒のアセスメントの意義と方法を知る | 教科書 p22〜33 | |
発達と学習: ①児童生徒の心理・社会面に関する理論、 ②学習の支援に関する理論(参考文献:「生徒指導リーフ Leaf.1」「生徒指導提要 第3章」) |
発達と学習に関する理論を知り、教育に活かすことができる知見を考える | 教科書 p34〜44 | |
教科指導における開発的生徒指導: ①生徒指導の3機能、 ②教科における開発的生徒指導(参考文献:「生徒指導提要 第2章」) |
生徒指導の3機能の役割から、教科指導における開発的生徒指導を考える | 教科書 p45〜51 | |
学校における心理教育と開発的生徒指導: ①心理教育の意義と背景、 ②学校における心理教育の注意点、 ③体験学習の種類 ※SGEやSSTなどの心理教育プログラムの指導案を探し、ワークシートや課題を自分自身で体験してみる。 |
心理教育の意義を理解し、開発的生徒指導として心理教育を実践できる | 教科書 p52〜60 | |
キャリア教育: ①キャリア教育の定義と課題、 ②キャリア教育が提唱された社会背景、 ③日本のキャリア教育(参考文献:「キャリア教育をデザインする」) |
現代におけるキャリア教育の意義を理解し学校場面での実践を行える | 教科書 p61〜68 | |
保護者への対応: ①保護者への対応、 ②開かれた学校と保護者の対応における管理職の役割 ※教育委員会が作成した保護者対応についての資料を調べ、自分自身の体験と比較し、より良い保護者との関わりについて考える。 |
実践事例から連携を理解し、良い連携を持つことができる能力を養う | 教科書 p70〜78 | |
発達障がい: ①特別なニーズ教育における世界と日本の動向、 ②発達障がいと二次障がい、 ③発達障がいと支援 ※発達障がいの当事者や家族が書いたエッセイや手記を探し、それらを読むことを通して、当事者の気持ちに触れる。 |
発達障がいと二次障害について理解し、適切な対応を身につける | 教科書 p79〜87 | |
不登校: ①不登校の実際、 ②不登校の経過と効果的な指導 ※不登校の当事者や家族が書いた手記を探し、それを読むことを通して、不登校の子どもの心理を理解し、学校や担任の行うべき指導や支援について考える |
不登校への援助の意義を考え、教員としてできる支援を身につける | 教科書 p88〜98 | |
人権問題としてのいじめ: ①いじめの定義とその実態、 ②いじめの影響と構造(参考文献:「生徒指導リーフ Leaf.7」 |
人権問題としていじめを捉え、定義や法律を生かした実践を行える | 教科書 p99〜105 | |
学校現場におけるいじめ問題: ①学校におけるいじめの実態、 ②いじめ予防のための対応(参考文献:「生徒指導リーフ Leaf.8」「生徒指導リーフ Leaf.9」) |
いじめ予防の重要性を理解し、予防のための方策を身につける | 教科書 p106〜115 | |
個別支援とチーム援助: 事例経過について(参考文献:「石隈・田村式援助シートによる チーム援助入門」)※チーム援助の実際について理解し、保護者・担任などのそれぞれの気持ちや考えを想像し、良いチームになるための条件を考える |
チーム援助の方法や効果を理解し、コーディネート力を身につける | 教科書 p118〜127 | |
教師以外の専門家の活用と連携: ①事例紹介、 ②事例経過(参考文献:「生徒指導提要 第8章」)※各種専門機関との連携について理解する、危機発生時や緊急時における連携を支えるために何が必要かを理解する。 |
専門機関を知り困難を抱えた児童生徒や保護者を引き継ぐことができる | 教科書 p128〜140 | |
学校における危機対応: ①学校危機の理解、 ②学校における自殺企図者への対応(参考文献:「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」)※自殺の危険のある子どもへの指導や支援について理解し実践する力を養う。 |
自殺未遂への対応から、危機対応を理解し、学校での危機に対応できる | 教科書 p141〜152 | |
試験 生徒指導についての理解を問う問題(多肢選択による文章穴埋め問題)、生徒指導に関連する重要概念や重要語についての知識や理解を問う問題(多肢選択問題、正誤問題)、具体的な指導方法に関する問題(記述式問題)など |