最終更新日:2024年2月25日
U155
倫理学入門
人間らしく生きるために、人間とは何かを考える単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
心豊かな人間性と、文化に関する教養をもち、広い視野と優れた識見を有し、自らの考えを適切に表現できる自立した人材を育成する。
学習成果
人は人と共に生きる。その中から生まれてきた「なかまのきまり」が倫理である。では一体、人間とは何者であろうか。日常の人の在り方や生き方を通して、単なる動物とはちがった、人間らしく生きることの意味や内容を探求する。そのことによって、各人が人間として、主体的に共同存在性を自覚して自律しつつ、さらに創造的行為を成し遂げていくことができるであろう。その原理の探求と実践への手がかりを求めていく学問である。倫理学の基本を学ぶことによって、人間および人間が生きるということについて、知的理解を深めるとともに、人として、また教育者としての教養を高めることを目指す。
テキスト教材
『倫理学入門』(聖徳大学通信教育部)
参考図書
用語集で示した諸事典・辞典類
佐藤俊夫『倫理学』(東京大学出版会)1960
宇都宮芳明・熊野純彦編『倫理学を学ぶ人のために』(世界思想社)1994
加藤尚武『現代倫理学入門』講談社(学術文庫)1997
その他各自で適宜参考書を選んでもよいが、大学の学問として着実平正なものを選ぶことが望ましい。
評価の要点
課題を正確にしっかりと理解してください。教科書のそれらしいところ一部だけを参考にするのではなくて、教科書全体を学習した上で、課
題についてきめ細かく正確に理解してください。教科書や参考書(レポートにおいては、参考書の該当ページまで記してください)の引用・写しだけでなく、自分が理解していることを示した書き方をしてください。また単なる感想文やエッセーにならぬよう、学問的客観的な内容をふくんだレポートや試験答案にしてください。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
レポート課題に合格したのち、科目終了試験を受験し、その評価が60点以上であれば単位の認定となる。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
各種の注意事項や規定は必ず守ってください。文章の書き方として、誤字脱字をしない、推敲・読み直しを必ずする(特にレポートにおいては)などの常識に従ってください。参考文献・引用文献は、原則としてレポートの該当部分に注記の形式をとり、必ず該当ページまで記してください。インターネット文献の場合は、さらにアドレス、ページ開設者名、チェック年月日、かつ該当部分をプリントアウトした資料を、必ず添えてください。
レポート課題
提出数 2第1課題
いずれか1設題を選択
第1設題
インドの思想のうち、仏陀の思想(仏教)について、説明しなさい。
第2設題
中国の思想のうち、孔子の思想(儒教)について、説明しなさい。
第3設題
日本の思想のうち、聖徳太子と親鸞の思想について、説明しなさい。
第4設題
ソクラテスの「無知の知」や「徳福一致」などの思想について、説明しなさい。
第5設題
「プラトンのイデアや四元徳などの思想」あるいは「キリスト教の三元徳などの思想」のうち、どちらか一つを選んで説明しなさい。
第6設題
「デカルトの合理論」か「フランシス・ベーコンの経験論」のうち、どちらか一つを選んで説明しなさい。
第7設題
カントの定言(無条件)命法であらわされる道徳法則の内容を、説明しなさい。
第8設題
カントのアンチノミー(二律背反)のうち、因果の法則と意志の自由の両立の要請について、「自由は道徳法則の存在根拠、道徳法則は自由の認識根拠」という考え方もあわせて、説明しなさい。
第9設題
幸福主義の代表的な思想である、功利主義について、説明しなさい。
第10設題
良心とは何であるかについて、倫理学史上からも説明を加え、さらに良心が誤ることがあるか、正しくない良心というものがありうるのか、について考察しなさい。*考察は、西欧思想における良心の語源や神とのかかわりだけでなく、またたんなる超自我ともちがうところなど、広く深い人間存在の構造の検討から、考察をくわえてください。
第2課題
いずれか1設題を選択
第1設題
習俗と習慣と流行について、それぞれの内容と三者の相互関係、および習俗の性質とその倫理学的問題点を、説明しなさい。
第2設題
集団内部の倫理の問題点について、ベルクソンの「閉じた社会、開いた社会」の考え方を学んで、説明しなさい。*ベルクソン〔フランス1859-1941。『道徳と宗教の二源泉』など〕
第3設題
人間の基本的な行動様式としての礼儀作法について、その起源および性質や機能を説明し、さらにあるべき姿や「真正の道徳」との関係などについて、考察しなさい。*感想文にならないように気をつけてください。また、狭く限定して日本古来の礼法についてだけ述べるものではないことに気をつけてください。
第4設題
社会集団としての家族の特質や諸機能を説明し、さらに現代における家族の諸問題(役割分担の変化や家庭崩壊など)とこれからの家族のあり方について、考察しなさい。
第5設題
個人と社会、個人と国家の関係について、倫理学の視点から考察しなさい。*感想文にならないように気をつけてください。現実と理念とを十分考慮して、広く深い人間存在の構造の検討から、考察してください。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
1、じぶんと他人(日常の人の在り方の中から人間存在の最も基本的な側面を考える) | 人間の在り方の理解 | 第1章p5-10 | |
2、倫理の不変的な面に思いを致す | 普遍的な倫理の理解 | 第2章p11-19 | |
3、習俗に代表される倫理の変化的な面 | 習俗の性質と問題点の理解 | 第3章p20-27 | |
4、礼儀作法(人間の基本的な行動様式としての、広い意味の礼儀作法について考える) | 人間の基本的な行動様式の理解 | 第4章p28-38 | |
5、道徳意識と行為 1.倫理的道徳的な行為や生き方が成り立つのは、道徳意識によってである。 | 道徳意識の理解 | 第5章p39-42 | |
5、道徳意識と行為 2.道徳意識のなかでも、良心は自覚的かつ普遍的であるべき倫理道徳の成立基盤となっているものである。 | 良心の理解 | 第5章p42-46 | |
6、道徳的価値 1.(狭い意味の道徳が「よき行為の実践」にあるとするなら、学問的 な倫理学の最も重要な根本問題は、その行為の根拠となる「よさとは何か」という課題についての理論的な探求にある) |
道徳的価値とは | 第6章p47-50 | |
6、道徳的価値 2(「よさとは幸福である」という考え方) | 幸福主義・功利主義の理解 | 第6章p51-58 | |
6、道徳的価値 3(「道徳法則は定言命法である」という考え方) | カントの道徳法則の理解 | 第6章p58-62 | |
7、社会集団と倫理(日常的具体的な生活倫理について考える1.社会集団と個人 2.家族) | 社会集団としての家族集団の理解 | 第7章p63-70 | |
7、社会集団と倫理(日常的具体的な生活倫理について考える 3.学校 4.職場 5.都市と村落 6.国家と人類愛) | 社会集団の理解 | 第7章p70-84 | |
8、人間・社会・思考(人間観、自然観、社会観、思考法) | 倫理思想の横断的理解 | 第8章p85-98 | |
9、世界の倫理思潮(倫理学史、倫理思想史の一端を学ぶ 1.ギリシャ、キリスト教、理性論と経験論などの西洋の思想) | ギリシャ、キリスト教などの西洋の思想 の理解 |
第9章p99-104 | |
9、世界の倫理思潮(倫理学史、倫理思想史の一端を学ぶ 2.仏教などのインドの思想) | 仏教などのインドの思想の理解 | 第9章p104-106 | |
9、世界の倫理思潮(倫理学史、倫理思想史の一端を学ぶ 3.中国と日本の思想) | 中国と日本の思想の理解 | 第9章p106-112 |