最終更新日:2024年4月5日
U117
比較思想論Ⅱ
「自然」という言葉を掘り下げる単位条件
面接 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
比較思想論Ⅰでは中国古典哲学に絞って学んだが、その中の自然観に焦点を当て、深めていく。
古代ギリシア、アラビア、ローマ、ヨーロッパ、中国、日本における「自然」という語の意味の相互影響と時代における変遷を学び、専門的職業人として必要となる、地域と時代による思想の違いの存在を実感をもって身につけることを目標とする。
①「自然」という語が示す意味について、世界の主要な文化圏での意味を理解し、述べることができる。
②「自然」という語が示す意味について、主要な文化圏内での時代を追った意味の変遷を理解し述べることができる。
③現代日本の「自然」という語が指す意味の範囲について、背景を理解した上で説明することができる。
学習成果
①環境問題の遠因である、人間が自然物より優位に立つ思想について、その発生要因を理解し説明できる。
②語の翻訳の問題を意識し、複数の外国語の単語が単一の言葉で訳されるとき、多様な意味が生まれることを理解し説明できる。
③「自然」という語の語誌について理解し説明できる。
テキスト教材
スクーリング時のテキストについては別途お知らせします。
参考図書
佐藤喜代治編『講座日本語の語彙』6-11(明治書院)1982-83
伊東俊太郎著『作集第9巻 比較文明史』(麗澤大学出版会)2009
伊東俊太郎著『作集第10巻 比較思想』(麗澤大学出版会)2009
村上陽一郎『宇宙像の変遷』(講談社学術文庫)(講談社)1996
村上陽一郎『科学史・科学哲学入門』(講談社学術文庫)(講談社)2021
野家啓一『科学哲学への招待』(ちくま学芸文庫)(筑摩書房)2015
評価の要点
スクーリングにおいて、正確な内容理解をした上で、それを説明できるかを評価する。
評価方法と採点基準
スクーリングで評価する。
・単元ごとの確認課題(50%)、および最終日の確認テスト(50%)において評価する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
・スクーリングにはテキスト(『文明と自然 ―対立から統合へ―』)を持参のこと。参考書は持参しなくていい。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
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はじめに:「自然」の辞書的定義 現代日本の辞書辞典で、「自然」がどのように説明されているかを確認し、講義の終着点を確認する。 |
複数の文献を読み合わせて考えを構築する | 事前に辞典等で「自 然」の意味を見てお くのが望ましい。 | |
自然観の変遷の概要 「6つの革命」それぞれの時期における自然観を確認する |
自然観の大きな流れを理解する | テキスト p.31-47 | |
古代ギリシアにおける「自然」:人間も神も自然だった | ギリシアにおける自然観を理解する | テキスト p.146-154 | |
アラビアにおける「自然」:唯一神の導入、神の被造物としての人間と自然 | アラビアにおける自然観を理解する | テキスト p.155-162 | |
ヨーロッパにおける「自然」:ローマ世界からキリスト教へ | ヨーロッパにおける自然観を理解する | テキスト p.163-167 | |
ヨーロッパにおける「自然」:デカルト、ベーコンの機械論的自然像 | ヨーロッパにおける自然観を理解する | テキスト p.167-178 | |
ヨーロッパにおける「自然」:近現代の自然観へ | ヨーロッパにおける自然観を理解する | テキスト p.178-183 | |
中国における「自然」:老荘、道家、錬金術 | ヨーロッパにおける自然観を理解する | テキスト p.184-197 | |
中国における「自然」:儒家思想 | 中華世界における自然観を理解する | テキスト p.197-204 | |
日本における「自然」:おのずからしかり | 中華世界における自然観を理解する | テキスト p.205-213 | |
日本における「自然」:儒学における意味展開 | 日本における自然観を理解する | テキスト p.213-219 | |
日本における「自然」:翻訳語としての「自然」 | 日本における自然観を理解する | テキスト p.219-226 | |
日本における「自然」:翻訳過程の探求 | 日本における自然観を理解する | テキスト p.227-236 | |
日本における「自然」:森羅万象と自然 | 日本における自然観を理解する | テキスト p.236-242 | |
まとめ:文明交流の果ての「自然」の意味 | これまでの内容を統合し比較できる | テキスト p.243-253 | |
試験 スクーリングの最後に確認試験を行う。 |