最終更新日:2024年2月26日
U107
言語学入門
「ことば」のしくみに触れてみよう単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
コミュニケーション技能の学術的基礎として言語学の諸領域を知り、専門的職業人としての能力を高める一端を担う。
(1)目的
コミュニケーション技能一般のメタ知識として言語学の諸概念を知る。
(2)到達目標
①普段無意識に使っている「ことば」について自覚を促し、その運用の助けにできる。
②講義を受けるためのアカデミック・スキルを活用できる。
学習成果
(1)はなしことば・かきことばで、自分の発話内容を適切なものに訂正する一助にできる。
(2)聞き手を配慮した情報発信を効率的に行う一助にできる。
テキスト教材
大津由紀雄『探検!ことばの世界』(ひつじ書房)2004
参考図書
斎藤純男『言語学入門』(三省堂)2010
斎藤純男『日本語音声学入門改訂版』(三省堂)2006
評価の要点
言語音の成り立ちを十分に理解し、それをIPAで表現できる。非肺気流子音、二重調音などのかなりのトレーニングを要する言語音を除き、発音と聞取で区別でき、日本語音声との異同を説明できる。解釈の違いに対応した樹形図が正しく書ける、外延的意味論に基づき言語表現と出来事の対応関係を正しく評価し簡単な論理式が書ける。言語に対する考え方と外国語教授法の関係を正しく述べることができる。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
教科書の内容を十分理解し、各単元のタスクが行えるか。用語の正確な理解・技能が50%。テスト50%。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
教科書の内容を十分理解し、各単元のタスクが行えるか。レポートと試験の勉強では教科書を十分読み、わからないことは図書館で調べるなどしてください。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
録画・携帯電話の録音機能・YouTubeのいずれかを用いて、バラエティ番組の日本語音声を書き起こし、教科書に基づいて分析しなさい。
第2課題
第1設題
日本語のあいまいさ(多義性)について言語学的な観点から説明し、あいまいさを避ける方法を示しなさい。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
ことばの多様性・記号とことば 世界のさまざまな言語音声。 記号のシステムのひとつとしての特徴。 |
母語である日本語を相対化できる。 | ||
あいまいな文 多義性を引き起こす要因と、その回避の方略。 |
推敲の際に多義性を解消し、誤解を受けない文を書くことができる。 | pp. 8-25 | |
一番長い文 言語の離散的無限性、非有界性。 |
言語の基本的な仕組みを知り、そのうえで解釈に負担をかけない作文ができる。 | pp.26-37 | |
名詞と名詞をくっつける 複合という形態論的プロセスと右主要部の原則。 |
新語の意味解釈を理解することができる。 | pp. 38-43 | |
連濁のはなし 複合というプロセスに伴う「連濁」という音韻プロセスについて。 |
連濁を通して、日本語の分節音の性質を説明できる。 | pp. 44-55 | |
代名詞 代名詞の指示対象を決定する文法の仕組み (とくにダイクシスと束縛原理B)。 |
指示に関する直観的理解を超えて、分かりやすい指示関係を理性的に規制できる。 | pp. 56-61 | |
依頼の疑問文 文で表される意味以上の意味をもたらすしくみ(誤用論)について、特に発話行為論と協調公理。 |
コミュニケーションでの必要な情報提供の方法を知ることができる。 | pp. 62-67 | |
英語の敬語 文法的なシステムとして敬語法を含む日本語や韓国語とは異なる英語の敬語について。 |
敬語の機能を知り、適切に使用できる。 | pp. 68-73 | |
ミラー・イメージ 「X'式型」の非形式的説明。 |
学校文法の「文節」をより実用的に活用できる。 | pp. 82-87 | |
省略 省略に関わる文法的制約。 |
省略に関わる直観を認識し、注意できる。 | pp. 88-99 | |
母音を入れる 日本語の音配列と母音挿入の関係。 |
特に外来語の音の仕組みを知ることができる。 | pp. 100-111 | |
日本語の活用 学校文法での活用の言語学的再考察。 |
ラ抜き言葉、サ入れ言葉、レ足す言葉というよく取り上げられる誤用を深く理解できる。 | pp. 112-135 | |
「自分」 照応形の文法的指示決定(とくに束縛原理A)。 |
作文の一助にできる。 | pp. 136-147 | |
社会言語学:グループによる変異・使用域 | |||
生活に見られる言語現象 | |||
試験 論述式 |