最終更新日:2024年3月12日
U131
近代哲学・思想Ⅱ
私たちが無意識にしている知的活動を知ろう単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
私たちは日常気づかずにいろいろな「知的活動」をしている。台所に出るゴキブリをやっつけるときを考えてほしい。そのつどひっぱたく「カン」を鍛えようとする人もいるだろう。それとは別に、「捕獲装置」を工夫する人もいるだろう。殺すための薬剤を比較する人もいるだろうし、ひょっとすると「ゴキブリを全部殺してよいのかしら」と考え込む人もいるかもしれない。このように、目の前の状況に対して私たちはさまざまな知的活動をおこなう。本科目は、それが4つのパターンに収まることを指摘し、皆さんの知的活動を「高いところから眺める」目を養おうとするものだ。
学習成果
本科目は、人間の知的活動を「生活知」「技術」「科学」「哲学」に分け、それぞれの内容と限界を述べたものである。それゆえ本科目を履修することにより、(1) 日常生活を成り立たせている知的活動の特質と、その限界を知ることができる。(2) ものごとを上手に遂行しようとするのが「技術」という知的活動だ。しかし技術にはさまざまな目標があり、その目標によって技術の評価方法もちがう。技術の諸分野の特質を知ると同時に、その限界および科学との違いを知ることができる。以上の「生活知」と「技術」は、ものごとの遂行を目標とする知的活動なので、これらを遂行知と呼ぶ。これに対し、ものごとを説明する知的活動を説明知と呼べば、そこに含まれるのは「科学」と「哲学むである。(3) 本科目を学習することにより、科学といわれる活動の本質と限界、また哲学との違いを知ることができる。(4) 哲学と言う活動がいかなるものであり、いかなる目標を持つかを知ることができる。
テキスト教材
伊藤笏康 『人間に何が分かるか』(勁草書房)
参考図書
テキストの各章末に参考文献のリストが載せてあるので、参考にしてほしい。
評価の要点
本科目の目標は上に上げた4種類の知的活動の違いをきちんと見分けられるようになることだ。成績の評価もその点をもっとも重視する。また特に科学の記述は大きな部分を占めているので、その部分をどれだけ理解しているかも重視する。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
レポートは、(1) 指定文字数を守っていること、(2) テキストの内容を正確に押さえているかどうか、(3) テキストの丸写しでなく、自分の言葉で論じているかどうかで評価する。また試験については、(1) 生活知と技術は10点を配点し、科学と哲学には20点を配点する。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
教科書の前書きには、学芸の「基礎」と「初歩」の区別が述べられている。そのちがいを「説明知」と「遂行知」の区別(テキスト第1章〜第5章を参照)を使って説明しなさい。
第2課題
第1設題
あなたが英語の先生だったら、英語の冠詞の用法をどのように教えるか。授業計画を書きなさい。生徒の年齢は自由に設定してよい。またテキスト第10章を参考にすること。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
学芸の基礎と初歩のちがいについて学ぶ。またそれらのちがいを区別することの大切さについて学ぶ | 基礎と初歩のちがいを見分ける力 | テキスト前書き | |
2回 哲学には、その目標によって3つの型があることを学ぶ。 | 実用主義、批判哲学、形而上学を区別する | テキスト第3章 | |
生活知の特徴である、局所性・特殊性・断片製がどこから生じるかを学ぶ | 生活知の特性と限界を知る | テキスト第4章 | |
ものごとを遂行できる意味での「遂行知」とものごとを説明できる意味での「説明知」の区別、およびそれぞれの特徴を学ぶ | 遂行知と説明知の関係を知る | テキスト第5章 | |
説明の基本的な構造を知る。説明には省略と変形が必要であり、それによって原理が必要とされることを学ぶ | 説明の基本構造、原理と現実の関係を知る | テキスト第6章・第 7章 | |
説明の普遍性が高まると同時に、説明にとっての原理そのものが重要性を増すことを学ぶ | 科学的説明における、原理の重要性を知る | テキスト第8章・第 9章 | |
説明によって知ることの大切さを見るために、英語の冠詞の用法を調べる | 英語にとって冠詞がなぜ必要かを知る | テキスト第10章 | |
ものごとを上手に遂行する「技術」という知的活動の諸相を学ぶ | 技術の特徴と諸相を知る | テキスト第11章 | |
科学はどのように発展するのか。トマス・クーンの科学革命論を見る | 科学の発展に対する見方を知る | テキスト第13章 | |
科学はどのように世界を説明するのか、またその説明では語れないものは何かを考える | 学的説明の特徴と限界を知る | テキスト第14章 | |
文学でしばしば使われる「虚構」の成り立ちを知る。また科学の実験も虚構とおなじ構造をもつことを学ぶ | 虚構と科学実験のあいだの類似性を知る | テキスト第15章 | |
ものごとがなぜそのようになっていなければいけないか、を説明する活動は科学とはちがう正確の説明を要求することを学ぶ | 形而上学の水平的説明について知る | テキスト第16章 | |
形而上学はどのように批判されてきたかを見る。また形而上学は無用の学問かどうか考える | 形而上学の特徴とそれに対する批判を知る | テキスト第17章 | |
これまでの内容をまとめ、知的活動の分類を試みる | 知的活動を4つに分けて見る | テキスト第18章 | |
生活知、技術、科学、形而上学の関係を1つのモデルにまとめる | 生活知、技術、科学、形而上学の関係を知る | テキスト第19章 | |
試験 |