最終更新日:2024年10月2日
N040/N119
発達心理学Ⅰ/発達心理学
子どもの発達を理解する単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
保育者として必要な子どもの発達についての専門的知識を発達心理学の立場から習得することを目標とする(ディプロマ・ポリシー2)。具体
的には以下の3点である。
1.発達とはどういうことかを理解する。
2.保育の対象である乳幼児期の発達の特徴を理解し、その知識を子どもの行動観察や子どもへのかかわりに生かすことができるようになる。さらに、
生涯発達の中での乳幼児期の位置づけが理解できるようになる。
3.保育に関連のある発達心理学の理論を理解できるようになる。
4.障害のある子どもの発達を理解し、対応について述べることができる。
学習成果
到達目標の1.に対する学習成果は以下のとおりである。
1.発達という概念の意味、発達段階、発達に影響を及ぼす要因、発達の原理などについて述べることができる。
到達目標の2.に対する学習成果は以下のとおりである。
2.保育の対象である乳幼児期の発達の特徴を発達段階ごとに、あるいは認知面、社会性の面等のように領域ごとに述べることができる。
3.子どもの行動を発達的な視点から観察し、述べることができる。
4.乳幼児期以降の各発達段階の特徴を述べることができる。そして、乳幼児期が生涯発達の中で、どのような位置づけにあるかを考え、述べることができる。
到達目標の3.に対する学習成果は以下のとおりである。
5.乳幼児期を中心とした発達心理学の代表的な研究者とその理論や研究を挙げて述べることができる。
到達目標の4.に対する学習成果は以下のとおりである。
6.知的障害、自閉症スペクトラム障害、ADHDといった障害について述べることができ、そうした障害のある子どもへの対応を考えることができる。
テキスト教材
1.相良順子・村田カズ・大熊光穗・小泉左江子 著『保育の心理学[第3版]子どもたちの輝く未来のために』(ナカニシヤ出版)2018
2.聖徳大学特別支援教育研究室 編『改訂3版 一人ひとりのニーズに応える保育と教育』(聖徳大学出版会)2023
参考図書
1.繁多進 監修『新 乳幼児発達心理学-もっと子どもがわかる 好きになる』(福村出版)2010
2.柏木惠子 著『子どもが育つ条件-家族心理学から考える-』岩波新書(岩波書店)2008
3.藤永保 監修『障害児保育』(萌文書林)2012
評価の要点
・レポートについては、課題の意味を理解し、課題の要求するところを的確に捉えた内容であるか、テキストだけでなく参考文献も踏まえてま
とめてあるか、を重視して評価します。
・科目終了試験は論述式です。記述内容が発達心理学の知識に基づいた的確な内容であるかどうかで評価します。
評価方法と採点基準
・レポートについては、課題の意味を理解し、課題の要求するところを的確に捉えた内容であるか、テキスト以外の文献も踏まえてまとめてあ
るか、を重視して評価します。また、文献からの引用がある場合、本文中ならびに文献欄に明記していない場合は減点します。書式・字数が
規定通りでない場合は不合格とします。
・科目終了試験は論述式です。記述内容が発達心理学の知識に基づいた的確な内容であるかどうかで評価します。また、字数不足は不合格とします。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
・テキストを繰り返し読み、参考図書欄にあげたもの以外にも、関連する図書、新聞記事、Webの情報等も参考にしてレポートを作成してください。
レポートは課題の趣旨をしっかり理解し、序論、本論、結論という構成で、論理明快に書くこと。第三者が読んでも理解できるような文章を
心がけてください。
・参考文献から引用する場合は、レポート本文中と文献欄に必ず引用元や引用部分(ページ)を明記すること。Webからの引用の場合も同様
に著者名(分かる場合)、Webページのタイトルとアドレス(URL)、アクセスした日時を明記すること。
・可能であれば実際の子どもの様子を観察できる場や機会を見つけ、観察してみてください。
・他の様々な教科と関連するので、広い視野で学習してください。
レポート課題
提出数 2第1課題
1〜6よりいずれか1設題を選択
第1設題
乳児期、幼児期、児童期という発達段階に区切った場合、それぞれの段階の発達的特徴を説明しなさい。その際、各期の最も重要と思われる発達的特徴をあげて説明に盛り込みなさい。
第2設題
乳児期から児童期にかけての認知の発達について概説しなさい。
第3設題
乳幼児期の言語の発達を豊かにするための方策を、言語発達の過程を踏まえて述べなさい。
第4設題
乳児期から児童期にかけての自我の発達について説明しなさい。その際、第一反抗期の発達的意義に触れること。
第5設題
乳幼児期の情緒の発達について、社会的行動と関連づけながら述べなさい。
第6設題
遺伝要因と環境要因が発達にどのように関与するかの諸説について、保育者・教育者の視点から論じなさい。
第2課題
1〜6よりいずれか1設題を選択
第1設題
動物や人における初期経験がなぜ重要視されるのかについて論じなさい。
第2設題
乳幼児期の遊びの発達について述べ、遊びが人格形成や社会性の発達に果たす役割を論じなさい。
第3設題
青年期の発達的特徴や発達課題について述べなさい。その際、他の発達段階との関連を視野に入れること。
第4設題
ギャングエイジの発達的意義と、現在それが成立しがたいとされている原因について論じなさい。
第5設題
ボウルビィ(Bowlby)の提唱した愛着理論を説明し、愛着形成が発達に及ぼす影響について論じなさい。
第6設題
知的障害と自閉症スペクトラム障害について簡潔に説明し、そうした障害のある幼児が通常の幼稚園や保育所、こども園に通うことで、発達上どのようなことが期待できるか、障害児保育や特別支援教育の在り方も含めて述べなさい。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
発達とはどういうことか: ①心理学における発達の意味を理解する。 ②発達の過程を概観し、発達の個人差を学ぶ。 ③発達を学ぶことと保育実践のつながりを考える。 |
〇発達とはどういうことか | 教科書1 pp.3-16、 pp.117-118 (30分) | |
発達を規定する要因: ①遺伝と環境、成熟と学習の概念を理解する。 ②発達を規定する要因についての心理学的理論を理解する。 ③行動の中に、規定要因がどのような形で表れて くるか考える。 |
〇遺伝要因と環境要因〇輻輳説、環境閾値説、相互作用説 | 教科書1 pp.19-22 (30分) | |
乳児期の発達(1)身体・運動発達: ①胎児期の成長を理解する。 ②乳児期の身体・運動能力の目覚ましい発達を理解する。 |
〇胎児から生後1年までの身体・運動発達 | 教科書1 pp.29-36、 pp.120-125 (30分) | |
乳児期の発達(2)認知発達: ①胎児期の感覚器官の発達を学ぶ。 ②乳児の知覚能力の発達を学ぶ。 ③ピアジェの発達理論をもとに、乳児の認知発達を学ぶ。 |
〇胎児期の五感の発達〇乳児の知覚能力〇感覚運動的知能の段階 | 教科書1 pp.37-45 (30分) | |
乳児期の発達(3)言語発達: ①言語の獲得までの過程(前言語期)におけるコミュニケーションや三項関係の成立について理解する。 ②初語に至るまでの発声の変化を学ぶ。 |
〇共同注意、三項関係〇喃語 | 教科書1 pp.56-58 (30分) | |
乳児期の発達(4)愛着の形成: ①愛着の概念を理解し、ボウルビィの愛着理論を学ぶ。 ②発達における愛着形成の重要性を理解する。 |
〇共鳴動作〇情動調律〇基本的信頼感〇愛着理論 | 教科書1 pp.69-77、 p.125 (30分) | |
幼児期の発達(1)認知の発達: ①幼児のものの見方の特徴を理解する。 ②ピアジェの発達理論をもとに、幼児の認知発達を学ぶ。 |
〇前操作期〇相貌的知覚、保存の概念、自己中心性、アニミズム | 教科書1 pp.42-45、 pp.126-127 (30分) | |
幼児期の発達(2)言語の発達: ①幼児期の話し言葉の発達を理解する。 ②内言・外言の概念を理解し、幼児期の言語の機能の発達を学ぶ。 |
〇 初 語、一 語 発 話(一語文)〇内言と外言 | 教科書1 pp.58-65 (30分) | |
幼児期の発達(3)人間関係と遊びの発達 ①幼児期の人間関係の広がりを理解する。 ②友達(仲間)関係の特徴と発達を学ぶ。 ③心の理論とは何かを知る。 ④ふざけ、いざこざの経験の意義について考える。 ⑤遊びの発達を理解し、友達(仲間)関係の発達との関連を考える。 |
〇友達(仲間)関係の発達〇心の理論〇遊びの発達 | 教科書1 pp.78-95、 pp.126-129 (30分) | |
幼児期の発達(4)情緒の発達と自己の形成: ①乳幼児期の情緒の発達過程を理解する。 ②自分自身への気づき、自己意識の芽生えから確立に至る過程を理解する。 ③健全な自我、自己意識の発達のために何が必要か考える。 |
〇情緒の発達過程〇社会的参照〇自我の芽生えと第一反抗期〇自己統制の発達 | 教科書1 pp.46-54、 pp.126-129 (30分) | |
障害のある幼児の理解: ①知的障害、自閉症スペクトラム障害、ADHDなどの障害を理解する。 ②障害のある幼児の保育、対応について考える。 |
〇知的障害、自閉症スペクトラム障害、ADHD〇 障害のある子どもへの対応 | 教科書2 第4、7、10章 (30分) | |
生涯発達と初期経験: ①発達における初期経験の意味・意義を理解する。 ②初期経験の重要性とともに、ヒトの発達における可塑性について理解する。 |
〇発達における初期経験〇臨界期と敏感期 | 教科書1 pp.19-22 (30分) | |
児童期の発達: ①幼児期から児童期への移行期の特徴を理解する。 ②児童期の認知発達、 自己意識の発達について学ぶ。 ③家庭と学校での支援について学ぶ。 |
〇具体的操作期、形式的操作期〇道徳性の発達 | 教科書1 pp.43-45、 pp.130-134 (30分) | |
青年期の発達: ①青年期初期の身体的特徴を理解する。 ②エリクソンの発達理論をもとにアイデンティティの確立を中心とした青年期の発達課題を理解する。 |
〇発達加速現象〇アイデンティティの確立〇エリクソンの発達段階 | 教科書1 pp.135-138 (30分) | |
成人期・老年期の発達: ①成人期の心身の変化と発達課題を学ぶ。 ②老年期の特性と発達課題を学ぶ。 |
〇成人(中年)期の危機〇サクセスフルエイジング | 教科書1 pp.139-145 (30分) | |
試験 800字以上1000字程度の論述式の試験を行います。2問のうち1問を選んで解答してください(「評価の要点」、「評価方法と採点基準」を参照のこと)。 |