最終更新日:2024年4月10日
T003
異文化理解
単位条件
通信 2単位教員
履修条件
履修条件なし
到達目標
現代は、「二つの文化は決して相まみえることはない」(ラドヤード・キップリング、イギリスの小説家)時代ではなく、自己中心主義を無意識のうちに唱えながらも、相まみえることを望む時代である。異文化理解は、異なる民族や集団がこのように相まみえるために必要不可欠な学問である。したがって、それは単なる知識や教養の量を増やすためにあるのではなく、実践的で倫理的な思考様式・行動様式(存在様態・ハピトゥス)を培うために設けられた、人間観に変化を逼る学問である。
学習成果
教科書として、古田暁監修の『異文化コミュニケーション』を用いる。ほかに、レポート作成時の参考書として、同じく古田暁他編の『異文
化コミュニケーション キーワード』を併用する。
学習内容は、本書が三つの目的(1異文化相互理解に対する積極的な態度の養成と世界的展望を持つ人間観の確立 2異文化との接触に必要
な適応力の養成 3実際的異文化コミュニケーション技能の養成)を達成するために設けた第一章から第十二章までの内容を基本とする。
以上の内容のほかに、異文化理解について更なる深さと広さを求める者は、参考書の欄に掲げるB群の書物を読んでほしい。それらの本には、異文化を生きる他者が「我は思いつつ存る」と言うときに、その「思うこと」と「在ること」について私たちは果たして理解し、説明することができるのか、そのために学問という分野ではどんな枠組みの破壊が行われ、そしてそれに代わってどんな新しい言説が再編成されたかについてのさまざまな考察や理論が紹介されている。
テキスト教材
古田暁 監修『はじめて学ぶ異文化コミュニケーション』(有斐閣)
参考図書
A群
1 古田暁 他 編『異文化コミュニケーション キーワード』[新版](有斐閣)
2 K.S.シタラム『異文化コミュニケーション』(東京創元社)
B群
1 エドワード・W・サイード『オリエンタリズム』(平凡社)
2 G・C・スピヴァック『文化としての他者』(紀伊国屋書店)
3 クリフオード・ギアツ『文化の読み方/書き方』(岩波書店)
4 レイ・チョウ『ディアスポラの知識人』(青土社)
5 トリン・W・ミンハ『女性・ネイティヴ・他者』(岩波書店)
評価の要点
レポートによる評価
1 課題設定における理解の度合い
2 課題展開における論理性
3 記述用語の正確さ
4 教養の広さ 知識の豊かさ
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価する。
レポート課題に合格した後、科目終了試験を受験し、その評価が60点以上であれば単位の認定となる。
レポート課題
提出数 2第1課題
下記から1設題を選んで、具体例と理論を用いて論じなさい。
第1設題
東洋と西洋(オリエンタリズム)
第2設題
カルチャー・ショックと文化的アイデンティティ
第3設題
自文化中心主義と多文化主義(多文化共存主義)
第4設題
言語メッセージと非言語メッセージ(言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション)
第5設題
自己概念とコミュニケーション行動
第2課題
下記から1設題を選んで、具体例と理論を用いて論じなさい。
第1設題
自身の価値に基づいて異文化の価値、信条、習慣を判断してはならない。
第2設題
受け手との相互作用のための準備として、受け手の言語を真剣に学ばなければならない。
第3設題
ある民族集団が別の民族集団よりも優れているとか劣っているとかいうようなことを、証明するような科学的証拠はない。
第4設題
独特の需要と資源に基づいて作り上げられてきた、異民族の食習慣や服飾習慣を尊重しなければならない。
第5設題
宗教の異なる人と接する際には、その宗教を理解し尊重しなければならない。