最終更新日:2024年6月16日
U083
日本近現代文学講読Ⅰ
戦前の文学を読む単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
文学を読むということは、高校の国語で勉強したように、単に書いてあることをなぞり、「登場人物の感情の移り変わり」などといったものを追っていくものではありません。特に近代の文学では、外国の文学や哲学、あるいは美術や音楽といった、日本文学ではない分野の教養が求められます。そして、文学が近代の複雑な社会を生きる人間を描くものであるとするならば、それを読む際には歴史や政治、経済といった社会的な知識も必要です。近代文学の講義を受けてみれば、今まで受けてきた高校などの「国語」の授業と文学を読むこととは根本的に異なることがわかるでしょう。
此の時間では何人かの作家や詩人を取り上げて、そのサワリを味わいつつ、文学に向き合うとはどういうことか考えていきたいと思っています。
学習成果
一般的に言って文学を読むためには色々な知識と知性が必要です。「学習の目標」の項にもありますが、外国の文学や哲学、美術や音楽、そして歴史や政治、経済といった分野の知識まで動員しなければなりません。もちろん、ある文学作品に感動したり、あるいはその作品を人生の師のようにしてそこから教訓を得たりすることもあるでしょう。しかし、それでは個人的な感想の域から出ることがありません。ここで言う「文学を読む」とは、人にそのような感動を与える作品をもっと普遍的に分析することです。
この時間では、大正時代から終戦までの時期に書かれた近代の日本文学を取り扱います。
テキスト教材
佐藤泰正ら『現代の日本文学-二葉亭から大江まで-』(明治書院)
参考図書
『新集 近代の小説』(株式会社おうふう)
加藤周一『日本文学史序説(下)』、『日本文学史序説(補講)』(ちくま学芸文庫)
※『大正文学史』『昭和文学史』(いずれも筑摩叢書。目下絶版ですが、手に入るようならとても勉強になります。)
『近代文学大事典』
評価の要点
主題設定、調査の緻密さ、読解の独自性、意見の客観性などで判定します。
自ら読み、よくよく考えること。サイトの引き写しは原則として評価の対象にならないと思って下さい。参考書をそのまま引用する際は、必ず引用であることを形式として明らかにし、誰の何という本から引用したか明示すること。それ以外は、必ず自分で文献を一度咀嚼し、その要点のみを記述すること。そうすれば、決してコピペにはならない筈です。自分の目で文学の妙味を味わうまでいければしめたものです。
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価します。
レポート課題に合格した後、科目終了試験を受験し、その評価が60点以上であれば単位の認定となる。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
「評価の要点」にもありますが、第一に文学を読むこと。そして、そこに出てくる事柄について調べること。その作家について、どういう生涯を送ったか、どういう思潮的傾向を閲しているか調査すること。その上で、何か心惹かれること、興味が湧くこと、或いは疑問に思うことなどを見つけ出すこと。ちゃんと調べれば、何かしら必ずあるはずです。それがレポートの主題になります。
インターネットのサイトは便利ですが、間違いがゴロゴロしています。そんなものを信用してはいけません。必ず図書館に行き、本に当たること。それらの文献を調べ、自分の中で咀嚼すること。そして、そこに自分の見解を付加すること。そうすれば、絶対にコピペになるはずがありません。もし何かのサイトの文章がそのまま断りなしに引用されているのなら、それは以上の手順のどこかを手抜きしたものです。このようにすれば、よい学習ができるでしょう。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
教科書所収の作品のうち、大正時代に書かれた作品を一つ選び、主題を設定して論じなさい。その際、教科書に収録されている別の文学者またはその作品、及び教科書に収録されていない文学者またはその作品の二項目について必ず言及すること。
第2課題
第1設題
教科書所収の作品のうち、昭和元年から昭和20年までに書かれた作品を一つ選び、主題を設定して論じなさい。その際、教科書に収録されている別の文学者またはその作品、及び教科書に収録されていない文学者またはその作品の二項目について必ず言及すること。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
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明治の終わりと大正の始まり | |||
漱石の死と芥川龍之介の登場 | |||
小説の神様―志賀直哉 | |||
第一次世界大戦と日本の社会と文学 | |||
大衆小説の勃興 | |||
或る女―有島武郎の生涯 | |||
鷗外の死、関東大震災と文学 | |||
プロレタリア文学の勃興 | |||
新感覚派の登場―横光利一 | |||
大正から昭和へ | |||
老大家の活躍 | |||
小林秀雄 | |||
太宰治の登場 | |||
堀辰雄をめぐって | |||
戦争と文学 | |||
試験 |