最終更新日:2024年4月5日
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ストレス心理学Ⅱ
ストレスについての理解を深める単位条件
面接 2単位教員
履修条件
「ストレス心理学I」とあわせて履修し、レポート2課題を提出済であること。
到達目標
この科目は、心理学科のディプロマポリシーの教育目標「心の働きと多様性を学び、人間を複眼的に見ることによって、広い視野を育成する」、学修成果「心理学の基礎領域を幅広く学び、人の心の仕組みを科学的に捉えることができる」と関連し、ストレス研究の歴史的な経緯、ラザラスの心理学的ストレスモデル、ストレス過程に影響するソーシャル・スキルおよびソーシャル・サポートについて理解すること、職場におけるストレスの諸要因について理解し心理学的な介入について検討すること、ストレスの心理学的な測定方法を理解すること、を目標とする。
学習成果
(1) これまでのストレス研究を概観でき、心理学史の流れに沿って説明することができる。
(2) ラザラスの心理学的ストレスモデルを説明することができ、自らの生活体験において応用できる。
(3) ソーシャル・スキルおよびソーシャル・サポートの概念を説明することができ、自らの生活体験において応用できる。
(4) 職場におけるストレスの諸要因について説明でき、これらを踏まえた心理学的な介入方法を提案できる。
(5) ストレスの心理学的な測定方法の理解を踏まえたうえで、この領域の研究論文を正しく読み解き、解釈することができる。
テキスト教材
スクーリング時のテキストについては別途お知らせします。
参考図書
R・S・ラザルス、S・フォルクマン(共)本明・春木・織田監訳『ストレスの心理学ー認知的評価と対処の研究』(実務教育出版)
(ISBN978-4-7889-6070-1)
谷口弘一・福岡欣治編『対人関係と適応の心理学』(北大路書房)(ISBN4-7628-2527-1)
評価の要点
スクーリング時の試験によって評価する。
評価方法と採点基準
スクーリングにて評価する。
スクーリング時の試験は、職場におけるストレスの諸要因について理解および心理学的な介入について検討する力を評価する。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
本科目は「ストレス心理学I」で学習した内容をスクーリングにより復習し、さらに理解を深めようとするものである。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
|
ストレス研究の流れ(1) セリエの汎適応症候群を中心に、生理学的・疫学的ストレスモデルを学習する。 |
生理学・疫学ではストレスがどのように研究されてきたかを説明できる。 | 教科書p.1-12を精 読する。90分 | |
ストレス研究の流れ(2) ラザラスが心理学的ストレスモデルに至る前の研究として、パソビッツによる一連の研究やラザラスによる代理ストレス研究を学習する。 |
生理学・疫学と心理学のストレスに対する視点の違いを説明できる。 | 教科書p.13-28を 精読する。90分 | |
ストレス研究の流れ(3) ラザラスが心理学的ストレスモデルを提唱する前の研究スタイルのうち、ストレスを刺激として定義する入力型アプローチとストレスを結果ないし反応として定義する出力型アプローチについて学習する。 |
入力型アプローチ、出力型アプローチのそれぞれの問題点を指摘できる。 | 教科書p.31-34を 精読する。90分 | |
ラザラスの心理学的ストレスモデル(1) ラザラスの心理学的ストレスモデルの全体を俯瞰したうえで、潜在的ストレッサーの概念について学習する。ストレス・イベント尺度を体験する。 |
ラザラスの心理学的ストレスモデルの概要と特徴を説明できる。 | 教科書p.34-37お よびp.107-112を 精読する。90分 | |
ラザラスの心理学的ストレスモデル(2) 脅威性の認知から対処可能性の認知に至る認知的評定過程について学習する。 |
ストレス過程の中の認知的評定過程の位置づけを説明できる。 | 教科書p.37-42を 精読する。90分 | |
ラザラスの心理学的ストレスモデル(3) ストレス・コーピングの分類について学習する。ストレス・コーピング尺度を体験する。 |
ストレス・コーピングの分類の種類を知り、相互の関係を説明できる。 | 教科書p.42-48お よびp.116-121を 精読する。90分 | |
ラザラスの心理学的ストレスモデル(4) ストレス・コーピング方略の組み合わせおよびコストについて学習する。パス解析及びパス図の見方について学習する。 |
コーピングの効果とコストとの関連をパス図を使って説明できる。 | 教科書p.48-54を 精読する。90分 | |
ラザラスの心理学的ストレスモデル(5) ストレス反応が生じる仕組みについてについて、生理的反応、心理的反応、行動的反応の諸側面からそれらに影響する諸要因とともに学習する。ストレス反応尺度を体験する。 |
ストレス反応を測定し、解釈することができる。 | 教科書p.59、 p.66-68、p.102- 121、p.123-130、 p.187-190を精読 する。90分 | |
ソーシャル・スキル ソーシャル・スキルの定義、ソーシャル・スキルの構成要素について学習し、ソーシャル・スキルを高める方法(ソーシャル・スキル・トレーニング)について学習する。 |
ソーシャル・スキルの構成要素を列挙し、ソーシャル・スキル・トレーニングについて説明することができる。 | 教科書p.59-65を 精読する。90分 | |
ソーシャル・サポート 心理学的ストレスモデルのプロセスにおけるソーシャル・サポートの影響について学習する。 |
ソーシャル・サポートとは何かについて説明でき、ストレスへの直接効果と緩衝効果を説明することができる。 | 教科書p.74-82を 精読する。90分 | |
職場と心理学的ストレス(1) 職業性ストレスモデルについて、その研究史とともに学習する。 |
NIOSH職業性ストレスモデルについて説明することができる。 | 教科書p.176-187 を精読する。90分 | |
職場と心理学的ストレス(2) 職務満足感と職業性ストレスとの関連について学習する。 |
職務満足感と職業性ストレスとの関連について説明すること ができる。 |
教科書p.84-94を 精読する。90分 | |
職場と心理学的ストレス(3) 職業性ストレスへの心理学的な介入について学習し、具体的な介入方法を検討する。 |
職業性ストレスへの心理学的な介入について提案することができる。 | 教科書p.190-192 を精読する。90分 | |
ストレスと心身症 心身症の定義について学習し、心身症に対する心理学的なアプローチについて検討する。 |
心身症の定義を正しく説明することができる。 | 教科書p.124-135 を精読する。90分 | |
心理学的ストレスの測定 心理尺度を用いた心理学的ストレスの測定法を学習し、尺度の信頼性と妥当性について復習する。 |
目的に応じた測定尺度を使用し、心理学的ストレスを測定で きる。 |
教科書p.97-121を 精読する。90分 | |
試験 スクーリング時に学習内容の理解を踏まえて、自らの生活体験へ応用する力を評価するための試験を実施する。 |