最終更新日:2024年3月11日

1年次入学生:2年 3年次編入学生:3年 短期大学部:-
文学部 文学科

U080

日本古典文学の基礎Ⅰ

堤中納言物語を読む

単位条件

通信 1単位

教員

諸井 彩子

履修条件

なし

到達目標

(1)『堤中納言物語』の短編「このついで」「虫めづる姫君」「ほどほどの懸想」「逢坂越えぬ権中納言」「貝合」「思はぬ方にとまりする少将」を、古典文法のテキストや辞書を用いながら読み進めることができる。
(2)物語内容を読み解くことで、古典常識を身につけ、作品の書かれた背景を理解することができる。
これら二つの目標に到達することにより、日本古典文学に関する知識・技能を体系的に学び、理論と実践を結びつけて主体的に課題を解決する力を身につけることができる。

学習成果

(1)古典文法を使って物語を読み解くことができる。
(2)古語辞典を引き、本文の内容に合った意味を選ぶことができる。
(3)和歌の修辞表現を理解できる。
(4)古典常識を身につけることができる。

テキスト教材

『堤中納言物語』(岩波文庫)

参考図書

古典文法のテキスト(高校時代に使っていたものなどで可)、古語辞典(電子辞書可)
『堤中納言物語』(講談社学術文庫)
『堤中納言物語』(角川ソフィア文庫)
『新編日本古典文学全集 17』(小学館)『和歌のルール』(笠間書院)

評価の要点

レポート合格後の科目終了試験で評価する。
本文を現代語訳した上で、内容や表現まで理解できているかを確認する。
レポートでは引用文献を正しく挙げているかも重視する。他文献の盗用や安易なコピー&ペーストしたもの、生成系AIを利用したものは評価の対象としない。

評価方法と採点基準

レポート評価:文法的説明と現代語訳ができているか、引用文献の書名・著者名が適切に示されているかを重視する。
科目終了試験:本文の一節を現代語訳した上で、物語内容や表現についても理解しているか確認する。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

本文を、文法のテキストや辞書を用いて自分の力で現代語訳しながら、学習を進めていってほしい。

レポート課題

提出数 1

第1課題

横書きパソコン印字可Web提出可
[2000]

第1設題

次のいずれかを選択せよ。
一、「このついで」「虫めづる姫君」「ほどほどの懸想」「逢坂越えぬ権中納言」「貝合」「思はぬ方にとまりする少将」のいずれかを選び、

(1) 作品中の和歌一首を選び、文法的説明と現代語訳を加えた上で、その和歌に用いられている修辞について過不足なく説明せよ。(したがって、修辞が用いられている和歌を選ぶこと)
(2) 選んだ作品の、短編としてのおもしろさはどこにあると考えるか、本文とその現代語訳を適宜挙げながら、自分の考えを述べよ。
参考文献があれば必ず挙げること。盗用や安易なコピー&ペーストは認めない。
この2つについてそれぞれ答えよ。

二、「 このついで」「ほどほどの懸想」「逢坂越えぬ権中納言」のいずれかを選び、構成の巧みさについて、本文とその現代語訳を適宜挙げながら、自分の考えを述べよ。参考文献があれば必ず挙げること。盗用や安易なコピー&ペーストは認めない。

三、「 虫めづる姫君」「ほどほどの懸想」「貝合」に登場する姫君(複数でもよい)をとりあげ、どのような人物として設定され、どのような魅力があると考えられるか、本文とその現代語訳を適宜挙げながら、自分の考えを述べよ。参考文献があれば必ず挙げること。盗用や安易なコピー&ペーストは認めない。

四、「 このついで」「虫めづる姫君」「ほどほどの懸想」「逢坂越えぬ権中納言」「貝合」「思はぬ方にとまりする少将」のいずれかを選び、この後の物語を創作せよ。ただし現代語でよい。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
「このついで」を読む1
学習範囲を現代語訳し、「子だにかく...」の和歌の修辞を理解する。
和歌の修辞が解できる。 P21L1 ~P23L14
「このついで」を読む2
学習範囲を現代語訳し、「いとふ身は...」の和歌の修辞を理解する。結末部分「上わたらせ給ふ~」が意味することは何か、冒頭部との対応を踏まえて考察する。
和歌の修辞が解できる。 P24L1~P25L7
「虫めづる姫君」を読む1
学習範囲を現代語訳し、姫君の性格や仕える人々の反応を読み取る。
登場人物を理解できる。 P31L1~P35L11
「虫めづる姫君」を読む2
学習範囲を現代語訳し、貴公子とのやりとりを読み取る。
物語展開を理解できる。 P35L12 ~P39L13
「虫めづる姫君」を読む3
学習範囲を現代語訳し、貴公子とのやりとりを読み取る。
物語展開を理解できる。 P39L14 ~P44L11
「ほどほどの懸想」を読む1
学習範囲を現代語訳し、和歌二首の修辞を理解する。
P48L10「うせ給ひにし」の「うせ(うす)」の意味を辞書で調べる。
基本古語を理解できる。 P47L1 ~P50L6
「ほどほどの懸想」を読む2
学習範囲を現代語訳し、「したにのみ...」の和歌に用いられる修辞を指摘する。「ほどほどの懸想」という題名の意味するところを読み取る。
和歌の修辞を理解できる。 P50L7 ~P53L3
「逢坂越えぬ権中納言」を読む1
学習範囲を現代語訳し、登場人物の人間関係を読み取る。
物語展開を理解できる。 P57L1 ~P60L6
「逢坂越えぬ権中納言」を読む2
学習範囲を現代語訳し、根合と管弦の遊びの様子を読み取る。
物語展開を理解できる。 P60L7 ~P65L1
「逢坂越えぬ権中納言」を読む3
学習範囲を現代語訳し、姫君との関係を読み取る。
物語展開を理解できる。 P65L2 ~P69L7
「貝合」を読む1
学習範囲を現代語訳し、女童が騒いでいた理由を読み取る。
P75L12「うちとけ(うちとく)」の意味を辞書で調べる。
物語展開を理解できる。 P73L1 ~P77L5
「貝合」を読む2
学習範囲を現代語訳し、女童たちが仕える姫君と上の御方の姫君との姿かたちや性格の違いを読み取る。
登場人物について理解できる。 P77L6 ~P83L4
「思はぬ方にとまりする少将」を読む1
登場人物の人間関係を読み取る。
登場人物について理解できる。 P87L1 ~P93L3
「思はぬ方にとまりする少将」を読む 姉妹に起こったできごとを読み取る。 物語展開が理解できる。 P93L4 ~P99L7
『堤中納言物語』のまとめ 巻末の解説を読み、文学史的な知識と、内容のおもしろさについて理解する。 文学史的評価を理解できる。 テキスト巻末の解説
試験
授業で調べた内容をふまえ、本文の現代語訳、和歌の技法の指摘、内容や題の関係について説明できるようにすること。