最終更新日:2024年4月5日

1年次入学生:3年 3年次編入学生:3年 短期大学部:-
児童学部 児童学科
心理・福祉学部 社会福祉学科

C013

発達心理学Ⅰ

子どもの発達にかかわる心理学的基礎を学ぶ

単位条件

通信 1単位 面接 1単位

教員

村田 カズ

履修条件

なし

到達目標

人間の生涯発達を見通して子どもの発達をとらえることができるようになる。また保育や教育の問題を発達心理学の視点からとらえ,支援者としての心構えを身につけることができることを目標とする。

学習成果

人間の発達全般や発達の個人差の考え方に関する基礎的知識が身についている。胎児期から老年期までの生涯発達を見通して子どもの発達をとらえることができる。乳幼児期から児童期にかけての子どもの認知の発達,親子関係の発達,遊びの発達,ことばの発達,社会性の発達を理解できる。保育や教育の問題を発達心理学の視点からとらえ,説明することができる。支援者としての心構えを身につけ,問題を多面的にとらえて解決しようとすることができる。

テキスト教材

相良順子・田村カズ・大熊光穂・小泉左江子著『保育の心理学 子どもたちの輝く未来のために 第3版』(ナカニシヤ出版)2018

参考図書

繁多進監修 向井久美子・石井正子編著『新 乳幼児発達心理学』(福村出版)2010

評価の要点

客観式課題により発達心理学Iの基礎的なことがらを理解できているかを評価します。全10問から構成され,それぞれ4項目のなかから不適当と思われるものを1つ選び出す問題です。保育者・教育者として知っておきたい基礎的な内容について幅広く出題します。
スクーリング後の筆記試験では,スクーリングで学習した内容から出題します。

評価方法と採点基準

レポート・スクーリング両方が合格後、総合的に評価します。
レポートは,客観的評価により,6割以上の正答があれば合格とします。スクーリングは,ロールプレイや討論を通した体験や気づきを大事にしていますので,出席も重視します。筆記試験では,基礎的な内容を理解しているかどうかと,支援者としての態度や考え方を評価します。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

レポ-トの提出にあたっては、テキストを繰り返し読み、わかりにくいところは上に挙げたテキストや参考書以外でも構いませんので,図書館で調べるなどの自主学習を行ってください。同じ内容について違った角度から書かれた本を読むことは理解を深めるのに役立ちます。テキストを読むときは,なるべく実際の子どもの姿と結び付けながら理解するようにしましょう。

レポート課題

提出数 1

第1課題

⚠通信1単位/スクーリング1単位

解答用紙あり

第1設題

問題A〜問題Jについて,それぞれ④項目のなかから不適当と思われるものを一つ選びなさい。

問題A つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① ホイジンガは人間を「ホモ・ルーデンス」と呼び,遊びとは自由な行為であると述べた。
② パーテンは,同じ遊びをしているが子ども同士のかかわりはない遊び方を並行遊びと呼んだ。
③ シュテルンは,ガンやカモなどの鳥類が孵化した後にはじめて出会った動く対象を追う行動がみられることを発見したが,これは「インプリンティング」「刻印づけ」と呼ばれる。
④ ピアジェは,情報を構造化して認識するための枠組みをシェマと呼び,人間は,シェマと外界とのズレを,同化と調節を繰り返すことで安定した構造にしようとするとし,これを均衡化と呼んだ。

問題B つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① 乳児が目の前にあるものに手を伸ばしてとることができるようになるためには,「見る」視覚の発達と「取る」運動能力,さらには「うまくつかむ」微細運動能力の発達が関係する。
② 「原始反射」は,うまれてすぐの赤ちゃんにもみられるが,大脳皮質が発達してくる生後6ヵ月頃までには消失する。
③ 胎児期には外界の音をあまり認識できないが,出生後急速に聴覚が発達し,生後③か月ごろには母親の声と他者の声とを聞き分けることができるまでに成長する。
④ 粗大運動の発達には順序があり,頭部から手足へ,中心から周辺部へ,と発達する。

問題C つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① 思春期にあらわれる第一次反抗期は,自我の芽生えであり,子どもが大人へと成長していくうえで重要な意味を持っている。
② ボウルビイはある特定の対象とのあいだに形成される情緒的な絆のことを愛着(アタッチメント)と名付け,4つの発達段階を示した。
③ 愛着形成に影響を与える要因として,子どもが生まれもっている気質のほか,養育者が子どもの状態を的確にとらえて応答的にかかわる力をどれだけ持っているか,さらに母子をとりまく環境が安定しているかどうかがあげられる。
④ ボウルビイは,愛着対象との関係性が子どものなかに内在化して内的ワーキングモデルが形成され,子どもはこのモデルをもとにその後の対人関係を解釈するとした。

問題D つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① ふり遊びやごっこ遊びには,表象や象徴機能といった認知発達がかかわっており,表象というイメージ力によって,対象が目の前になくてもイメージすることが可能になる。
② 人が何をしたいと考えているのか,何を知っていて,何を信じているのか,といった人の心についての理解を心の理論と呼ぶが,4歳頃から理解ができる子どもが増えてくると言われている。
③ 女性には先天的に子育て本能である母性が備わっており,一般的に妊娠・出産を機に機能しはじめると考えられているが,児童虐待の増加にみられるように,現代の日本では母性がうまく機能しない母親が増えていることが問題になっている。
④ 心の理論を獲得しているかどうかを調べる方法として,「誤った信念課題」がある。

問題E つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① 学習障害は,「全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである」と定義され,知的な遅れはないのに読み書きが困難なものはディスレキシアと呼ばれている。
② 発達障害の子どもたちは,失敗経験や叱られる経験が繰り返されることで,自尊感情や自己効力感が低下し,社会生活への不適応という二次障害をひきおこしやすいので注意が必要である。
③ S-M社会生活能力検査は,社会生活に必要な能力を測る検査で,身辺自立,移動,作業,意志交換,集団参加,自己統制に関する項目について子どもの日常行動をよく知っている大人が記入して検査する。
④ 知能検査の唯一の目的は障害の有無を判定したり診断することである。

問題F つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① 発達研究の方法には縦断的研究と横断的研究があり,縦断的研究は同じ人たちを長期にわたって追跡し,観察・測定するもので,横断的研究は,同時期に異なる年齢集団の人たちを観察・測定するものである。
② 米国の小児医学者ゲゼルは,一卵性双生児を対象に階段歩行訓練の実験を行い,遺伝的要因が発達を規定すると主張した。
③ 心理学における発達とは,受精から死に至るまでを指し,心身や行動が量的,質的に増大して右肩上がりに変化していく過程をさす。
④ エリクソンは,フロイトの精神分析理論を心理社会的に発展させた発達理論を提唱し,人生を8つの段階に分け,それぞれにおいて獲得すべき課題を挙げた。

問題G つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① 児童相談所における虐待相談対応件数は年々増加しており,身体的虐待,ネグレクト,心理的虐待,性的虐待の④つの虐待に分類される。
② 虐待を引き起こす危険因子として,虐待を生じやすい養育者の傾向,育てにくい子ども,家族の問題などがあり,これらが複数存在すると,虐待を引き起こす危険が高まる。
③ 虐待を受けてきた子どもが反抗的である場合,子どもの反抗的な態度が虐待の原因になったと考えられるため,厳しく指導することが大切である。
④ オペラント条件付けの考え方に基づけば,問題行動に対して罰を与えればその行動は減少すると考えられるが,罰には,効果とともに副作用もあるので,与え方には注意を要する。

問題H つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① ①歳前のことばを話さない子どもでも,表情,視線,音声,身ぶりなどのさまざまな方法で情報を発信し,コミュニケーションしている。
② 指さしは二項関係の成立を示す行動の一つである。
③ 読解力に影響を与える要因として語彙の豊富さが指摘されている。
④ 保存の概念が成立するためには,可逆性の概念,相補性の概念,同一性の概念を獲得しなければならない。

問題I つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① 発達障害のある子の療育において,発達論的アプローチのベースになっている考えの一つに,ベイツの発達の最近接領域理論がある。
② 応用行動分析は,療育などの現実の問題の解決に行動理論の考え方を利用する療育プログラムである。
③ インリアル・アプローチはコミュニケーション・言語の遅れに対する療育法の一つで,子どもとの自由な遊びの中でミラリング,パラレルトーク,エキスパンション,リフレクティングなどの技法を使って指導が行われ,保育原理とも一致することが多い方法である。
④ 発達障害,特に自閉傾向を持つ子どもの療育においては,環境面への配慮が有効で,独特な認知スタイルに配慮した支援が行われている。

問題J つぎの①〜④の記述の中から,不適当と思われるものを一つ選びなさい。
① 子どもが大人の行動パターンを観察して,その行動パターンを取り入れるような学習の仕方を,バンデューラはモデリングと呼んだ。
② 内発的に動機づけられている活動に外的な報酬を与えると,内発的な動機づけが低下することを,機能的自律性という。
③ ピアジェは,道徳性の本質は規則に対する尊敬にあると考え,子どものルールに対する尊敬の仕方が,大人の拘束による他律的な一方的尊敬から,仲間との協同による自律的な相互的尊敬へと変化することを明らかにした。
④ コールバーグは道徳的判断基準が発達とともに質的に変化するとして,道徳性の発達段階を提起した。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
発達心理学入門
発達のとらえ方やしくみを学びます。
発達の定義,発達のしくみ pp3-12 予習・復習各1時間
生涯発達の特徴
ライフサイクル理論を学びます。
発達課題 pp117-119 予習・復習各1時間
運動機能の発達
運動機能の発達を学びます。
運動発達 pp29-36 予習・復習各1時間
認知の発達
ピアジェの認知発達理論を学びます。
認知発達理論,子どもの思考の特徴 pp37-45 pp99-113 予習・復習各1時間
自我の発達
自己意識,自我の発達を学びます。
自己意識,反抗期 pp46-55 予習・復習各1時間
親子関係の発達
親子関係がどのように形成されるのかを学びます。
愛着理論 pp69-77 予習・復習各1時間
遊びの発達
子どもにとっての遊びの意義を学びます。
遊びの意義,遊びの機能 pp83-92 予習・復習各1時間
ことばの発達1
生後一年間のコミュニケーションの発達を学びます。
親子のコミュニケーション pp56-63 予習・復習各1時間
ことばの発達2
1歳以降のことばの発達を学びます。
ことばの発達過程 pp56-63 予習・復習各1時間
社会性の発達
社会化,道徳的行動について学びます。
道徳性の発達,社会化 pp78-82 予習・復習各1時間
保育と発達支援1
乳児期・幼児期の発達的特徴と発達課題について、保育の視点から考えます。
乳幼児期の発達的特徴と保育のあり方 スクーリング 予習・復習各1時間
保育と発達支援2
子どもの意欲を引き出し、育てる保育とは?
ビデオ「保育を見る目」を参考にディスカションします。
子どもの意欲を高める保育 スクーリング 予習・復習各1時間
保育と発達支援3
子どもの発達を促す保育環境とは?
褒めること叱ること、保育者の影響力や子どもとの相互関係等について考えます。
子どもの発達支援と保育 スクーリング 予習・復習各1時間
親支援1
子育ての現状と支援のあり方を考えます。
子育て支援 カウンセリングマインド スクーリング 予習・復習各1時間
親支援2
事例を分析し、親との関わり、発達支援について考えます。
グループディスカッションとクラスディスカッション
子育て支援
親との関わり
スクーリング 予習・復習各1時間
試験
スクーリング内容に関する試験を実施。基礎的知識を理解できているかどうかを問う試験です。