最終更新日:2024年12月6日

1年次入学生:3年 3年次編入学生:3年 短期大学部:-
心理・福祉学部 共通
心理・福祉学部 心理学科
心理・福祉学部 社会福祉学科

L003

生命倫理

命に関わる問題の倫理的ルールを考えよう

単位条件

通信 4単位

教員

宮川 三平

履修条件

なし

到達目標

20世紀から今日まで科学技術や医学が飛躍的に進歩した結果、命に関して「量的」延命という恩恵を受けているが、一方自分らしさや命の「質」が軽んじられる世の中となっている。生命倫理を学ぶことにより、身近な生死に関する問題を自分の問題として解決できるようになることを目標とする。

学習成果

○死を見つめる心
つぎの各事項について今日の社会における考え方と対策のあり方を理解し、あるべき最善の方策を考える。
①人間にとっての死
②日本のがん告知
③アメリカのがん告知
④日本のインフォームド・コンセント
⑤アメリカのインフォームド・コンセント
⑥病院での死
⑦ホスピスケア
⑧在宅死
⑨安楽死
⑩尊厳死
⑪アメリカのカレン事件
⑫脳死
⑬植物人間
⑭臓器移植
⑮プラグマティズム

○生を巡る選択
①人工授精
②体外受精
③代理出産・代理母
④障害児の生命権
⑤死と宗教
⑥東洋の死生観
⑦釈迦の一生
⑧日本の仏教
⑨日本の神道
⑩ユダヤ教とキリスト教
⑪イエスの生涯
⑫隣人愛
⑬宗教と科学
⑭iPS細胞
⑮ボランティアと奉仕の精神

テキスト教材

小松奈美子『医療倫理の扉-生と死をめぐって』(北樹出版)

参考図書

小松奈美子『生命倫理の扉』(北樹出版)
E.キューブラ=ロス『死ぬ瞬間』(読売新聞社)
A.デーケン他『新しい生命倫理を求めて』(北樹出版)

評価の要点

・レポート評価の要点...テキストを中心に、課題に適した図書を少なくとも1冊選び新聞やテレビの中で取り上げられている現実のニュースなども素材として、自分の考えを述べながら、書くこと。
・試験の評価の要点......論述方式であるため出来るだけ的確にまとめて書くこと。また相手にその「課題」を「なんとかして納得してもらう」という意欲を持って書いて欲しい。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価する。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

学習方法はテキストをまず要約して、内容を自分のものとすること。さらに日常生活の中でいつも新聞やニュースで「生や死」かかわる問題を拾うよう心がけること。
レポートを書く折、インターネット上の記述をそのまま貼り付けたり、文献の引用を多用しないこと。また、上記テキストのみでなく、必ず関連の書物を1冊以上読んでまとめること。

レポート課題

提出数 4

第1課題

いずれか1設題を選択しなさい。

横書きパソコン印字可Web提出可
[1600]

第1設題

日本とアメリカのインフォームド・コンセントの特色とその違いを、国民性との関わりで述べなさい。

第2設題

ホスピスの歴史と特色を述べなさい。

第2課題

いずれか1設題を選択しなさい。

横書きパソコン印字可Web提出可
[1600]

第1設題

「病院で死ぬこと」に関連して、今日の日本の医療の問題点を述べなさい。

第2設題

安楽死と尊厳死の違いを述べなさい。

第3課題

いずれか1設題を選択しなさい。

横書きパソコン印字可Web提出可
[1600]

第1設題

臓器移植と脳死の関連と、そこで問題になっていることを述べなさい。

第2設題

不治の病と言われた時の患者・家族のそれぞれの「悲嘆のプロセス」を述べなさい。

第4課題

横書きパソコン印字可Web提出可
[1600]

第1設題

iPS細胞とは何か。その利点、問題点を述べなさい。

備考・補足

← 表が横スクロールします →

授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
人間にとっての死:死とは何か
動物の中で、唯一死を意識
細胞・遺伝子 サーカディアン・リズム メメント・モリ (死を忘れるな)
日本のがん告知
「告知せず」の選択が多かったが徐々に変化
1995年の患者側敗訴 昭和59年7月 「癌告知せず」
アメリカのがん告知
1970年代にはがん告知が定着
がん告知の理論的根拠 がん患者の権利章典
日本のインフォームドコンセント
知らされたうえでの同意
知る勇気と知らせる勇気 アメリカと日本の告 知の相異
アメリカのインフォームドコンセント
日本との言語習慣と主体性の違い 言語構造と文化
病院での死
末期患者のケア不充分
日本人の病院での死
癌患者30%
末期患者のケア
ホスピスケア
より良く生きるためのケア
ペイン・コントロール
精神的支え
ホスピスケアの特徴
在宅死 人間は希望によって生かされる
チーム医療
安楽死は延命治療の拒否
2001年世界初の安楽死法制定(オランダ)
クオリティ・オブ・ライフの向上 トマス・モア フランシス・ベーコ ンの容認論
尊厳死
1975年カレン・アン・クィンランの尊厳をもって「死ぬ権利」認定
「リビン・ウィル」
生前遺言運動
アドバンス・ディレクティブ(詳しい事 前指示)
アメリカのカレン事件
尊厳死運動のキッカケとなる
人工呼吸器の取り外し後10年生存 オランダでは医師による安楽死
脳死
20世紀前半までは、死は三兆候で判定されたが後半では脳死
脳死状態と植物状態 臓器移植が可能な状態
植物人間
人工呼吸器使わなくても、自力で呼吸し最低の生命維持は続く
大脳は破壊だが栄養を補給で生存 植物状態は可逆的
臓器移植
思想的背景として欧米の心身二元論とプラグマティズムがあげられる
心身二元論の端緒はデカルト 脳死は不可逆的
患者の権利章典 ケアを受ける権利はじめ12条ある 1972年米国病院協会制定
人工受精
男性側に原因がある場合の不妊治療
人工受精にはAIHとAIDがある 男子の精子を卵管に注入
対外受精
女性側の卵管が通過障害がある場合
夫の精子と試験管内で受精させ移植 生殖科学
代理出産・代理母
対外受精卵を第三者の子宮に移植して妊娠・出産
子どもへの愛情生成の疑問 1986年ベビーM事件
障害児の生命権
絨毛診断など羊水診断を含め生殖技術の進歩は子どもの選択も可能
高齢出産のばあいダウン症の憂慮 妊娠4カ月羊水診断
死と宗教
宗教は生と死の摂理
日本人における宗教観は汎神論
東洋の死生観
東洋の死生観
釈迦の四法印
諸行無常・諸法無我・涅槃寂静 釈迦の悟り
釈迦の一生
六道輪廻からの脱却
地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天
大乗仏教
日本の仏教
南無阿弥陀仏に秘められた
南無(命がけで信じる)
極楽往生の祈願
日本の文化的アイデンティティ
記紀神話と万葉集が伝える日本文化の粋
すめらぎのいつくしき国、言霊の幸はふ国 万葉集巻五好去好来歌
ユダヤ教とキリスト教
「聖書」に束ねる二つの宗教
きびしい民族宗教
やさしい世界宗教
三位一体の神
イエスの生涯
人間が誕生以来背負う「罪」をイエスが十字架の刑につくことで償う
聖霊がイエスと父なる神とともに導く 聖書(新約・旧約)
隣人愛
神は「わたしを愛することは隣り人を愛することだ」
自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ マルコによる福音書 第12章
宗教と科学
魂(たましい)の練成が科学を育くむ
直観・発想の豊かさ 新しい科学のパラダイム
iPS細胞
神は人間を創造される時、いやしの帯をも埋め込まれた。
障害児の存在意義 新しい人間観
ボランティアと奉仕の精神 東・西洋の人間観 奉仕と犠牲
試験