最終更新日:2024年3月28日

1年次入学生:3年 3年次編入学生:3年 短期大学部:-
文学部 文学科

U106

日本語学特講Ⅱ

日本語教育概論〜日本語教授法と日本語を対象化する視点を学ぶ

単位条件

通信 2単位

教員

北村 弘明

履修条件

なし

到達目標

1.日本語を外国人の眼差しからより客観的に対象化し、我々が当たり前だと感じている部分にさまざまな特色があることに気付ける
2.日本語を外国語として指導する際、「話せること」が即「教えられること」には通じないさまざまな問題点が理解できる

学習成果

1.母語話者でも、母語が「話せること」と「教えられること」が根本的に異なることを正しく確認することができる
2.日本語の知識を教えることよりも、日本語が正しく運用できる能力をつける方法を理解できる
3.外国人に日本語を教える際の教授理論とその有益な技法を身に付けることができる

テキスト教材

小林ミナ『日本語教育 よくわかる授業法』(アルク)2019

参考図書

小林ミナ『日本語教育 よくわかる教授法』(アルク)2019

評価の要点

1.日本語を客観的に対象化できているか
2.日本語を指導する際の留意点について、正しく自覚されているか
3.指導理念を具体的な授業としてデザインできるか

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価します。
レポートの採点によります。単なる教科書の要約や記述の部分的列記だけでなく、自分が理解できたところ、難解だったところ、疑問を感じたところなどが書き分けられていることを重視します。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

日本人だから日本語のしくみを簡単に外国人に説明できる、と考えるのは間違いです。外国人の目から見た日本語の特色、不思議さなどに気付いてください。また、言語能力は「説明すること」だけでは身につかず、「トレーニングすること」で初めて運用能力となります。「わかる」から「使える」能力にするための重要さについても学んでください。

レポート課題

提出数 2

第1課題

横書き手書きのみ
[1600]

第1設題

テキストの第3章1「外国語教授法」の部分を読み、外国語教授法の歴史がどのような観点を重視して試行錯誤を続けてきたか、具体例を根拠としながら、あなたの見解を述べなさい。

第2課題

横書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

言語指導の4技能のうち、特に「話す」ということについて、初級の会話指導では教師が留意すべき重要点についてその理由とともに列挙しなさい。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
日本語教育の目的と方法(1)
「 日本人と日本語」「日本語教育の意義」について学ぶ
日本語教育の概要について理解できる 教科書 第1章 (90〜120分)
日本語教育の目的と方法(2)
「 日本語教育と国語教育」と「日本語教育界の現状と日本語教師の資質」について学ぶ
日本語教育の概要について理解できる 教科書 第1章 (90〜120分)
一般教授法理論を学ぶ意義と留意点
語学教育とは、単なる母語話者の場当たり的な知識の解説ではなく、そこに言語運用能
力を培うためのさまざまな理論背景があることを学ぶ
さまざまな語学行授法理論の特質と活用法などがわかる 教科書 第3章 (90〜120分)
一般外国語教授法(各教授法の理論と特色)その1
一般外国語教授法の変遷をたどりながら、それぞれの教授法理論の特質と課題について学ぶ。本時は「翻訳法/ナチュラル・メソッド/ダイレクト・メソッド」を中心に概観する
さまざまな語学行授法理論の特質と活用法などがわかる 教科書 第3章 (90〜120分)
一般外国語教授法(各教授法の理論と特色)その2
一般外国語教授法の変遷をたどりながら、それぞれの教授法理論の特質と課題について学ぶ。本時は「オーディオリンガル・アプローチ/コグニティブ・アプローチ/サイレント・ウェイ/サジェスト・ペディア」を中心に概観する
さまざまな語学行授法理論の特質と活用法などがわかる 教科書 第3章 (90〜120分)
一般外国語教授法(各教授法の理論と特色)その3
一般外国語教授法の変遷をたどりながら、それぞれの教授法理論の特質と課題について学ぶ。本時は「TPO/コミュニカティヴ・アプローチ/SAPL」などを中心に概観する
さまざまな語学行授法理論の特質と活用法などがわかる 教科書 第3章 (90〜120分)
教授法の歴史に見る理論背景
教授法理論の変遷の中に、その時代の思想や教育をめぐる理念などの背景があったことを概観し、今日の日本語教育の問題につなげる
教授法理論の変遷その理論背景との関連を概観できる 教科書 第2章 (90〜120分)
外国語教授法理論と日本語教育教授法
これまでに英語学などで培われてきた語学教授法を、日本語教授法としてどのように活用していくのかについて学ぶ
各教授法の日本語教育への活用の仕方がわかる 教科書 第2章 (90〜120分)
コース・デザインと学習段階の留意点
語学教育の全課程を計画するコース・デザインのあり方とその各学習段階の留意点について考察する
具体的なコース・デザインをイメージできる 教科書 第5章 (90〜120分)
カリキュラムと教案の作成
授業の具体的設計であるカリキュラムの考え方と作成法について学ぶ
カリキュラム等の概念とその内容を確認できる 教科書 第3章 (90〜120分)
初級教授法理論
「 初級」という概念と、その具体的な指導法の技術・留意点を検討する
入門期の指導の意義とその指導法を確認できる 教科書 第3章 (90〜120分)
語学の技能(四技能)の考察
「 聞く・話す・読む・書く」という言葉の四技能それぞれの教授法について学ぶ
言葉の四技能別指導法を正しく自覚できる 教科書 第3章 (90〜120分)
各級(レベル)別の特色と概要
「 初級」「中級」「上級」各レベル別での内容確認、そのレベルの区分けの根拠、教育項目の比重の違いなどについて学ぶ
言語教育の段階別指導法を正しく自覚できる 教科書 第3章 (90〜120分)
日本語教育と日本語──対照言語学の眼差し
学習者の母語と日本語との関連から、いわゆる「母語干渉」の問題とそれ以外の個別言語の要素に関する問題について考察する
対照言語学的視点から日本語教育との関連を自覚できる 教科書 第3章 (90〜120分)
言語政策と日本語教育
国家が日本語教育をどのように推し進めてきたか、またこれからどのような方向を重視していくのかを、語学教育の本質と関連させながら考察する
国家による言語政策としての視点で日本語教育を捉えることができる 文科省・文化庁の HPなど (90〜120分)
試験
60分の科目終了試験。内容は客観的形式によるもの 50%。記述式形式によるもの 50%。