最終更新日:2024年4月10日
T001
ことばと文化
ことばは文化の構造によってどう規制されるか単位条件
通信 2単位教員
履修条件
なし
到達目標
1.言語が文化と密接に関連し合っている実態について、広い見識を持つことができる。
2.言語の在り方は、その文化と社会の構造によって規制を受けているものであることを正しく理解できる。
3.文化という視点からそこでの言語の特質を捉え直すことで、言語のユニークさと、文化を相対的に眺める重要さを認識できる。
学習成果
一つの文化だけで生活していると、その文化のユニークさやそこでの言語の特質・用法になかなか気づきにくいものです。日常あまりにも慣れ親しんでいることは、いつかそれが当たり前の常識として感じられるようになり、1つの文化・言語の在り方も、すべての文化・言語についても共通なものだと信じてしまいがちです。
しかし、「青」という語1つをとっても、日本語の「青」と英語の「青」とでは、その意味はまったく同じとは言えません。社会習慣などによって、そこでの言語の用法はいろいろな規制を受けていますが、人々はその実態に気づくことが難しいのです。本教科では、そうした言語と文化の深いつながりを双方の視点から解明していける力をつけることを目指します。
テキスト教材
鈴木孝夫著『ことばと文化』(岩波新書)
参考図書
池上嘉彦著『「する」と「なる」の言語学』(大修館書店)
評価の要点
1.テキストの内容とその要点が正しく読解されているか
2.レポート課題の要求に正しく応じた書き方になっているか
評価方法と採点基準
レポート合格後の科目終了試験で評価します。
レポートの評価と科目終了試験の結果によります。単なる教科書の要約や記述の部分的列記だけでなく、自分が理解できたところ、難解だったところ、疑問を感じたところなどが書き分けられていることに重きをおきます。
履修上の注意事項や学習上のアドバイス
テキストに書かれているさまざまな理論や説明を、単なる理屈として受け取るだけでなく、それが自分の環境の中でどのように現実化しているのかを、実例をあげて説明できるようになることが大切です。今まで意識に上らなかった日本語・日本文化の特質に気づけるような能力がもてるように学習してください。
レポート課題
提出数 2第1課題
第1設題
テキストの第1〜2章を読み、「ものとことば」の関係を筆者はどのように捉えているか、そのポイントを自分のことばで記述しなさい(実例を自分の身近な事柄から見つけて添えること)。
第2課題
第1設題
テキストの第3〜5章を読み、今まで自分で気づかなかった「ことばの意味」の問題について、項目別にまとめながら記述しなさい(実例を自分の身近な事柄から見つけて添えること)。
備考・補足
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授業回数別教育内容 | 身につく資質・能力 | 学習範囲 (予習・復習を含む) |
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ことばの構造 〜共時的展開と通時的展開 文化の項目と普遍的価値 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第1章 ことばを介して文化を 考える際の留意点を textから読み取る |
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文化の構造 〜文化の項目と普遍的価値 breakとはどういうことか ことばの構造性と辞典「のむ」とdrinkの構造の比較 breakの構造的な記述 あらわな文化かくれた文化 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第1章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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ものとことば1 〜ものとことばの対応関係 ことばがものをあらしめる ことばの分節性と虚構性 言語的相対主義 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第2章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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ものとことば2 〜分節性が世界を秩序づける lipと「くちびる」ことばのレベルと理解のレベル 指示対象のあいまい 指示対象の 領域のくいちがい 顔の描写法と文化的選択 西洋人の顎 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第2章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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かくれた規準1 〜形容詞の内容の相違 相対的形容詞と絶対的形容詞 潜在的比較文と明示的比較文 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第3章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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かくれた規準2 〜種の規準采ち 比率規準 期待規準令巳 適格規準 人形(ひとがた)の規準 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第3章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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ことばの意味 〜音と意味 辞典はことばの意味を説明しない「石」とはなにか ことばの意味 音と結合した個人の知鏃体験の総体 ことばの意味はことばでは伝達不可 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第4章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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ことばの定義 〜知識体験の総体 ことばの意味はことばでは伝達不可能 ことばの定義 辞典「石」を定義する必要はない 名詞より動詞・形容詞の方が定義しやすい |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第4章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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事実に与える価値について 〜日本人は残酷か 日本の犬と西洋の犬「西欧に見習え」日本と西洋における動物観 価値体系を無視した概念の輸入 日本語をはかる尺度は日本語自体 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第5章 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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人を表すことば1 〜自分及び相手をなんと言うか 自分をなんと称するか 相手をなんと言うか |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第6章の1 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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人を表すことば2 〜ヨーロッパ語の人称代名詞の歴史的背景 ヨーロッパの言語は兄弟関係 同一性の連続 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第6章の2 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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人を表すことば3 〜日本語の人称代名詞の歴史的背景 人称代名詞の変遷 タブー型変化 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第6章の3 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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人を表すことば4 〜日本語の自称詞と対称詞の構造 自称詞とは 対称詞とは 親族同士の対話 社会的情況の対話 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第6章の4 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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人を表すことば5 〜親族名称の虚構的用法 第二の虚構的用法 自己中心語としての親族 名称 親族名称の子供中心的な使い方 二人称としての僕 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第6章の5 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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人を表すことば6 〜ことばと行動様式 具体的な役割の重視 役割の固定化と一元化 対象へ相手い依存の自己規定 |
テキスト教材の内容を、要点を整理しながら理解することができる | 第6章の6 書かれてあるキーワー ドや論理的展開に留意 して読み取る |
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試験 レポート合格後の科目終了試験で評価する。 主として、テキストの内容の要旨を精確につかんでいるかを確認することがらを出題する。 (選択と空所補充50%/記述50%) |