最終更新日:2024年3月12日

1年次入学生:4年 3年次編入学生:4年 短期大学部:-
文学部 文学科

U094

日本近現代文学研究

単位条件

通信 2単位

教員

野本 聡

履修条件

なし

到達目標

「日本近現代文学史I・II」で学んだことを深め、様々な小説の分析方法・読解の視点を学ぶ。ここでの学習を通して各自がそれぞれ関心のある小説を自力で分析・研究する力を養う。言葉によって作り出された小説の世界がどのような仕組みを持っているかを意識することで洞察力と思考力を養う。

学習成果

教科書として「大学生のための文学トレーニング近代編」を使います。15回に分けて様々な小説が、それぞれ別の研究のアプローチから分析されています。
テキストをよく読んだ上で、トレーニングシートが付属しているのでまとめてみてください。
そしてまとめながらそれぞれの回で使われている文学理論(文学の研究方法・分析方法)がどのようなものなのかしっかり把握して理解してください。
そしてここで扱われているもの以外(例えば文学史の教科書に載っていた作品や自分自身が興味あるもの)の小説も数多く触れるように意識してください。
そしてここで学んだ分析方法の何が使えるかということを考えながら読むようにすると小説を分析する力が磨かれます。また国語教材の教材研究をする上でも役に立ちます。

テキスト教材

河野龍也・佐藤淳一・古川裕佳・山根良一・山本良編著『大学生のための文学トレーニング近代編』(三省堂)

参考図書

大久保典夫編『現代日本文学史』(笠間書院)
鈴木貞美『日本文学の論じ方―体系的研究法』(世界思想社)

評価の要点

レポートの評価の要点
1.課題について充分理解されていること。
2.きちんとした論理が展開されていること。
3.「履修と学習の手引」(聖徳大学通信教育部)所収の「レポートについて」に掲げられている注意事項が守られていること。

試験評価の要点
1.教科書の内容が理解されていること。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価します。
レポートは、上記「評価の要点」がクリアーされているか、そして合理的な結論が導き出されているか、そのできばえで評価します。
試験は、教科書で学んだ分析方法がそれぞれどのようなものか説明がきちんと出来ているかで評価します。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

レポートは小論文です。論の展開にあたり、きちんと論拠を明示し、客観論理に徹し、誰をも納得させる結論を導き出してください。
それぞれの回で学ぶ内容は少し難しいと思うかも知れません。しかしテキストで示された小説本文とテキストに書かれる解説を照らし合わせながら読んでいると理解できるようになります。じっくりと教科書を読み内容を理解してください。

レポート課題

提出数 2

第1課題

縦書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

教科書にある15の小説の中から一つを選び、その小説の「語り」の特徴について述べなさい(教科書内で別の内容を説明するために用いられたものでも「語り」という点から特徴を論じること)。
必ず本文を引用しながら具体的にその小説の「語り」のどこに特徴があるのかを述べること。そしてその「語り」の特徴が小説全体にもたらす効果についても必ず触れなさい。

第2課題

縦書きパソコン印字可
[1600]

第1設題

学習で学んだ分析方法を用いながら関心のある小説一つを自由に論じなさい。
読んだことがわかるように本文を示しながら具体的にその小説の特徴を述べなさい。またどのような分析方法を用いたかが明確に分かるように論じられているかを重視する。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
志賀直哉「小僧の神様」 小説にとって「作者」とは何かが分かる P10
国木田独歩「鎌倉夫人」 小説の〈視点〉の設定について理解できる P20
横光利一「蠅」 「描写」とは何かが理解できる P32
太宰治「千代女」 「語り」とは何かが理解できる P38
佐藤春夫「女誡扇綺譚」 〈内容〉と〈語り〉の違いを理解できる P52
森鷗外「舞姫」 小説にとって「読者」とは何かが分かる 68P
田山花袋「少女病」 小説に描かれる〈都市〉について理解できる P84
林芙美子「放浪記」 〈フィクション〉と〈ノンフィクション〉について理解できる P98
坂口安吾「真珠」 小説に書き込まれる〈同時代〉について理解できる
P112
石川淳「焼跡のイエス」 小説内で変化する〈語り手〉について理解できる P136
夏目漱石「坊っちゃん」 小説にとって「本文」とは何かが分かる P142
樋口一葉「たけくらべ」 自筆原稿を読むことについて把握できる P156
芥川龍之介「舞踏会」 小説を構成することについて理解できる P164
井伏鱒二「山椒魚」 「テクスト論」とは何かが理解できる P174
谷崎潤一郎「蓼喰ふ蟲」 〈挿絵〉がもたらす効果について理解できる P186
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