最終更新日:2024年3月22日

1年次入学生:4年 3年次編入学生:4年 短期大学部:-
心理・福祉学部 社会福祉学科

D080

法学Ⅰ

教育職・福祉職のための法学

単位条件

通信 2単位

教員

甲斐 聡

履修条件

なし

到達目標

法治行政を原則とする我が国における教育職・福祉職の実践は、各種の法令に基づいた行為規範を前提としたものでなければならない。例えば、教育現場で問題行動を繰り返しす児童・生徒に対し、「叱る」という懲戒行為についても、その限界が学校教育法をはじめとする各種教育法令において規定され、教師はその範囲での児童・生徒への懲戒行為が認められることになる。この科目では、各種の教育・福祉法規や判例から、自らの行為規範を理解することを目的とする。

学習成果

①教育職・福祉職として公的機関に就く場合に、各種公務員に求められるリーガルセンスを身に付ける。
② 生活保護法などの福祉制度の今日的問題や、障がいを持つ児童・生徒の学習選択権という教育現場での問題点を理解し、各分野における新しい課題を考える能力を養う。
③夫婦間暴力などの問題を抱える者に対し、各機関連携を踏まえた対応手段を身に着ける。
④少年非行の実態と法制度について、教育職・福祉職として必要とされる知識を学ぶ。
⑤教育現場において児童・生徒に対する教師の懲戒行為は、どの様なルールのもとに認められるかを理解する。
⑥教師・学校の如何なる落度に対して、イジメ事件の被害者からの民事損害賠償責任の追及がなされているか、教育現場の今日的課題に取り組む。

テキスト教材

秋元美世・本沢巳代子『ソーシャルワーカーのための法学(第2版)』(有斐閣)
甲斐聡『法学Ⅰ・Ⅱ』(聖徳大学通信教育部)

参考図書

第二東京弁護士会子どもの権利に関する委員会編『事例解説 子どもをめぐる問題の基本と実務』(青林書院)2017
古笛恵子編『学校事故の法律相談』(青林書院)2016
西田佳史・中山龍宏編『保育・教育施設における事故予防の実践』(中央法規)2019
渋谷秀樹・赤坂正浩『憲法1人権(第7版)』(有斐閣)2019
渋谷秀樹・赤坂正浩『憲法2統治(第7版)』(有斐閣)2019
打越さく良『第3版 Q&A DV事件の実務 相談から保護命令・離婚事件まで』(日本加除出版)2018
神内聡『第2版 学校内弁護士-学校現場のための教育紛争対策ガイドブック』(日本加除出版)2019
廣瀬健二『少年法』(成文堂)2021

評価の要点

① レポートは文献のコピーでなく、その内容を関連ページ・判例集・六法・法律辞典・最新の文献などで具体的に理解し、段落構成を考えまとめる。但し専門用語の定義などは、通説的見解をコピーしても構わない。
②参考文献は必ず明示し、今日的問題を考えるためにも、なるべく新しい文献を参照する。
③ 専門用語の定義は、専門書や法律辞典で調べる。例えば、国民主権は「国民に主権がある」でなく、「国政のあり方を決めるのは国民自身である」となる。

評価方法と採点基準

レポート合格後の科目終了試験で評価します。
① レポートは段落のある文章でまとめ、表や図による解説は不要で、必ず参考文献を明示して下さい(著作権法上の要請です)。なお、レポート作成前に、各段落に何を書くかにつていてのレジュメ(文章の目次)を作成することをお勧めします。
② 科目終了試験については、第一課題から二問、第二課題から二問出題され、一問につき平均五つのチェックポイントがあり25点満点で評価するので、作成レポートから重要と考える点を五つぐらいピックアップしてください。例えば、「少年法」という出題で、2000年改正ポイントは、「事実認定手続きの適正化は、単独の裁判官から裁定合議制となり〜」で5点となります。

履修上の注意事項や学習上のアドバイス

① 各種の法令を調べるには総務省行政管理局の「e-Gov法令検索」があり、また、判例を調べるには本学図書館のHPの「データーベースのご案内」にある「判例体系」が有用です。
② 法学のテキストは、各法律の導入部分をまとめたものであるため、レポート作成のためには、其々の新しい専門書(改正されることがあるため)を図書館で調べることが重要です。

レポート課題

提出数 2

第1課題

いずれか1設題を選択

横書き手書きのみ
[2000]

第1設題

国民主権と象徴天皇制

第2設題

生存権の具体的内容を説明し、その法的性格についてまとめよ。

第3設題

教育を受ける権利の保障と現代における問題点をまとめよ。

第2課題

いずれか1設題を選択

横書き手書きのみ
[2000]

第1設題

女性に対する暴力の法的対応について、DV防止法を中心にまとめよ。

※指導書のDV防止法につていは、その後の改正点を参考文献でフォローして下さい。

第2設題

少年非行に対する刑事規制の在り方について論ぜよ。

※平成12年以降の改正点を中心にまとめ、更に令和3年の成年年齢18歳に引下げに伴う改正点については、法務省HPを参照する。

第3設題

教師の体罰と懲戒権の限界について述べよ。

※懲戒権の判例として、本学HP「地域連携・社会貢献」→「児童学研究所」→「児童研だより62号4頁」にあるケースを参考にされたい。

備考・補足

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授業回数別教育内容 身につく資質・能力 学習範囲
(予習・復習を含む)
我が国の制定法の概要
憲法、狭義の法律、政令・省令などの命令、議院規則・裁判所規則、条例などの自治法規の各定義と一例を調べる
各種の法を調べる能力 指導書7頁
国民主権と象徴天皇制①
憲法の文献を調べ、国民主権を実現するための我国の代表民主制と国会中心主義、更に三つの直接民主制をまとめる。
国政を考える能力 指導書14頁
国民主権と象徴天皇制②
憲法の文献を調べ、天皇の国事行為とその問題点をまとめる。
同 上 指導書16頁
生存権の内容と法的性格①
憲法の文献を調べ、生存権の規定により如何なる社会制度が国民に保障されるかを調べる。
福祉制度の理解 指導書22・64頁
生存権の内容と法的性格②
憲法の文献を調べ、プログラム規定悦と法的権利説(抽象的権利説・具体的権利説)をまとめる。
同 上 同 上
生存権の内容と法的性格③
憲法の文献を調べ、生活保護法の今日的問題(同法4条の保護の補足性など)をまとめる
同 上 同 上
教育を受ける権利①
憲法の文献を調べ、教育を受ける権利の規定により、国民にどの様な教育制度が保障されるかを学ぶ。
教育問題の理解 指導書23・34頁
教育を受ける権利②
憲法の文献を調べ、ハンディーを持つ児童・生徒の学習選択権などの今日的問題を考える。
同 上 同 上
DV防止法①
内閣府HPの「男女共同参画」の頁で夫婦間暴力の統計調査研究からDVの問題点を考える。
福祉の実践力 指導書31頁
DV防止法②
1条の配偶者からの暴力、3条の配偶者暴力相談支援センター、6条の通報、10条の五つの保護命令、29条の罰則をまとめる。
同 上 同 上
少年法①
少年法1条に定める法の目的と我国の少年非行の傾向を法務省・警察庁HPで各白書を調べる。
少年の理解 指導書32頁
少年法②
2000年の少年法の初めての改正について、三つのポイントを条文を確認しまとめる。
同 上 同 上
少年法③
2007年の改正(6条の2・6条の3・24①・22条の3第2項)、2008年改正(22条の4・5条の2・9条の2)などをまとめる。
同 上 同 上
教師の体罰と懲戒権①
学校教育法11条を理解し、文科省のHPで2007年通知「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」を調べる。
教育現場の理解 指導書37頁
教師の体罰と懲戒権②
学校教育法施行規則26条を調べ、教師に認めている児童生徒への懲戒権の限界を考える。
教育現場の理解 指導書48頁
試験
科目終了試験は第一課題(第2回〜第8回)から二問、第二課題(第9回〜第15回)から二問出題するので、作成したレポートから五つ程度のポイントを簡潔にまとめた解答案を予め作成し、試験に臨んで下さい。